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七つの国に架かる橋《加筆修正作業中》  作者: くるねこ
本編 サンス・オール
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 食後、王子たちの寝室まで同行させられた。


「さて、さっきの続きと行こうか。」

「その前に何で兄さんはこの子の事、気に入っているのか聞いていい?」

「気に入っているって、あたりまえだろ。他国の灰魔術師なんて裏取引がない限り会う事はない。そんな奴らでも俺たち王族には情報を漏らさない。自国に可笑しな病源菌を撒かれたら困るだろうからな。」

「その結果、隣の国では稀に事例のある病も初めての遭遇にてんやわんやしてしまうのですね。」


ケティーナでネコアシマダラやクサリキノコを知らなかったのはこういうことだったのか。

と、納得する。


「そうですね。ですが、あなたはどうも口が軽いようだ。」


王子二人に見られながら自分で入れたお茶に口を付ける。


「他国の灰魔術師の知恵を得るためには私の持っている知識を見せる必要があります。それに、技術を見せたのはケティーナでのみ、あの国は敵対するような国ではありませんから」

「それもそうか。ケティーナの王子に求婚されたらしいな。」


話が変わった。井戸端会議で多くの情報を仕入れたいおばさんのようだ。


「まだ全員が全快と言うわけではありませんでしたから、国に残ってほしいという口実での求婚でしたが、」

「では、ウィーンドミレの時はどうだったんですか。妃になる承諾を得ていると言う話でしたが」

「監禁されていたようなものです。あの犯罪大国、知らない言葉、嘘もたくさんつかれました。」

「真正面から、お前がほしいといったらどうする。決してお前の技術や血がほしいわけではなく、お前自身の心がほしいと言われたら」


そんなこと言ってくれる人なんていないだろう。

アヌビス様の言葉もどこまでが本当なのか解らない。






 気が付けば朝が来ていた。

一晩中、布団に入る事も無く、王子二人に質問攻めとは私が何をしたというのか、ここの王子は変わっている。


「顔を洗ってきます。」

「ああ、ユウダ少し寝るから起こしてくれ」

「俺も寝たいのですが」

「私が起こします。何時がよろしいですか?」

少し眠いがこの程度ならもう一日徹夜でも問題ない。後で仮眠が取れるのならなおさらだ。

「少し遅れても問題ないから、十時に頼む。」

「かしこまりました。ユウダ様は?」

「悪いな。俺は自分で起きられる。兄さん、十時じゃ遅刻だろう。スカーレット姉さんの鉄拳が落ちるよ。」

「今日は忙しいと言っていた。大丈夫だろう。」


第一王子ニシキ様と第二王子ユウダ様は同室だ。

同じように第三王子ワモン様と第四王子だったサンゴ様も同室。

ワモン様は自身のベッドも含め、サンゴ様の自由にさせている。

そのためピンクの部屋で共に生活しているのだという。

王女は一人一部屋あるらしいが王子は二人で一部屋だ。


 奥の部屋で顔を洗い、お二人の寝室に戻った。

もう、布団に入られたようで、私は元のソファーに戻った。


 それから数時間、ユウダ様が先に起きあがった。


「おはようございます。洗面道具をお持ちします。」

「ありがとう。でも、そこまでしてくれなくていいよ。自分でできる。」


そう言いながら立ち上がり、歩きだすのを見送る。

だが、


 「ニシキは何をしている!」


いきなり開いたドアに驚き肩が跳ねる。

入ってきた人物を確認してなのか、ユウダ様が


「隠れて」


と、言うため、ユウダ様の背後に隠れながら奥の部屋へこっそり移動を開始する。


「ニシキ、何悠長に寝ている。朝礼にも顔を出さず、何をしているんだ!」


女王ほどではないものの、人間とはひと二回り大きな女性はニシキ様を布団から出すと締め上げている。

死んでしまわないか心配になり、足を戻そうとすると


「足音だと?」


気が付かれてしまった。

ユウダ様から緊迫する雰囲気が伝わってくる。

この女性も女嫌いだったのだろうか。


 「ユウダ、後ろに何を隠している。」

「いえ、何も……」

「ほお、では、そこをどけ」

「それは出来ません……」


そういうと、締め上げられていたニシキ様が落とされた。

そしてその尾が、ユウダ様の体にゆっくりと巻き付けられていく。


「いいのか、あいつみたいになっても」

「これだけは……」

「ダメですそんな。どうかお許しを!」


私は女性の尾を掴み言った。


「馬鹿!」


ユウダは私を隠すようにしゃがませたがもう遅い。

女性とばっちり目が合ってしまった。


「なぜ、ここに女がいる。」

「この子はサンゴのおもちゃにされて、今、偶然こんな格好なだけで男です!」

「そうは見えないがな!」


ユウダ様が宙を舞う。

巻きついていた尾で女性の背後に放り投げられたようだ。

私はここでも結局は厄介者だ。







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