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七つの国に架かる橋《加筆修正作業中》  作者: くるねこ
本編 サンス・オール
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 いくつもの階段を上り、外に出た。

背後から太陽の暖かさを感じ、目の前にはティアリサム山の岸壁が広がる。

この岸壁はもう、ティアリサムの国土。

ここを登れば、もしかしたら帰れるかもしれない。

父に会えるかもしれない。


 そう考えている私の背後からはざわざわと話をする民の声が聞こえる。

アクアムの陸の民が野次馬となっているのだろう。

私の処刑を待っている。


 カルミナで刑を受けるのが嫌で逃げ出し、ここまで来たが、あの時素直にアヌビス様の前で膝をつき、頭を下げるべきだった。

そうすれば痛い思いはしなかったかもしれない。

それとももともと奴隷となった時に逃げださなければよかったのかもしれない。

ナトラリベスでも他国でも、二十年奴隷をしていれば解放された。

元をただせばあの日、あの時、川遊びなんてしなければよかった。

母の言いつけを破った私は罪びとだ。


 山から降る冷たい空気を胸一杯に鼻から吸い込む。

私は今、丸太に括りつけられ、目の前から弓矢で射られるのを今か今かと待っている状態だ。

何だったらもっとあっさり死ぬ方法を選んでほしかった。

死んでからのさらし首なら構わなかったのだが、今、この状況の嫌な緊張感。

カウントダウンもされないのか。

と、思いながら目をつむった。


 「ファー‼」


当然の声、視線を空へ向ければそこにはドラドラの姿があった。


 火を噴き、野次馬に、兵士にと追いやり、私の目の前に降り立った。


「来てくれたの?」

「ファー」


胸を張ったようなしぐさを見せる。

闘技場の時よりもさらに大きく見えるその姿。鋭い眼差し。

そもそも、鼻息で火が出る事は知っていたが口からこんなに吐くことができるとは知らなかった。

これも成長なのだろうか。

そんなことを考えていると、器用に爪で私を縛っているロープを切った。

軽く口で咥え、飛び立とうと翼を大きく動かすと軽い助走で宙へ体を乗り出した。

目の前にはナトラリベスの対岸が見える。


「させるか!」


体をひねり、声の方向へ振り返る。


そこでは見た事のない鉄の塊が向けられていた。

「危ない!」


ことに気が付き、回避するのが先か、鉄の塊から放たれる光に包まれるのが先か。

気が付いた時にはもう水中だった。






 ナトラリベスの岸につき身を隠すこと二日。

弱弱しいドラドラの治療をしたいのだが道具も薬もなければ着ていた布すらもうボロボロ。

何とか着られるように手で裂き、形を整える。

ドラドラやケティーナの紐の切れた国章を入れられる腰袋を作り、そろそろ移動を開始しようと、動き出す。


 ナトラリベスは湿地がほとんどで歩く場所によっては底なし沼が待っている。

ティアリサム山の雪解け水が多く流れ込み、隣国カルミナの地中を流れるマグマの熱が地面を伝わってくるため蒸している。

この国ではきのこが異様によく育つ。

食用から毒キノコまでさまざまなキノコが大きな傘を木よりも大きく成長させるものも多い。

その上に家を建てる民もいる。

他にもツリーハウスも存在し、地面に家を建てる者は少ない。

国王の城はその数少ない建物で沼の上に何万もの杭を打ち、土台とし、建っている。

そのため、石造りでは重さに耐えきれず、沼に沈んでいく可能性がある。

住む者の多くは爬虫類、両生類のピスティアの血を引くことから城は木製で温かみのある作りとなっている。


 木の根の上や枝にぶら下がり、移動をする。

ドラドラを落とさない様にと慎重になりながら周りを警戒する。

精神が削がれる思いをしながらカルミナを目指し、足を進める。

だが、


「お前、ずいぶんとみすぼらし服だな。奴隷か? その髪……」


ここで捕まるのは厄介だ。

髪を隠すほどの布がなかった。

ナトラリベスで捕まる訳にはいかない。

今、目の前にいるこの人間、おそらく()防隊(ぼうたい)だろう。

ここはグリゼオとばれてしまっている以上、奴隷と言い切るしかない。


「カルミナの貴族の下で奴隷をしているのですが、アクアムへ旅行中に怒らせてしまいまして、置いて行かれてしまったのです。自力で帰って来るようにと言われましたので、急いで戻っている所です。」

「そうか、なに、時間を取らせはしない。お前と同じグリゼオのドラゴンを連れた娘を探しているんだ。その荷物を改めさせてもらいたい。」


この人間、私が探している人物と決めつけている。

実際そうなのだから仕方はないが、捕まりたくはない。


「先を急ぎますので、失礼します。」


速足でこの場を離れようと動く、でも、


「そうはいかない!」


腕を捕まれた。

その拍子、私の足は沼に漬かった。

冷たさが体温を奪う。

人間の手の力ぐらいなら振りほどける。

急いで足を抜いて逃げよう。

そう、焦れば焦るほど、どんどんと足は沈んでいく。


「サンクトゥス・グリゼオだな。拘束する。」


紫防隊の男の服の袖口から一匹の蛇が現れた。

その蛇は私に巻きつき、強く締め付けてきた。







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