七玉館殺人事件flag9〜犯人の名は
いよいよ犯人が明らかになります。
「にしても、風祭のやつ、なんで俺達を呼び出したりなんかしたんだ?」
「さあ、僕に訊かれても」
「もしかして、風祭君、犯人が解ったんじゃない?」
「そう言えば、風祭様は電話で事件について捜査なさっていましたね」
みんなが口々に俺の噂をするのが聞こえる。人前での発表は苦手じゃないが、内容が内容だけに緊張する。待ってろよ! 犯人!
「待たせたな」
俺は「容疑者」が集まる部屋に足を踏み入れた。
「俺が噂の名探偵、狼牙さ」
「カッコつけてないでさっさと解決するのです」
プーシャ、少し黙ってろ。
「ここにみんなを呼び出したのは他でもない、この事件の犯人が解ったからなんだ」
「ちょっと風祭君、突然犯人が解ったなんて、どういう風の吹き回し?」
と言うより、俺が千の風になって吹き回りそうだ。
「で、誰なんだよ。その犯人って」
まあ、慌てるなよ。まずは先生が遺したダイイングメッセージの意味だ。
「ダイイングメッセージというのは、あのビワのことでしょうか?」
空西はもう気付いてたみたいだが、あのダイイングメッセージはある特定の人物を指している。
「大津、お前だ」
俺は大津の顔を見た。明らかに動揺している。
単純にビワから琵琶湖、琵琶湖から滋賀県、滋賀県から県庁所在地の大津を連想させたんだろう。
「なるほど。地理の先生らしい発想ですね」
尾頭の同意が入る。
「ちょっと! 誤解よ! 私……やってないわ!」
「そうです! 大津さんにアリバイがあるって言ったのは狼牙さんなのです!」
まあまあ、慌てるなよ。確かに大津にはアリバイがある。隣の部屋でバラエティ番組に笑う声を聞いた俺が保証する。
それに、大津はおそらくこのダイイングメッセージの意味に気付いてたぜ。
電話で俺に「県庁所在地ぐらい全部覚えた」って言ってたのが本当かどうかは怪しいが、
「何よソレ!」
とにかく、自分の苗字と同じ『大津』くらいは覚えてただろう。電話で最後に何か言いかけたのはそのことだったんだろ? 自分が疑われると思って言わなかったんだろうな。
「じゃあ、なんで亀山は大津の名前を……」
「思い違い」だ。
犯人は部屋に入る時、現場の電気を消した。その上、頭を一発殴ればいいところを一回腕を殴ってからトドメを刺している。なんでそんなことをしたのか不思議だったんだが、犯人は多分雷によるシルエットで自分を大津と誤解させたんだ。
目覚まし時計で九厘さんを呼び出したのも、大津に
そして、そんなトリックが使えたのはただ一人!
「尾頭――お前だよな」
と、言うことで犯人は尾頭でした。
トリックは次回明らかになります。
犯人わかった後も七玉館殺人事件はもうちょっと続くのでどうかお付き合いを。