七玉館殺人事件flag6〜聞き込み:尾頭壱矢
「もしもし」
「もしもし尾頭?」
「風祭先輩ですか。何か?」
尾頭は少し面倒くさそうに電話に出た。こいつのやる気がないのはいつもの事だが、人の命が懸かっているときになあなあな返事されるとイラっとくるな。
「いや、ここ、予約してくれてありがとうな。そのうえ空西と一緒に果物まで買いに行ってくれて……」
やっぱりいきなり事件のことは切り出しにくいよな。疑ってるみたいで。
「いえ。広い庭があったのである程度練習が出来るかと思って予約したんですが、あいにくの嵐で……」
「いいって気にしないで。天気予報がはずれたんだから」
「それに、こんな事件まで起きてしまうなんて……」
「いやいや、それも別にお前の責任じゃないだろ」
「尾頭さんが犯人じゃなければの話です」
そうか、その可能性もあるんだった。全く、人を疑うのって、俺には向いてないよなぁ。命がかかってるんだからやらざるを得ないんだけど。
何はともあれ、こっちから事件話題を切り出さずにすんで助かったぜ。
「なあ、そういえば、その話なんだけどさ、現場で何か気がついた事、なかったか?」
「へえ、先輩、探偵でもするつもりですか?」
なかなか痛いところを着いてくるな、尾頭。
「それほどの事じゃねぇよ。一応、嵐が終わったら警察とか呼ぶんだろうし、その時連絡するのに全員でわーわー言ったらあっちも困るだろ? 俺がある程度まとめておこうと思ってな」
「ですよね。先輩に探偵なんか出来るわけがないですよね」
「コラ尾頭。何か言ったか?」
「いえ何も」
俺、信頼されてないな。
「で、事件についてですか。僕は大広間の方から電子音がしたので、うるさいなと思い廊下に出ました。でも、ちょうど九厘さんが大広間に入っていくのを見かけたので、九厘さんに任せようとおもって、一旦部屋に戻ろうとしたんですけど、すぐに九厘さんが悲鳴を上げたので何事かと思ってすぐに九厘さんのあとに続いたんです。そうしたら……」
尾頭は言葉を区切った。電話越しに聞こえる息がかすかに震えているような気がした。
「ああ、先生の死体だろ。あれには俺もびっくりしたぜ」
「びっくりと言うか、すごく取り乱して部屋にこもっちゃいましたね、先輩」
そのせいで死にそうになってるしな。
「現場で気付いたこと……凶器は猫の置物だと思います。遺体の近くに落ちていました」
三人の証言が一致したってことは、凶器は猫の置物確定でいいよな。目覚まし時計と凶器の他にこの事件のポイントと言えば、やっぱり九厘さんが言っていたダイイングメッセージだろうな。
「先生の死体、何か持ってなかったか?」
「ああ、そういえば……何か橙色の物を握っていたような気がしますが、よく見えませんでした」
橙色の物か……。あの部屋で橙色って言ったら、ビワだろうな。
「そうか、ありがとう。じゃあ、空西にも訊いてみるぜ」
俺は電話を切った。
さて、ちょっとキャラ薄味ですが、
個人的に一押しキャラのいっちゃん(略すな)登場!
一番モデルさんが分かりにくい名前ですが、
カタカナでパソコンの画面に何度も打ってるときっと見えてきます(苦笑)
実をいうとこの子っぽい日本人名がなかなか思いつかなかったんです。




