■172 復活の秘薬
■修正しました。
【酒呑童子のフィギュア】 Xランク
■酒呑童子のアクションフィギュア
幅広い可動域によりあらゆるポーズが可能
モンスターフィギュアシリーズ、中ボス06
炎のエフェクト・金棒付き
レア
□収集アイテム/コレクション
品質:F(最高品質)
「ちくしょう!」
膝をつき、地面を叩く。
またこれかよ! 僕は別にコレクションなんかしてないぞ!
どんだけレアか知らんが、僕には嬉しくもなんともない。しかもギルメンの誰にも必要じゃないアイテムだ。
こいつもトーラスさんの店行きだな……。是非とも高額で買い取って欲しい。
「ま、まあまだひとつめですし、これもお金になるなら無駄ではありませんし」
レンがそんな言葉をかけてくる。慰めはいらない……。
気持ちを切り替えて、次の千両箱に手をかける。次は頼むぜ、おい。
【桐氷雨】 Xランク
ATK(攻撃力)+168
耐久性61/61
■神水の霊力を宿した薙刀
□装備アイテム/薙刀
□複数効果なし/
品質:F(最高品質)
■特殊効果:
15%の確率で氷による一定時間の氷結効果
任意による【フリージングアロー】の効果
地面に対し【アイスウォール】の効果
「やりましたわ!」
シズカが嬉しそうな声を上げる。薙刀……。そりゃ彼女以外使いこなせそうもないから喜ぶのはわからんでもないが……。
「もちろん対価はお支払いしますわよ?」
違うんだ、そういうことで難しい顔をしているわけじゃないんだよ。
つーか、これってミヤコさんの『千歳桜』と似たような武器だな。向こうは炎でこっちは氷だけども。同じシリーズなのかな?
落ち込んでいても仕方がない。気を取り直して三つ目を開ける。
中には鎧の胸当てようなアイコンのスキルオーブが入っていた。
「星二つのレアスキル……! 【防具軽装】……?」
防具アイテムの重さを軽くするスキル……か。これってPKのドウメキが持っていた【重量軽減】と同じような系統のスキルなのか?
こっちは防具だけという制限がある。つまり武器は軽くならないってことだ。デメリットとしては軽くなるためノックバックを受けやすくなってしまうところだが、【不動】スキルがあれば関係ないだろう。
「ありがとうございます。大切に使いますので」
「ああ、うん……」
僕が何も言わないうちにウェンディさんが頭を下げてきた。いやまあ、このギルメンの中では確かにウェンディさんしか活用しようがないんだけれども……なんか釈然としない……。
四つめの千両箱、オープン。
「おっ?」
【銀魔導の指輪】 Aランク
INT(知力)+21
■魔導の力が秘められし指輪
最大MP値が20%上昇
□装備アイテム/アクセサリー
□複数効果無し/
品質:S(標準品質)
これはなかなかいいものじゃないか?
最近【神速】や【分身】でMP消費がキツくなってきたところだからこれは助かるかもしれない。
「待って待って。それは私に必要だと思います!」
はいはいっ! とリゼルが勢いよく手を挙げる。おい、やっと僕が使えそうなものが出たっていうのにこれも取り上げる気か?
「だってシロ君のMPが最大20%増えたところでたかがしれてるじゃない。私の最大MPの20%と比べたら何分の一?」
「ぐ……」
痛いところを……!
確かに僕のMPが二割上がったところで、【神速】がせいぜい一、二秒長くなるくらいだが、リゼルのMPが二割上がれば、【ファイアボール】を数発撃てる。
これが%じゃなくて固定量増加なら関係なかったんだが……。
渋々とリゼルに指輪を売ることにした。やっぱり僕ってツイてないと思うんだが……。
ラスト! 五つめの千両箱を祈りながら開く。
【平べったい石】 Fランク
■平べったい。水切りに最適。
□消費アイテム
品質:F(最高品質)
「ぬガァ!」
怒りとともに千両箱をひっくり返す。またそれか! 『水切りに最適』って、水切りにしか使えないんだよ!
「えーっと……」
「どんまい」
「やめて。地味に傷つく……」
ミウラとレンの慰めに僕は肩を落とす。フィギュアに薙刀、スキルオーブ、MPアップの指輪、そして平べったい石……。
トータルで見ればレアアイテムが多い。攻略サイトの統計によると、ランダムボックスからレアアイテムが出る確率は1%ほどしかなく、それを鑑みれば確かにツイていると言われても仕方ないのかもしれない。けれど、けれどもっ……!
「まあまあ、私たちのでシロ兄ちゃんに使えるのがなにかあったら譲るからさ。ほらほら開けて開けて」
未だダメージ残る僕にミウラが遠慮なく千両箱を押し付けてくる。もうちょっと落ち込んでいたいんだが?
自棄気味にパカパカと開けていくと、持ち主の歓喜の声が響き渡り、逆に僕の気持ちはどんどんやさぐれていく。
正確にいうと、僕が使えるものもあったのだけれども、筋力強化のアクセサリーとかはミウラがした方がいいし、良さげなガントレットなんかも回避重視の僕にはあまり意味がないものだったりしたのだ。
そんな千両箱開封の儀もとうとう最後の一個。
すでに四つ開けたレンの千両箱は、彼女が喜ぶアイテムが三つ、換金すれば高価な物が一つと、充分に元は取れている。
最後の一個くらい僕が譲ってもらえそうなものが出たりしないもんかね……。
諦め気分で最後の一個をパカリと開けると、スキルオーブが入っていた。星二つのレアスキルだ。
これは……【感知】? 【スターライト】のメイリンさんが【探知】ってスキルを持ってたな。確か隠された物を見つけることができるスキルとか。それと同じカテゴリーのスキルか?
「【感知】のスキルオーブですか?」
「よかったじゃん! これはシロ兄ちゃん向けだと思うよ」
「そうですね。【月見兎】の斥候役はシロさんですし」
いや、まあ、うん……。
【月見兎】で斥候役になり得るのは誰かと言われたら僕だけども。
だけど罠の解除なんかはできないし、扉や宝箱の鍵開けなんかもできない。せいぜい敵を発見するのが早いってくらいのと、素早さを活かした戦いをするってだけのエセ斥候職だ。
つまりこの【感知】、誰が持っていてもさほど変わらないということで……。僕向けというか、全員向けだよね?
たぶんこれはみんなの優しさなんだな……。最後くらいいい目を見せてあげようという……。
ま、ありがたくもらうことにしよう。あったらあったで便利だしな。
僕はレンから取引した【感知】をさっそくスキルスロットにセットしてみた。
……なにも取り立てて変化はないな。隠されてないとわからないとか?
「おっ?」
砂浜に置かれたままの千両箱が淡く光って見える。これが【感知】の力か?
千両箱をギルドホームの中に置いて外から見てみると、壁越しにでも光って見えた。千両箱の形がくっきりとわかり、どこにあるのかがわかる。なるほど、こうしてわかるのか。透視しているみたいだな。
便利といえば便利かな。さらになんとなく千両箱の方向もわかる。感覚でしかないが、お宝を探すにはこれは役に立つスキルだ。
「あれ?」
ふと、なにか意識を引かれる感覚があった。【感知】が発動している?
なんだ? 砂浜で光っている物が見えるんだが。
「どうしました? シロさん?」
「いや……」
不思議そうに尋ねるレンに生返事して、僕は砂浜で光っているものに足を向ける。
これって宝箱の形……だよな? 砂浜に埋まってる?
「なんか【感知】がここに宝箱が埋まってるって教えてくるんだけど……」
「宝箱!?」
レンたちが驚いて僕の足下に視線を向ける。前にこの本拠地の沖で沈没船を見つけたことがあった。(三巻書き下ろし)
沈没船の中には高級酒であるロマネコンティがいっぱいあったっけ。僕らは飲めないので一緒に発見した【スターライト】に譲ったんだけども。
もともとここはミヤビさん所有の島だからなあ……。
帝国女皇帝のプライベートエリアだと考えると、なにが埋まっていてもおかしくはないのだが。
「とにかく掘ってみるか」
【感知】で感じる限り、そこまで深くは埋まっていないと思う。僕はインベントリからスコップを取り出して、砂浜を掘り始めた。
やがて一メートルも掘ると、粗末な木製の宝箱が現れた。どこにでもありそうな宝箱だが……。
「よいしょっと」
宝箱を上に上げて、僕も穴から這い出す。さて、なにが入っているのか……。鍵はかかっていないみたいだ。
ちょっとドキドキしながら宝箱を開ける。
パカリと開くと、中には一本の巻物が。掛け軸……じゃないよな?
紐を解き、中身を確認してみる。
「『秘伝・蘇生薬調合法』……? っ!? まさかこれって……!」
「うそっ!? 復活ポーションのレシピ!?」
僕の肩越しに覗き込んでいたリゼルが声を上げる。
復活ポーション。どこかにあるとずっと言われ続けて、未だ見つかっていない死んだ状態から復帰できる幻のポーションだ。
これが見つかっていない今現在、死んだら諦めて死に戻るしか選択がなかった。
復活ポーションがあれば、死んだ時に出るカウントダウン中に使用することで、戦線復帰ができるという。もちろん、自分は死んでいるのだから、パーティメンバーなどに使ってもらうことになるのだが。
「これはとんでもないお宝ですね……」
「まさか自分たちの足下にずっとあったとは……」
レンとウェンディさんが蘇生薬調合法の巻物を見て大きなため息をつく。
この場合、灯台下暗し、というのだろうか? 【感知】を手に入れなかったら、ずっとこれは見つからなかったのかもしれないな。
いや、星降る島だけじゃなくて、他のシークレットエリアにもあったのかもしれない。
じゃないと見つからない可能性が高すぎるよ……。
「しかし……どうします?」
「どうするって? とにかくまずは作ってみるんじゃないの?」
シズカの言葉に不思議そうにミウラが答えるが、違う、と彼女は首を横に振る。
「一般公開するかどうかってことです。これは私たちだけが秘匿していいものなのかどうか……」
むう。確かにシズカの言う通り、これは重大な発見だ。これを公表すればプレイヤーたちの大きな助けになると思う。
逆に僕たちがこの製法を秘匿した場合、他のプレイヤーがいる前では使えず、万が一バレた場合、なんやかんやと文句を言う輩が出ることは間違いない。
別に公表しなきゃならないなんてルールはないけど、煩わしい目に遭うのはごめんだな。
「というか、まずはこれが本物であれば、という話ですが」
「それはそうよね。とりあえず作ってみないと」
「えーっと、それは僕が作る……ってこと?」
「「もちろん」」
ウェンディさんとリゼルの二人がこくんと頷く。まあ、他所に頼めない以上、そうなるのはわかっていましたが。
とりあえず調合書を詳しく読み進めていくと、これは一つの復活薬だけじゃなく、いくつかの種類に分かれているようだった。
まず低級復活ポーション、『ネクタル』。
これは死んだ状態から復活するが、HP、MP、STが、全て1の状態で復活するというもの。
なかなかに厳しい。この状態で一撃でも食らったらまた死んでしまう。
さらに厳しいなと感じたのは、これ、状態異常そのままで復活するのよね……。
毒を受けて死んだのなら、毒を食らった状態で復活する。つまり、そのままならスリップダメージを受けて、すぐにまた死ぬという……。
復活ポーションと解毒ポーションを同時に与えないとアウトだろ、こんなの。
まあ、復活するだけでも今の状況だとすごいんだが……。
そして中級復活ポーション、『アムリタ』。
これはHP、MP、STが、最大値の半分回復した状態で復活するというもの。さらに嬉しいことに、これは状態異常も全て消えた状態で復活する。かけてあった味方の支援効果も消えてしまうみたいだが、それくらいは仕方ないよな。
そして最後の上級復活ポーション、『エリクサー』。
お察しの通り、HP、MP、STが、全てフル回復した状態で復活するというもの。
さらに一定時間の支援効果もつくというとんでもないポーションだ。
これら三つのレシピなんだが、公開するかどうかはまず置いといて、現在の状況では低級復活ポーションの『ネクタル』しか作れないことが判明した。
まず『エリクサー』は無理。素材が一つもわからん。『世界樹の葉』とか『アクアヴィタエ』ってなんだよ。聞いたこともないアイテムだ。これって第六エリアの素材じゃないの?
【セーレの翼】で行けたなら、ゲットすることも不可能ではないかもしれないが……。まあともかく今の段階では無理だな。
で、中級復活ポーションの『アムリタ』だが……。これもなかなかレアな素材が必要になってくる。しかも領国を跨いでのアイテムが必要になってくるのだ。これも【セーレの翼】があれば集められないこともないかもしれないのだが……。レシピを公開してしまうと、どうやって集めた? と僕に質問が飛んでくるのは目に見えている。
特にこの『竜の涙』って、どうやってゲットしたって絶対聞かれるわ。銀竜に頼みました、とも言えんしな……。
なので、この低級復活ポーション『ネクタル』を作ってみようと思う。
素材は比較的集めるのが難しくはない。まあ、レア素材もあるから簡単に、とはいかないけども。
いくつか所持しているアイテムもあるし、これならまだ現実味がある。
「ともかく足りない素材を集めてくるか」
オークションや露店を回ればお金はかかるが集まると思う。あとは【調合】の成功率だなぁ……。サボってないで熟練度を上げておくんだった。
◇ ◇ ◇
「『氷の心臓』、『ティエリアの雫』、『光の聖水』、『精霊樹の葉』……と。よし、これで全部揃ったな」
僕は揃えた素材アイテムを調合室の机の上に並べて、一息ついた。
ここからが本番だ。まず第四エリアのボス、ジャイアントフロストから落ちた『氷の心臓』を細かく砕く。氷の、とついてはいるが、溶けたりはしないので、ハンマーでガンガンと叩き、粉状になるまで叩き砕く。
同じように『精霊樹の葉』も細かく刻み、粉になるようなくらいまで刻み込む。
そしてこれらを正しい配合率で混ぜ合わせる。ほんの僅かでも間違えたら失敗する。
いつものポーションのように、適当に混ぜて魔力を流してポン! とはいかないのだ。慎重に天秤で重さを計り、調合していく。
そして最後にやっぱり魔力を流して────ポン!
「で、できた……!」
ここまで失敗すること十二回。やっと今までのどんよりとした不味そうな色じゃないポーションができた。
うっすらと桃色なポーションだ。ちゃんとアイテム名は『ネクタル』と表示されている。
「このままだとコストが割に合わないよなあ……」
これ一個作るのにどれだけかかるって話だ。熟練度を上げて、素材の値段が下がればまあ少しはマシになると思うが……。
たとえばフロストジャイアントが落とす『氷の心臓』は粉末状にして使うが、一回の【調合】に使う量はそこまでじゃないため、何度かは使える。
これが一回一個だったらと思うとゾッとするわ。何度レイドボス戦をしろって話だ。
いやらしい話、実は『氷の心臓』って使い道がわからなくて、何個か露店とかで出回っているんだよね……。
もちろん今のうちにいくつか確保しておいた。レシピを検証した上に公開までするんだから、これくらいの役得はね……。
買い占めたりはしてないから、他のプレイヤーも手に入れることはできるはずだ。
「さて、『ネクタル』はできたわけだけど。ちゃんと効果があるか検証するには……やっぱり死んでみるしかない、のか?」
じゃあ誰が死ぬ? となると、【月見兎】だともう僕しかいないわけで。さすがに彼女らに試すから死んで、とは言えんよ。
「【スターライト】のみんなに事情を話してさ、ガルガドさんかセイルロットさんあたりに死んでもらうってのは……」
「まだ不確かな情報を流すわけにはいきません。やはりギルド内で一度試すべきかと」
僕の自分でもなかなかに酷いと思う意見は、ウェンディさんにズバッと却下された。ダメですか、そうですか。
「仕方ない……。ミウラ、【PvP】だ。『デスマッチ(ノーマル)』で」
「オッケー」
ミウラに【PvP】を申請し、モードを『デスマッチ(ノーマル)』にする。
デスマッチにはノーマルとハードがあるが、ハードだと万が一死んだ場合、僕の所持金の半額がミウラに取られる上に二時間のログイン禁止になってしまうからな。
ミウラに完成した『ネクタル』を手渡しておく。自分が死んでしまったら使えないからこうするしかない。殺される相手に復活を頼むってのも変な感じだ。
「これって、死んだシロ兄ちゃんに飲ませるの?」
「いや、振り掛けるか、投げ付けるだけでもいい。『ネクタル』は投擲ポーションと同じ効果もあるんだ」
ただ、投げ付けるのは【投擲】スキルがないと外した場合、高価なポーションが無駄になるからミウラはやめた方がいいかも……。
「よし、じゃあいくよー」
「お、おう! ひと思いに殺ってくれ……」
腕を組んで直立不動の体勢を取るが、内心ドキドキしていた。僕は常に避けるスタイルだから、真正面からダメージを食らうなんてほぼないからさ……。
「【大切断】!」
「ひょえっ……!」
あ、しまった。避けちゃった。真正面から振り下ろされた大剣を反射的に横に避けてしまった。
「なんで避けんのさー!」
「す、すまん。思ったより迫力が……」
「もっかい! 【大切断】!」
「ぐはっ!?」
すぐさま振り下ろされた二回目は避けることなく見事に斬られた。
時代劇の斬られ役もかくやという斬られっぷりだ。そのままパタリと倒れる。
紙装甲の僕のHPはあっという間に無くなり、目の前が真っ赤になったかと思うと、それがすぐに灰色に変わって、目の前に三十秒のカウントダウンが現れた。
普通ならここでカウントを待つことなく、死に戻りを選択するのだが、今回は放置しておく。
すぐにミウラが駆け寄ってきて、手にした『ネクタル』を僕へとぶっかけた。
全ての『ネクタル』が僕に降り注ぐと、ピコン、と音がして、灰色だった視界が真っ赤の状態になる。
「おー! 復活した!」
ミウラがそう言ってはしゃぐが、HP1の状態なので、満足に身体が動かない……。全身が鉛のように重いわ! これじゃあ矢が一本刺さってもまた死んでしまうぞ。
なんとかインベントリからポーションを取り出して飲み、HPを回復する。
HPは1なのは仕方がないとして、全く減ってなかったMPやSTも1になるってのはなんとも納得できんところだが……とにかく実験は成功だ。
しかしこれって復活する相手の周囲の安全を確認してからじゃないと使えんな……。敵に囲まれてたりしたら、すぐに復活させるより、時間ギリギリまで敵を倒して、ある程度安全を確保してから回復させた方がいいのかもしれない。
「じゃあ次は毒を受けた状態でやってみようよ。本当に解毒されずに生き返ったあと死んじゃうか確認しないと」
「おい、待て! 誰にも攻撃されずに死ねるんなら、リゼルがやればいいだろ! 毒を煽ってHPが0になるのを待つだけだからな! 安心しろ、僕が間違いなく生き返らせてやる。その後は知らんが」
「いや、私はほら、後衛職だから。毒を受ける可能性が少ないしぃ……」
ヘラヘラと笑うリゼルにちょっとイラついて、足元に毒撒菱を思いっきり撒いてやった。
「シロ君、酷い!」
「ふん」
毒撒菱で周りを囲まれたリゼルが文句を言うが、知らんもんね。あっ、『魔王の王笏』に掴まって浮かんで脱出しやがった。くそう。
結局毒を受けての復活も僕がやる羽目になった。結果? 復活してすぐ死にましたが、なにか?
【DWO無関係 ちょこっと解説】
■エリクサー
錬金術で作られた、飲めば不老不死になれると言われた霊薬・万能薬。ゲームではもっぱら、最上級の回復薬、復活薬として登場する。ちなみにあまりに効果が高く、希少価値のあるこれらを、使用せず死蔵してしまうことを『ラストエリクサー症候群』などと揶揄されたりする。大抵使わずにクリアしてしまったりする『もったいない病』である。逆に希少価値のあるものとはわからずにあっさりと廃棄・売却してしまったことを後から悔やむ、『逆ラストエリクサー症候群』なるものもあるらしい。




