■160 白猫の導き
「え……」
【PvP】が終わり、周囲のギャラリーから小さな声が漏れる。
「「「えぐっ……」」」
いや、まあ、そういう感想になるんじゃないかとは思っていたけど。
馬鹿みたいに頭の上に状態異常アイコンが回っていたシエルもすでに回復している。
【PvP】のダイイングモードでは、失ったHPやMPは戻らないが、状態異常は回復するようだ。
まあ、そうじゃないと毒なんかのスリップダメージで試合直後に死んでしまうからな。
僕もHPMP共にヤバい状態なので、ハイポーションとハイマナポーションを一気に続けて飲む。……相変わらず不味い……。
「い……」
「ん?」
四つん這いになっていたシエルから声が漏れる。
「いったいなにをしたんですか!? なんであんなに状態異常が!? なにかのスキルですか!? それとも奥義!? まさかこんな隠し球を持っていたなんて! やっぱりウサギマフラーさんはすごいです!」
初めに会ったときより、何割か増したキラキラした目でシエルがこちらに詰め寄って来る。近い近い、近いから。
鼻息荒く迫ってくるシエルに僕がたじろいでいると、その襟首をガッと掴んで引き戻す者がいた。
「やめろ、馬鹿者。自分の切り札を教える奴がいると思うのか? それ以上は迷惑だぞ」
ガイアさんがそう言いながら、シエルの襟首を持ち上げて僕からべりっと引き離す。助かった……。あと、それ以上は迷惑っていうか、もうすでに迷惑です。
「妹がすまなかったな。この詫びはいつかする。また会おう」
「ちょっ、なに言ってんのさ! 私はまだ話が、モガッ!?」
シエルを小脇に抱えたガイアさんは、騒ぐ彼女のその口を手で塞ぐと、のっしのっしと雑踏の中へと消えていった。
思いがけない出会いだったが、【オデッセイ】のギルマスがどういう人がわかったのはラッキーだったな。
少なくともギルマスのガイアさんは話のわかる人のようだ。妹はちょっと……アレだけども。
こう言ったらなんだけど、マトモな人でよかった。これでもし大手ギルドによくいる高圧的なギルマスだったりしたら、変に粘着されたかもしれん。
ま、ギルマスがマトモでもギルドがマトモっていう保証はなんにもないけどさ。
仮にも【怠惰】一の大手ギルドなんだから、いずれなにかで協力する機会が来るかもしれない。
あ、フレンド登録しておけばよかったか? ……いや、あそこでフレンド登録申し込むと、シエルも、ってなってたな……。スパムメールのごとく【PvP】のお誘いメールが届きそう。うん、ガイアさんにはシエルがいない時にフレンドになってもらおう。そうしよう。
◇ ◇ ◇
第五エリア、カグラの町にある巨大な一本桜。その根本では様々なプレイヤーの露店が並んでいる。
と、いっても第四エリアや第三エリアに比べるとまだまだ人が少ない。フロストジャイアントを突破して、第五エリアに来ているプレイヤー自体が少ないんだから仕方ないか。
僕ら【月見兎】が所属する、クラン【白銀】のプレイヤーの顔もちらほら見える。って、あれ? あそこにいるのは……。
「キールさんじゃないですか」
「ん? おう、シロか」
ギルド【カクテル】の錬金術師、キールさんが、巨大桜の根本で露店を開いていた。
「露店を開いているなんて珍しいですね」
「【錬金】スキルは金食い虫だからな。いろいろ作っては売って、その金で新しい素材を手に入れて、また違うのを作って売って、の繰り返しさ。どうだ? 安くしとくぞ」
取引ウィンドウが開き、商品一覧が出てくる。
ポーション類から支援・弱体化アイテム、様々な効果の付いた使い捨てアイテムなどがあった。
おっ、閃光弾があるぞ。さっきの【PvP】でディアボロスにチャージした【フラッシュ】を使ってしまった。こいつはその代わりになる。
全部で五つか。よし、全部もらおう。
「毎度あり。なんか珍しい素材があったら買い取るぜ。シロならなにか持ってないか?」
急にそんなこと言われてもね。最近は【セーレの翼】で跳ぶこともなくなって、あまりレアなアイテムは持ってないんだよな。
あ、『分福茶釜』から手に入れた『黄金茶釜』があるな。あれも一応レアだ。
インベントリから直に『黄金茶釜』を取り出し、キールさんに見せる。
「おおっ!? 『黄金茶釜』じゃねぇか! こいつはランクの高い錬金釜になるんだぜ! 黄金は余計なものが溶けだしてこないからな!」
錬金釜は【錬金】スキルを使う際に必要なアイテムらしい。【調合】スキルの乳鉢や薬研みたいなもんか。
錬金釜の性能が高いと、より品質の高いものが作れるんだそうだ。
「金額はこれくらいでどうだ?」
そう言ってトレードウィンドウに提示された金額は、僕がトーラスさんの店に買い取ってもらおうとしていた金額よりはるかに高かった。というか桁が一つ上がってる。
「これ、さすがに高すぎなんじゃ……」
「普通に売ったら金の価値だけでの金額だろうが、これは錬金釜としての価値もある。これくらいはするさ。俺たちも『分福茶釜』をけっこう倒したんだが、まったく出なくてなあ」
僕らの時は二つ同時に出ましたけど? とは言えんな……。
リンカさんは溶かして装飾に使うって言ってたけど、間に合うならキールさんと同じ錬金術師に売りつけた方がいいかもしれん。一応メール打っとこ。
金額に文句はないので、キールさんに『黄金茶釜』を売った。予想外のお金が手に入ったな。
このお金でなにかいいものを買いたいところだが……。スキルとか奥義とか売ってないかな?
キールさんに礼を言って、露店巡りを再開する。
シエルとの【PvP】は一歩間違えれば僕が負けていた。
なんだかんだで目立ってしまった僕の戦い方は、調べようと思えば【DWO】内の動画サイトにいくつも転がっている。
戦い方が研究されてしまっては、対策されるのは当たり前だ。シエルの【震脚】も【金剛】も僕に合わせてのスキルチョイスだったんだろう。
別に僕は闘技場での王者を目指しているわけではないし、別に負けたって構わないのだが……いや、やっぱり負けるのは悔しいな。
『常に戦い方を模索しろ。考えることをやめるな』とは武術を教えてくれた伯父さんの言葉だ。新しいなにかを取り込む時期なのかもしれない。なにを取り込めばいいかはまったくわからないけれども。
「おっ、スキルオーブが売ってるぞ。どれどれ」
露店の一つに三つほどスキルオーブが出ていた。店主はいない。『露店の敷布』による自動販売のようだ。確認のためにトレードウィンドウを一つずつ開く。
【グルメ】
味覚が鋭敏になる
美味いものはより美味く、不味いものはより不味く
味覚が鋭敏に? これってあの不味いポーションがさらに不味くなるってこと? これ、オンオフできないのか? パッシブスキルなの? ある意味呪いじゃないか……。パスだパス。次。
【脚光】
目立つ
いやいやいや。もうちょっと説明を! どういったスキルなんだよ! 目立つ、って、見た目的にか!? 光り輝くとか、頭上にミラーボールが浮かぶとか、スポットライトがずっと当たるとかじゃないよな? 敵を引き寄せる盾職なら使えるスキルなのか……? どっちみちこれ以上目立ってたまるか。次だ次。
【小鳥の休息】
人差し指を出すと小鳥がとまる
ネタだな!? ネタスキルだな!? 使い道がわからん! あれか、小鳥を引き寄せて捕まえるんだな? きっと小鳥捕獲スキルなんだ。でなきゃナルシスト用のスキルだ。いらんわ!
ダメだ。この露店はハズレだ。僕はトレードウィンドウを閉めてその場を去った。
そこからいくつかスキルオーブと奥義書が売っている店を見かけたが、どれもこれもイマイチパッとしない……というか、使いどころがわからない? ものばかりだった。
まあ、持ち主も使えないから売りに出したんだろうけどさ……。
やっぱりなかなか売ってたりはしないんだなあ。
ため息をついていると、ふと、桜の巨木の近くに白い猫がいるのに気がついた。
首に小さな鈴を付けている。どこかの飼い猫かな?
こちらをじっと見ている。その金色の目がなぜか気になった。
僕が近づくと、チリリン、と鈴を鳴らしながら逃げていってしまう。あらら。
残念に思っていると、また白い猫はこちらをじっと見ながら、その場で留まっている。そして僕が近づくと、また少し離れてこちらを見つめてくるのだ。
「ついてこいって言ってるのか……?」
そんなバカな、と思うが、ここはゲームの中。あり得なくはない。なにかのクエストだろうか。
だとしたら乗らない手はないよな。
僕は鈴を鳴らしながら進む白猫を追いかけて行くことに決めた。
桜の巨木を後にして、白猫は町の裏通りを進んでいく。
入り組んだ狭い道を『早く来い』と言わんばかりに白猫が軽やかに進んでいくが、こっちはそう簡単に進めないんだよ……。塀の上とか行くのは厳しいんでやめてもらいたい。
やがて白猫と僕は裏路地の行き止まりのようなところに辿り着いた。四方八方、いや、やってきた細い道以外、全部木造の建物で埋まっていて、完全な行き止まりなのだが。ここが目的地なのか?
「にゃーん」
「えっ!?」
白猫がひとつ鳴くと、その中の壁の中にスッと入っていってしまった。
近づいてみると板壁で隠れてはいるが、人が横になって通れるくらいの隙間がある。嘘だろ、ここ通るのかよ……。
身体を横にして入り込ませようとしたが、腰のディアボロスが邪魔になってつっかえた。
仕方なく装備を外し、インベントリ中に入れて、もう一度入り込む。
通れないことはないけど、けっこうこの体勢は厳しいぞ……。
僕がまごまごしていると、先の方で白猫が急かすように鳴いている。はいはい、今行きますよ!
まるでカニ歩きのようにズリズリと身体を這わせるように横にスライドさせていく。いったい僕はなにやってるんだろうなあ……。
猫が通れるほどの道……道じゃないわ、こんなの! を通って抜けた先にはぽっかりと開けた場所があり、そこには古びた洋館が建っていた。
白い板張りの壁に、中央には高いとんがり屋根。短い階段を登った先に玄関の扉がある。
玄関の上の小さな屋根のところにある看板には丸に星印のマークが描かれていた。
「あれ? あのマークって……」
僕が看板に気を取られている間に、白猫が扉の下部に設置してあった小さな猫用の扉を潜って入っていってしまった。どうやらここが白猫の家らしい。
「ここって……ひょっとして交換所なのか?」
看板にあるあのマーク。僕はインベントリからあるアイテムを取り出して見比べた。
やっぱり。『スターコイン』だよな、あれ。
スターコインは宝箱や特定のモンスターから落ちる特殊なコインアイテムだ。集めると競技場の交換所で珍しいアイテムと交換することができる。
僕もそれなりに枚数を持ってはいるけど、交換はまだ一回もしていない。これといってほしいアイテムがなかったからな。
ネタ武器とか、特殊素材とか、あまり興味を持てなかったというか。
生産職からすると面白い素材がけっこうあるんだろうが。
ここがスターコインの交換所なら、入っても問題はないはずだけど……。
一応、ドアノッカーでコンコンと扉を打ったが反応はない。
プッシュプルハンドルの扉を引くと、普通に扉が開いた。鍵はかかってないようだ。不用心だな。
「お邪魔しまーす……」
ゆっくりと扉を開けると、小さくカラカラン、とドアベルか鳴った。やはり中は店のようになっていて、骨董品のようなものがいくつか置いてあった。全体的に薄暗く、寂れた雰囲気がする。
「あら、お客さんとは珍しい」
「うわっ!?」
突然横からかけられた声に、びっくりして飛び退いてしまった。
そして声の主を見た僕は、再びびっくりの追撃を受ける。
そこにいたのは二足歩行をする黒猫だったからである。というか猫が喋ってる!
普通の猫よりもでかい。一メートルはあるぞ。黒猫が着物着てエプロンをしている。和風喫茶のウェイトレスか。って、この猫、ひょっとして……。
「ケット・シー、か?」
「ええ、そうですよ。猫精族のクロと申します。よしなに」
「クロ?」
「なにか?」
「あ、いや、僕の名前がシロなもんで……」
「おやまあ。奇妙な御縁ですねえ」
クスクスと黒猫、クロが笑う。まさか猫精族に会えるとは。
「ここはシークレットエリアなのかな?」
「ええ。特別な招待を受けた人しか入れない場所です」
特別な招待。あの白猫がそうなんだろう。同じようになにかに導かれてシークレットエリアに辿り着いたという話はいくつか聞いたことがある。
「それで、ここはなんの店なんです? やっぱりスターコインの交換所?」
「ええ、そうです。それとスキルのランクアップもしていますよ」
「スキルのランクアップ?」
交換所でスキルのランクアップってのは初耳だ。察するに上位スキルにできるってこと?
スキルには同じ系統で上位のものに変化するスキルがある。
僕のだと【見切り】が【心眼】に変化した。基本的には熟練度がMAXになると変化するものなんだが、それをスターコインの交換でできるってことか?
「それってどれくらい……?」
「ランクアップしたいスキルによって必要な枚数は変わりますね」
ちょっとまって、僕ってスターコイン何枚持ってたっけ? 何枚か売ってしまったからな……。
インベントリを開いて確認すると、65枚とあった。いけるか?
「えーっと、どれがランクアップできるスキルかわからないんだけれども……」
「所持スキルを教えていただけますか? もちろん守秘義務がありますから、誰にも明かしません」
少し抵抗があったが、スターコインを扱っているということは、ここは運営側ってことだろう。たぶん大丈夫だと思う。
僕はステータスウィンドウをオープン表示状態にして、クロに見せる。
「ふむふむ……おや、ソロモンスキルの使い手でしたか。これは珍しい」
ソロモンスキルも知っているのか。まあ、スキルのランクアップなんかを扱っている以上、当たり前と言えば当たり前なのかな。
「ランクアップできるのは、ざっとこんなもんですかねぇ」
僕の前にトレードウィンドウが開く。
【敏捷度UP(小)】→【敏捷度UP(中)】
【気配察知】→【索敵】
【調合】→【同時調合】
【鑑定】→【分析】
【蹴撃】→【蹴撃・旋】
【採取】→【範囲採取】
【採掘】→【範囲採掘】
【伐採】→【範囲伐採】
【隠密】→【潜伏】
【投擲】→【投擲必中】
【加速】→【神速】
【二連撃】→【三連撃】
【魔法耐性・火(小)】→【魔法耐性・火(中)】
【毒耐性(小)】→【毒耐性(中)】
【挑発】→【挑発・咆哮】
けっこうあるな……! ここにない【分身】とか【短剣術】は、その上のランクがないってことか。
名前からして使えそうなスキルばっかりだ。……けど、スターコインが全く足らない……! 高い!
まあ、本来なら熟練度を重ねてランクアップするものなんだから、当然と言えば当然なのだが。
「いえいえ、これは基本的な交換レートです。ここに貴方が取得した熟練度で割引きますと……」
「おっ、下がった!」
必要なスターコインの数が大幅に下がった! けども、【毒耐性(小)】とか【魔法耐性・火(小)】とかはあまり変わってないな。熟練度がほとんどないからかな……。
まあ、全然セットしてないからな……。【魔法耐性・火(小)】に関してはとりあえず取得はしたものの、ずっと予備スキルに放置した状態だったからな。熟練度なんてゼロだ。
うーむ……65枚だと交換できるのが【敏捷度UP(小)】と、【気配察知】、【隠密】しかない……。
だけど、僕が欲しいのは【加速】のランクアップだ。ただでさえ便利な【加速】が【神速】にランクアップしたらかなり使えるんじゃないか?
必要枚数が90枚。25枚足りない。くっ、こんなことならもっと集めておくんだった……。
スターコインは基本的にイベントクエストで手に入る。コボルトの村を助けたりとかの、ああいったイベントだな。
だけどそう都合よくイベントが転がっているわけもないし。
時間をかければこれらはいずれはランクアップする……するのだが、僕にとってスターコインはこれくらいしか使い道がない。できるならここで使ってしまいたいところである。
となると、他のプレイヤーから買うしかないか? でも競技場の交換所が開店して以来、スターコインの値上がりが激しいんだよなあ。
交換所にあるアイテムはネタ武器とかその素材とか、攻略には使えないものが多いけど、普通に店で買えるものじゃないからな。モンスターからドロップもしないし、スターコインでしか買えないわけだ。値上がりするのは当然ともいえる。
というか、この店が世間にバレたらさらに値上がりするだろ……! さすがにここは内緒にしとこう。
さて、どうするか。【神速】は諦めて、【索敵】だけでもランクアップさせるか? 【索敵】もかなり使えるスキルだと思う。
……いや、やっぱりここは我慢して、スターコインを集めて後日【神速】を……。
うむむむむ……と悩んでいると、クロがくすりと笑った。
「どうやら欲しいものにはコインが足りないご様子。ならば、私の頼みを一つ聞いてはもらえませんか? その報酬にスキルをひとつだけランクアップさせていただきます」
「え?」
顔を上げると、目の前にクエストウィンドウが開く。
★クエストが発生しました。
■個人クエスト
【クロの頼みごと】
□未達成
□報酬 所持スキルのランクアップ
※このクエストはいつでも始めることができます。
クエストが発生した。頼みごととやらがなにかはわからないが、ここで受けないという手はないよな。とはいえ、まずは話を聞いてからだ。
「どうか幻の【七色鮎】を捕まえていただきたい」
「【七色鮎】?」
聞いたことのない魚だ。レアな魚かな……。
「【七色鮎】は虹色をしたこれくらいの魚で、その身は絶品、【猫精族】にとっては滅多に食べることができないご馳走なのです」
クロは両手で魚のサイズを示す。二十センチから三十センチくらいか?
「【七色鮎】は限られたところにしか生息しておらず、その味も七つの味がするという実に不思議な魚で……」
「……ん?」
あれ? その魚、どっかで……。
「あの、それってひょっとして【セブンフィッシュ】って名前じゃあ……」
「【セブンフィッシュ】? さあ……? 【猫精族】の村では【七色鮎】と呼んでいたので……」
いや、たぶん【セブンフィッシュ】で間違いないと思うんだけども。
それなら【星降る島】で釣れるぞ。鮎のような姿なのに川じゃなく海で獲れるんだが。
以前うちに来たアレンさんが何匹か釣っていた。僕も数匹釣ったんだけれども、食べちゃったんだよね……。
七つの味がするっていうからさ……。僕が食べた【セブンフィッシュ】は鯖と鮪の味がしたけども。
とにかくあの魚でスキルをランクアップさせてくれるのなら、こちらとしては願ったり叶ったりだ。
よーし、いっちょ釣りますか!
【DWO ちょこっと解説】
■猫精族について
アイルランドの伝承に登場する妖精猫。『ケット』は猫、『シー』は妖精を意味する。 一般的に見た目は猫そのものだが、二足歩行で歩き、人の言葉も話す。人間と敵対しているわけではないが、猫を虐げる者には容赦しない。シャルル・ペローの『長靴をはいた猫』もケット・シーだと言われる。