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VRMMOはウサギマフラーとともに。  作者: 冬原パトラ
第五章:DWO:第五エリア
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■149 善意と好意





 【怠惰】の第五エリアはジパング、あるいはオリエンタルエリアと評されるだけあって、それっぽい建物のものが多い。

 僕が【エルドラド】のギルマス……元・ギルマス? のゴールディに連れてこられた店も、いわゆる『峠の茶屋』とでも言うべき、茅葺き屋根の店だった。場所は峠じゃなかったけども。

 茶屋の前の外には赤い敷布が敷かれたベンチのようなものがいくつかあって、その一つに僕らは腰掛けた。

 メニュー……この場合お品書き? を見て、僕は玄米茶とみたらし団子、ゴールディはほうじ茶とぜんざいを注文する。

 やがて注文したものがやってきて、僕らは無言のまま、それを口にしてお茶を飲む。

 ……いや、なんで無言のままなん? そっちが話があるって誘ったんですけど。僕からなにか話を振った方がいいのか、これ?


「あー、えっと……そ、そういやテレビで新曲聴いたよ。プリズンなんとかってやつ……」

「『プリズマレインボウ』」

「あ、そ、それ。なかなか悪くなかった」

「悪くなかった、ね……」


 は、と自嘲するような笑みを浮かべてゴールディはお茶を飲んだ。あかん、言い方間違えた……。曲の話はやめて話題を変えよう。


「あ、そ、そういえば、そのアバターって見た目も本人そのままなのな。それって大丈夫なのか?」


 一般的に『DWOデモンズ』は、容姿を変更することを推奨している。

 これはいわゆるVRでのトラブルを現実世界へと持ち込ませないようにするためのものだ。

 容姿を変えなかった女性プレイヤーが、VR世界で粘着されたプレイヤーに、現実世界でもストーカー被害にあうなんて事件も起こっているからな。

 ゴールディはそのプレイヤーである本人、『金城つきひ』と髪と瞳の色を除けばそのままの容姿をしている。

 誰が見たって彼女が『金城つきひ』だとわかってしまう容姿なのだ。


「……もともとはね、アイドル活動がうまくいかない私を売り出す戦略として、事務所からゲーム配信をやってみたら、って言われたの。ゲームは好きだったし、遊んで有名になれるならそれもありかなって。だからアバターはほとんど私そのままの姿なのよ」


 ああ、なるほど。芸能事務所の窮余の一策だったわけか。今はそれなりに売れてるっぽいけど、数年前はそこまででもなかったんだな。


「初め、『ファンタジーソード・オンライン』ってのをやったけど、全然話題にもならなかったわ。そっちは仕事のつもりでやってたけど、あんまり好みに合わなかった。だからプライベートで『DWOデモンズ』を始めたのよ」

「プライベートならなおさら容姿を変えればよかったんじゃ?」


 そう返すとゴールディは再び自嘲めいた笑みを浮かべる。


「『ファンタジーソード・オンライン』でまったく話題にならなかったからね。ちょっとした意地よ。もしかしたら誰かファンが見つけてくれるかなって。そうして始めた『DWOデモンズ』で私はギルド【エルドラド】を立ち上げた。初めは私とエミーリア、クローネだけの三人の小さなギルドだったわ。『DWOデモンズ』も発売されたばっかりで、攻略サイトなんかなくて、みんなで第一エリアの隅から隅まで探索したり、いろんなスキルを検証したり……あの頃は楽しかったわね。ギルメンも増えてガイアベアを倒したときは本当に嬉しかった。【スターライト】に初討伐を奪われたのは悔しかったけど」


 ゴールディも含め、【ザナドゥ】のエミーリアさんやクローネさん、【スターライト】のアレンさんたち最初期組は本当に大変だったろうな。今は攻略サイトがあるからいくらかマシだけど、何も情報もない状態で手探りで次のエリアへの道を探すんだから。

 スキルも戦技もどういったものかわからないから検証したりしないといけないし、アイテムも碌なものが揃ってないだろうからね。

 聞いた話によると解毒ポーションさえも無かったっていうからな……。毒を受けたら死んだとすぐ諦めたとか……。

 僕らが始めたころにはガイアベアのいる場所も戦い方もわかっていたからなあ。


「ガイアベアに挑戦する少し前に、『DWOデモンズ』のCMが作られることになったの。ネットに流れるだけのやつだけど、うちの事務所の社長にコネがあってね、私が『DWOデモンズ』やってるって言ったらそのCMの仕事がすぐ決まったわ」

「まあ、実際にゲームをやってるタレントの方が親近感が湧くし、興味も引くだろうからなあ……」


 戦略的には間違ってはいないんだろう。芸能人や声優などが、『この作品が好き!』と常に声を大きく上げていれば、その作品の関係者の目にも留まりやすい。

 営業活動と言ってしまえばそれまでだが、ゴールディの場合はたまたまな感じがするな。『DWOデモンズ』を好きってのは嘘じゃないんだろうけども。


「CMが流れたら一気に状況が変わったわ。『DWOデモンズ』が話題になって評判が上がると、ぽつぽつと私の仕事も入ってくるようになって、スポンサー繋がりでアニメ映画の主題歌も決まった。嬉しかったわ。『DWOデモンズ』が幸運を運んできてくれたって思った。【エルドラド】もどんどんギルメンが増えていって、気がついた時には【怠惰】一の大所帯になっていた。だけど……」


 当然ながら【エルドラド】にはアイドル『金城つきひ』のファンが押し寄せた。いつの間にか古参のギルメンより数が多くなり、多数決の意見はファンたちの意見が通るようになっていく。

 【エルドラド】内ではファンとそうでないプレイヤーとの諍いが目立ち始め、初期メンバーだったエミーリアさんや、クローネさんが居心地が悪くなっていることをゴールディも感じていたという。


「わかっていたなら一言言ってやればよかったんじゃないのか?」

「私のファンなのよ? 私のために、って言われたら強く言えないわよ。……いえ、たぶん私は初めてできたファンが離れていくのが怖かったのかもしれない。初めてチヤホヤされて調子に乗っていたしね……」


 うーむ、ファンの気持ちに応えたいってのはわからんでもないけど、自分の気持ちを捻じ曲げてまでってのはどうなのか。ファンも自分の理想を押し付けているだけのような気がしないでもない。


「なんか意外だ……」

「なっ、意外ってなによ!」

「いや、そういうのを気にしないタイプだと思っていたから。来るもの拒まず、去るもの追わず、みたいな。ファンなんか知るかー! って唯我独尊タイプかと……」

「あんたね……! 今の時代、ファンを蔑ろにしたらあっという間に炎上してどこも使ってくれなくなるんだからね!? それで芸能人生終わる子も多いんだから!」


 僕の言葉に過剰に反応したゴールディが食ってかかってくる。となるとひとつ疑問が出てくるのだが。


「そのファンに気を使っていたゴールディさんが、どうしてまた【エルドラド】を抜けるなんて話に?」

「う……! そ、その、エミーリアたちが抜けて【エルドラド】が弱体化したでしょ? だから新規メンバーを入れようって話が出たんだけど……」


 ふむ。わからんでもないかな。戦力不足を補おうってことなんだろうけど。


「みんなが私のファンじゃないと【エルドラド】には入れないって言い出して……」

「はあ?」


 え、それって【エルドラド】が『金城つきひ』のファンオンリーのギルドになるってこと?

 抜けたエミーリアさんたち【ザナドゥ】の中には、『金城つきひ』のファンだったプレイヤーもいる。つまりはファンをやめた? ってことだが、逆に【エルドラド】に残ったファンじゃないプレイヤーたちもいる。

 数少ない残ったその人たちも追い出そうというのか?


「【エルドラド】に残りたければ私の公式ファンクラブに入れって……! 私はそこまでしてファンが欲しいなんて言ってない! 無理矢理にファンクラブに入れたってそんなの情けなさ過ぎるわ! それじゃまるで裸の王様じゃない!」


 悔しそうにゴールディが言葉を吐き出す。

 確かにな。ファンに勧誘するにしたって、そんなやり方は褒められたもんじゃない。ほとんど脅迫だろう。

 なによりもゴールディに対して失礼だと思う。彼女に『人気がない』と言っているようなものだからな。


「さすがにそれは一言、いや、反論するべきなんじゃないの?」

「言ったわよ! やめてって! でも聞いてくれないのよ! 【エルドラド】が分裂したのは私のファンじゃないプレイヤーたちがいたからだって。ファンのみのギルドになれば、強い結束も生まれるし、【スターライト】の後塵を拝することもなくなるからって!」


 強い結束? そりゃファンの人たちは仲間内で楽しいだろうが、その中に自分たちの推しである『金城つきひ』が入ってないだろうが。

 本人の意向を無視して暴走するファンは、果たしてファンと言えるのだろうか?


「さすがにもう頭にきて、【エルドラド】を解散するって言ったら、無責任だ、って。こうなった理由は私にあるんだから、ギルマスなら最後まで勤め上げるべきだ、って……!」

「なんだそりゃ……」


 こうなった理由はファンのお前らが暴走したからだと思うが。調子に乗ったゴールディにも問題はあるだろうが、一方的やしないかね?


「私もうどうしたらいいのかわからなくなって……。ここ最近はソロで動いているの。しばらく距離を置けばみんなも冷静になってくれるかなって……」

「いやあ、それはどうかな……」


 ゴールディがいないことで、暴走にさらに拍車がかかってないといいけど。

 むしろ、ゴールディを説得しようと新人プレイヤーたちにファンクラブと【エルドラド】に入らないかとさらに勧誘してるんじゃなかろうか。

 それって『DWOデモンズ』の規約違反に当たるんじゃないかとも思うんだが。

 僕はウィンドウを開き、『DWOデモンズ』の利用規約の項目に検索をかける。

 この『宗教活動、または宗教団体への勧誘行為』ってのに……いやまあ、アイドルのファンクラブは宗教活動ではないか。

 でもこっちの『他人の個人情報、登録情報、利用履歴情報などを、不正に収集、開示または提供する行為』に当たる可能性はある……か?

 ファンクラブに入るってことは個人情報を教えるってことだからな。

 まあ、公式ファンクラブに登録した情報が勧誘したメンバーに行くかっていうと違うけども。

 これってグレーゾーンなのか? いや、アウトっぽいよーな……? わからん。運営次第だな。

 だけどこれってゴールディ=金城つきひ、主導でやってるとされたら完全にアウトなんじゃないのか……?

 その旨をゴールディに伝えたら、サーッと顔色が青くなっていった。ん? これってエフェクト効果?


「ちょっと……! マズいわよ、それ! このことが公式ファンクラブの意向なんて取られ方したら、事務所だって黙っちゃいないわ! 絶対にやめさせないと!」


 ゴールディが焦る気持ちもわかる。ゴールディ主導で金城つきひのファンクラブに勧誘しているなんて話になったら、勧誘していたプレイヤーはもとより、ゴールディも処罰対象になりかねない。

 まあ『DWOデモンズ』での行動記録は残っているはずだから、詳しく調べればゴールディには処罰はいかないと思うけど。そいつらが勝手にしたことだしな。

 だけど間違いなく金城つきひというアイドルのイメージダウンは免れない。

 それにより、金城つきひが所属している事務所がどう出るか。

 たぶん勧誘したプレイヤーに対して、なんらかの賠償請求が課せられると思う。ゴールディはそこを心配しているのだろう。

 方向性を間違っているファンだが、仮にも自分のファンが自分の事務所から処罰されるのは嫌なのだろう。

 ゴールディは慌てたようにぜんざいの残りを掻っ込むと、お金をリュックから出して、座っていたその場に置いて、猛ダッシュで駆けていった。速っ。

 ────と、思ったら途中で引き返して来た?


「忘れるところだった! さっき話があるって言ったでしょ!」


 いや、逆ギレされても。

 なんだ、話ってファンの暴走のことじゃなかったのか。どうりでなんで僕にあんまり関係ない話を延々とするのかと……。半分愚痴だと思って聞いてたけれども。


「エミーリアに伝えてほしいの。【ザナドゥ】の中に【エルドラド】に情報を流しているやつがいるわ。あんたたちのクランの動向を探ってる。貴重な情報は漏らさない方がいいわ」

「え?」


 【ザナドゥ】のプレイヤーが【エルドラド】に情報を流している? それってスパイってことか?

 クランの情報を流されるのはあまりよろしくないけど、今のところうちのクランって特に何しているわけでもないんだが。

 あ、でも第五エリアのボスとかに関する情報が手に入って、それが漏れたら問題になるかな……。下手すりゃ【ザナドゥ】が槍玉に挙げられてしまう可能性もある。


「情報はありがたいけど、エミーリアさんに直接伝えたらよかったんでは?」

「それは、その、まだちょっと気まずくて……」

「メールとかでもいいだろ」

「ブロックされてたらって思うと……」


 エミーリアさんが着信拒否ブロックなんかするかねえ? まあつまり、ゴールディの話ってのはエミーリアさんに伝言を頼みたかったってことか。

 しかしスパイねえ……。いや、スパイって言うと印象が悪いけども。所属しているギルドやクランとは別の、他プレイヤーと交流するなって決まりがあるわけじゃないし。

 

「うーん、後で詳しいことを聞きたくなるかもしれないからフレンド登録してもいいか?」

「えっ? ま、まあいいけど……」


 躊躇いがちなゴールディとフレンド登録をすると、「じ、じゃあ、これでっ!」と脱兎の如く去って行った。ものすごい慌ててんな。まあ、下手したら自分のところのプレイヤーがアカウント停止になりかねないわけだし、そりゃ慌てもするか。

 わざわざ忠告してくれたってのは、やっぱりエミーリアさんたちのことを思ってなのかね? 僕に絡んできた時もそうだったみたいだし。まあ、思い込みで暴走するきらいはあるっぽいが。

 さて、どうするか。とりあえずクランに戻って【ザナドゥ】のエミーリアさんに報告かな。

 スパイとやらが誰かわからないし、エミーリアさんとサブマスのクローネさんだけに話してみよう。

 ギルド内のことだからあまり出しゃばるわけにもいかないしな。



          ◇ ◇ ◇



「そうですか……ゴールディがそんなことを……」

「あのお姫様、大丈夫かな……。行動記録ログがあるならアカウント停止なんてことにはならないと思うけど……」


 エミーリアさんとクローネさんにゴールディから聞いた話を伝えると、二人とも心配そうな顔をしていた。

 僕の直感だが、この二人もゴールディを嫌っているわけじゃないと思う。ただ周りの環境に我慢ならなかっただけで。


「根は悪い子じゃないんですよ。子供っぽいし、けっこうなわがままですけど」

「ま、妹みたいで見ている分には面白いしね。私らが【エルドラド】を作ったのもゴールディを見て、面白そうと思ったからだし」


 クローネさんの言う通り、見てるぶんには面白いかもしれない。付き合わされる方は大変だろうが。


「アイドルってのはファンの望む姿でいなけりゃならないんでしょうかね?」

「どうでしょうね……。私はそもそもゲームという自由な遊びの空間に、リアルを持ち込むことがナンセンスな気がするんですよね。醒めるというか……」


 まあ、僕もリアルな関係ありきでゲームをするのはあんまり面白くはないような気がするなあ。

 友達とかならともかく、会社の上司や近所の知り合いなんかと身バレした状態でゲームなんてしたくないし。そんな窮屈な思いをしてまではなあ。

 ゴールディもそんな気持ちなのかな……。


「ファンってのは嗜好が似た集団だから、どうしても暴走しやすいものなんだよね。全部が全部そうだとは言わないけど、スポーツなんかの熱狂的なファンとかがよく暴れたりしてるでしょう? アイドルファンにも一部に過激な奴らがいるから……」


 うーむ、確かにスポーツの応援とかで、チームが負けると選手や監督に罵声を浴びせているおっさんなんかを見たことがあるけど。あれってファンなのか? って疑問に思ったりはするな。

 まあ、チームのファンであって、選手や監督のファンではない、ということなのだろうか? 選手や監督など、それも含めてチームなんじゃないの? と思わんでもないけど。


「問題なのは自分たちがやってることが、ゴールディにとっていいことだと信じて疑わないところですね……。逆に迷惑になるとは思っていない。悪意ではなく善意の行動だから、ゴールディも止めるに止められない……」


 悪意ではないだろうけど、善意ってのもどうかな。善意ってのは他人のことを思う親切心だ。とてもゴールディのことを思っての行動とは思えないんだが。ゴールディに好かれたい、と、結局は自分のためにやってる行動に思える。


「なんとか止めないと【エルドラド】の悪評がさらに広まってしまうよね……。以前はそこまで暴走するようなことはなかったのに……。……そうか、私たちが抜けたから、ブレーキが無くなってしまったのか……」

 

 クローネさんの言葉にエミーリアさんが俯く。

 以前なら【エルドラド】のサブマスであったエミーリアさんたちを差し置いて、勝手なことをするわけにはいかなかったのだろう。だけどそのストッパーが無くなったため、彼らは暴走を始めたわけだ。

 そのことに彼女たちは多少なりの責任を感じているのだろう。

 僕から言わせてもらうと、ファンのみのギルドにしようなんて言い出した馬鹿と、それに追従した馬鹿、さらにファンになれと強要し始めた馬鹿のせいだと思うんだが。

 【エルドラド】の全員がそんな馬鹿ではないと思うんだけれども。


「それよりも【エルドラド】に情報を流している奴のことだけども……」

「うーん……。今のところどうすることもできませんかね……。これって規約の問題ではなく、モラルの問題ですから。ギルドに不利益を与えると判断したら、ギルド追放も視野に入れて考えますけど、今の段階では……」


 確かにギルドの規約に『そこで得た情報を他者に漏らしてはならない』とはないからなあ。

 普通なら自分が所属しているギルドの不利益になる情報を漏らすなんて事はしないもんだが。

 当たり前だけどそれをした場合、同じギルメンから白い目で見られるだろうし、裏切り者のような扱いをされるかもしれないからな。


「貴重な情報はあまり広めないようにはするけど……もうすでに白銀城の情報は流れているかもしれないね」


 『印籠』のことや建築システムのことなんかだな。まあ、特に秘匿してたわけじゃないけど……。

 いや、でも『印籠』を持つプレイヤーがPKされて、万が一『印籠』を奪われたら、PKギルドに白銀城が攻め込まれる可能性もゼロじゃないのか。

 その前にそいつの『印籠』の権限をみんなで剥奪してしまえば問題ないのかもしれないが……どっちにしろやはり情報が広まるのはよろしくない、か。


「そこらへんはアレンさんたちと相談ですかね。情報を流しているプレイヤーにも何か理由があるのかもしれないし」


 兄弟や恋人、あるいは夫、妻が【エルドラド】に、なんて可能性もあるしな。一緒に生活している中で無意識に漏らしているって可能性もなきにしもあらず。


「『金城つきひの限定版グッズに釣られて』なんて理由じゃなけりゃいいんですけど」


 うぬう。【ザナドゥ】ももともとは【エルドラド】だし、『金城つきひ』のファンがいてもおかしくはないからな……。

 単にファン同士で気に入らない奴がいたから【エルドラド】を抜けたってだけで、ファンはやめてないってのかもしれないし。

 まあ、どっちにしろここからは【ザナドゥ】の問題だ。エミーリアさんとクローネさんに任せよう。

 【エルドラド】の方も落ち着くといいけどな。








 

DWOデモンズ ちょこっと解説】


行動記録ログについて


DWOデモンズ』でのプレイヤーの行動は、VR世界記憶頭脳『アカシャ』に逐一記録されている。基本的に公開されることはまずないが、問題があったとき、GM権限により公開されることもある。また、重大な規約違反、犯罪行為の立証などのために司法機関に提出されることも。

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■スラムで暮らす私、サクラリエルには前世の記憶があった。その私の前に突然、公爵家の使いが現れる。えっ、私が拐われた公爵令嬢?
あれよあれよと言う間に本当の父母と再会、温かく公爵家に迎えられることになったのだが、同時にこの世界が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界だと気付いた。しかも破滅しまくる悪役令嬢じゃん!
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新作「桜色ストレンジガール 〜転生してスラム街の孤児かと思ったら、公爵令嬢で悪役令嬢でした。店舗召喚で生き延びます〜」をよろしくお願い致します。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です‼︎ [一言] ホント、『自分達が正しいと思い込んでいるファン』ほど厄介な連中は居ませんな……。 『アイドル』や『俳優』の方々だって『普通の人間』なのに、そんな『身勝手な理…
[一言] 更新有り難う御座います。 まぁ、"アイドル"って"偶像"って意味ですし?
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