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VRMMOはウサギマフラーとともに。  作者: 冬原パトラ
第四章:DWO:第四エリア
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■099 監視者

■すでに夏バテ。





「まずっ」


 相変わらず不味いハイポーションを三本一気に続けて飲む。僕はHPが少ないからこの程度でいいが、HP多いジョブとかは五、六本飲まなきゃレッドゾーンからは全快しないっぽい。

 そろそろハイポーション以上の回復ポーションが見つからないかなあ。【調合】持ちはなにやってるんだ。……ま、僕もその一人だけどさ。

 続けてハイマナポーションも一気に飲む。こちらは二本でいい。だけどポーションと同じく酷い味だ……。


「気持ち悪っ……」


 気分は最悪だ。だけどHP・MPともに全快した。STスタミナも減っているが、スタミナポーションで回復させるほどじゃない。戦技は初手の【一文字斬り】しか使ってないからな……。


『グルガアァッッ!』


 オルトロスが毒のエフェクトをまとわせながら、ガルガドさんたちへ向けて爪を振るう。しかしそこには先程までの鋭さはなく、ガルガドさんたちは鈍くなったオルトロスの爪をなんとか躱しながら攻撃を加えていた。

 オルトロスの足元には僕のばら撒いた毒撒菱どくまきびしがたくさん転がっている。戦っているみんなもそれをずっと踏み続けているが、毒消し飴のおかげで毒に侵されてもすぐさま飴の効果で消えているはずだ。

 オルトロスは先程のように【ハウリング】を放とうとするが、途中で動作が止まる。

 数秒間に一度、喰らわせた毒がオルトロスにダメージを与える。毒自体のダメージはヤツに耐性があるため微々たるものだ。しかしそのたびに一瞬だけオルトロスの動きがビクリと止まるのだ。

 ポイズンジェリーの毒に含まれる麻痺効果だな。動きが止まるそのタイミングを狙ってアイリスの戦技が閃いた。


「【スタートラスト】!」

『ギャオアッ!?』


 まるでマシンガンを放ったように、オルトロスの横腹に五芒星の穴が刻まれる。剣術の【スタースラッシュ】や双剣術の【双星斬】と似たような技だが、速さがケタ違いだ。

 しかもそれだけではなく、突いた穴から徐々に凍りついていってるぞ。【凍結】効果か。ソロモンスキル【クロケルの氷刃】の能力かな。


『ゴアアァッ!』

「おっと!」


 オルトロスが左右の口から周囲に向けて炎を吐き出す。その熱のせいか、傷口から広がるかと思っていた【凍結】が止まった。


「まだまだ終わらないわよ! 【フロストノヴァ】!」


 アイリスが地面に細剣レイピアを突き立てると、海を泳ぐ鮫の背ビレのように、氷の衝撃波がオルトロスへ向けて走っていく。そしてそれがオルトロスにヒットしたと思った瞬間、爆発的な冷気が辺りに広がり、地面から大きな霜柱のようなものが瞬時にしていくつも現れた。

 知らない技だ。ソロモンスキル派生の戦技かな?


『ブッ、グガッ!?』


 あっという間に霜柱に囚われたオルトロスが動きを止める。その瞬間を狙い、詠唱をしていたジェシカさんの魔法が発動した。


「【フレア】!」


 オルトロスの周囲にソフトボール大の小さな光の玉が無数に現れる。そのうちの一つが爆発したかと思ったら、連鎖反応するかのように他の光の玉も次々と爆発し、オルトロスを灼いていった。


『ギャオルアァァァッ!?』


 まるで爆竹のような爆発の嵐が過ぎ去ると、砕かれた氷とともに、ぶすぶすと煙を上げているオルトロスが僕らの目の前に立っていた。かなりのダメージを与えたとは思うが、まだHPは半分も減ってはいない。


「【パワーショット】!」

「『ギャワンッ!?』

 

 飛来した銀の矢がオルトロスの右の頭に深々と突き刺さる。レンか。

 突き刺さったのは普通の矢ではない。リンカさんに作ってもらった金属製の矢だ。威力は高いが飛距離は落ちるし、射るのにも時間がかかるシロモノだが、木製の矢とは違って特殊な使い道もある。そのひとつが────。


「【百雷】」


 ユウ君の言葉とともに、天空から降り注いだ無数の雷霆が、突き刺さったレンの矢に全て落ちる。すなわち、オルトロスの片方の頭に。


『ガ、ガ、ガ、ガッ!』


 全身を痙攣させて、オルトロスが白目を剥く。そのタイミングで高く飛び上がったガルガドさんの大剣が矢を受けたオルトロスの右の頭に振り下ろされる。


「【兜割り】!」

『ギャヴァァァァッ!』


 右頭から血飛沫が上がる。白眼を剥いたまま、舌を出して力なく右の頭がガクンと意識を失った。頭上にはピヨピヨとヒヨコのエフェクトが回っている。ピヨったか。

 連続した五つの戦技攻撃を受けたのだ。さすがに耐えられなかったとみえる。

 あれ、僕だけ参加してない……。い、いや、毒撒菱どくまきびし撒いたの僕だし? 実際には六連続攻撃ってことで。うん。


『グルオガァァァァァァッ!』

「おっと!」


 オルトロスは残った左頭の口から盛大な火炎を吐き、同時に後方へと飛び下がった。追撃をしようとしていたガルガドさんたちが、炎に阻まれてその場に立ち止まる。

 よし、相手のHPが半分を切った。悪くない感触だ。このまま押していけば────。


「なかなかどうして。やりますわね、皆さん」


 そんな声とともにどこからか、パチパチと遅めのテンポで拍手が聞こえてきた。辺りを見回すが誰もいない。だけど今、確かに女性の声が……。


「あそこ!」


 アイリスが自分の細剣レイピアをほぼ頭上にかざす。

 その剣の先の空に、一人の女性がまるで空中に腰掛けるように足を組んで浮遊していた。

 真っ白な衣服に青い軽鎧を身につけた金髪ロングの女性だ。青い目に白い肌……どっちかというと可愛い系ではなく美人系だな。両腰には黄金の鞘に納められた剣が二本ぶら下がっている。

 しかし一番目についたのは、そのプレイヤー……いや、NPCなのかもしれないが……彼女の背中から生えていた真っ白な二対の翼である。

 【DWOデモンズ】には翼の生えた種族というものも存在する。【獣人族セリアンスロープ】での鳥種族、『バードマン』がそれだ。

 しかしこの種族は通常時はもとより、獣化しても空を飛ぶことはできない。敏捷度や攻撃力が一時的に跳ね上がるだけだ。

 目の前に浮かんでいる女性は紛れもなく、空を飛んでいるが、翼の力で飛んでいるわけではないのかもしれない。翼が羽ばたいてないし。なにかのスキルか……? 見た目だけはまるで天使だが。


「少し皆さんを見くびっていたようです。この子で充分と思ったのですけれど、私の読みが浅かったようですわ」


 女性が未だに少しふらつくオルトロスの方を見下ろして言葉を紡ぐ。


「あんたは誰だ? 俺たちをここに呼び込んだ張本人か?」


 大剣を構えたまま、ガルガドさんが誰何すいかする。空中にふわふわと浮遊したままの女性はその場で立ち上がり、優雅にお辞儀をしてみせた。


「私はサラ。厳正なる監視者ウォッチャーの一人……と、いっても下っ端ですけれども」


 そう言いながら天使の女性が自嘲するような仕草で肩をすくめる。


監視者ウォッチャー……? 【DWOデモンズ】のGMゲームマスターかしら?」

「GMが出てくるってことは、これってやっぱりバグなの?」


 ジェシカさんとアイリスの質問にサラと名乗った天使は首を小さく横に振る。


「我々は『監視者』であり、『管理者』ではありません。そこをお間違いなきよう」

「……よくわからねえが、オルトロス(そいつ)を俺たちにけしかけたのはアンタか? なんだってこんなことをする?」

「それにお答えする権限を私は持ち合わせておりません。本来ならば黙って見ているだけのつもりでしたが、上からのご要望がございまして。申し訳ありませんが、少しだけ修正を加えさせていただきますわ」


 サラが片方の腰から剣を抜き放つ。黄金の鞘から現れたその剣は刀身まで黄金の輝きを放っていた。


「【限界突破ブレイクスルー】」


 黄金の剣から光の矢が放たれる。真っ直ぐにオルトロスへと突き刺さった光の矢は、燐光となって双頭の巨犬を包んでいった。


『グルァァァァ……!』


 光に包まれたオルトロスが変化していく。くたっとしていた右の頭が息を吹き返し、その毛並みが炎を帯びて真っ赤に彩られていった。

 爪と牙が鋭く伸びて、全身の筋肉が盛り上がり、大きさが増した。両首にある蛇のたてがみが活発にうねうねと動く。

 HPは回復していない。しかし僕が与えた毒のエフェクトは消え去ってしまっている。


「おいおい、そんなのアリかよ……!」

『『グルガァアァアァァァッ!!』』


 二つの頭が同時に空へ向けて咆哮を上げると、強い衝撃波と炎がオルトロスを中心に放たれ、僕らは派手に吹っ飛ばされた。

 と同時に尻尾の蛇が今度は毒霧ではなく、赤い霧を撒き散らした。周囲に火の粉が舞い、辺り一面が火の海になる。地面へと叩きつけられた僕はなんとか立ち上がったが、周囲の変化に思わず舌打ちをしてしまった。


「シロさん、これって……」

「ああ……。こりゃマズいな……」


 近くにいたレンも気がついたようだ。

 これは【フィールド形成】だ。ウィンドウに浮かぶフィールド表示が【灼熱】になっている。第四エリアの【極寒】と同じく、このフィールドにいるだけでダメージを受けてしまう。ダメージ自体はごく少ないものだが、地味にキツいぞ……。

 僕は装備していた『氷炎のブレスレット』を青から赤へと切り替える。

 トーラスさんの店で買ったこのアクセサリーは、【耐寒】効果だけではなく【耐熱】効果もあるのだ。効果は25%のフィールドダメージを防ぐ。つまりダメージはみんなの3/4ですむ。

 幸いなことにDWOデモンズでは【耐寒】装備は【灼熱】フィールドでもマイナス効果にはならない。でなきゃマフラーもコートも脱がなきゃならなかった。

 みんなのHPを見てみると、アイリスだけは変化がなかった。どうやら【耐熱】効果のアイテムかスキルを持っているらしい。

 おそらくスキルの方だと思う。ソロモンスキル【クロケルの氷刃】の派生能力だろうか。便利だなあ。


『ゴガアッ!』


 炎をまとったオルトロスがこちらへ向けて駆け出した。その視線が真っ直ぐ捉えるのは正面にいたユウ君だ。


「っ、【雷槍】……!」


 ユウ君の構えた二本の指先から轟音とともに雷の槍が放たれる。真っ直ぐ飛んでいったそれはオルトロスに突き刺さるかに思えたが、双頭の炎犬が吐き出した炎に相殺されて霧散してしまう。っ、危ない!


「【加速】!」


 一番近い場所にいた僕はフルスピードで彼に駆け寄り、強引に抱き上げて、本当にギリギリのタイミングでオルトロスの体当たりを躱した。

 怖っ!? マフラーかすったって! 【見切り】の上位スキル【心眼】がなかったら確実に食らってた!

 さっきも思ったが、ユウ君は軽く、簡単に抱き上げることができた。VRでのアバターは、ある程度太らせたり痩せさせたりという設定ができるが、それは見た目だけで、体重自体はそのままである。

 つまり彼は実際にもこれくらい軽いというわけで。ちゃんと食ってんのか?

 体当たりを躱されたオルトロスは地面を削りながら勢いよく止まり、今度は二つの口から大きな火の玉を二発連続でこちらへ放ってきた。


「くっ……!」


 再び【加速】を使い、ユウ君を抱き上げたまま、背後で二回の大爆発を起こす火球から離脱する。この野郎、調子に乗ってからに……!


「【フロストノヴァ】!」


 バキィンッ! と、アイリスの放った大きな氷柱が地面からオルトロスを襲う。しかし、一瞬早くそれを察知したオルトロスはそこから跳び退いて回避してしまった。

 オルトロスの意識があちらに向いたことで、僕は足を止める。【加速】の連続発動はキツい。回復したMPがもう無くなってしまった。

 またマナポーションを飲まなくては。あと何本残ってたっけ……。


「あ、あの……。お、下ろして……」

「え? あっ、ごめんね」


 僕の腕の中で恥ずかしそうに俯くユウ君を地面へと下ろす。そりゃ男の子がお姫様抱っこは恥ずかしいわな。申し訳ない。

 僕はユウ君を下ろして、インベントリからハイマナポーションを取り出して一気飲みする。うぐう、不味い。

 さらに【灼熱】効果で減ったHP分もポーションを飲んで回復させておく。うぐう、不味い。


「あ、ありがと……」

「ん? ああ、どういたしまして」


 赤くなったユウ君に小さな声で礼を言われた。なんだ、やっぱりいい子じゃないか。テレ屋なだけらしいな。【夢魔族インキュバス】特有の悪魔のような尻尾が所在無げに揺れる。これって自由に動かせるのかな……?

 

「ユウ君は……」

「ユウでいい。……その、君付け嫌いだから」

「わかった。ユウはハイマナポーションの予備はあと何本ある?」

「二本。これ飲んだらもうあと何回かしか撃てない」


 ユウはインベントリから僕と同じようにマナポーションを取り出して一気に飲んだ。苦味を我慢するように顔を顰める。やっぱり不味いよな。

 顔を顰めながらユウはオルトロスを睨み、ぼそりと呟いた。


「尻尾……」

「え?」

「あの尻尾。まずあれを切るべき。あれが火の粉を撒いて【灼熱】のフィールドを維持している」


 あ、オルトロス(あっち)の尻尾か。

 ……なるほど、確かに時々火の粉を撒いてら。このままじゃジリジリとHPを削られていくだけだし、幸いオルトロスの意識はガルガドさんとアイリスの方へ向いている。


「真後ろからじゃ蛇に気付かれるから、側面から接近してぶった斬るか。……【加速】!」


 せっかく回復したMPを使い、全速力でオルトロスの側面から尻尾の蛇へと接近する。気付かれる前に宙へと飛び上がり、戦技を発動させた。


「【ダブルギロチン】!」

『ギュアララララァァァ!?』


 完全に不意をついてやった。振り下ろした左右の双剣が尻尾の蛇を両断する。断末魔の悲鳴をあげた蛇の頭が地面へと落ち、光の粒となって消滅した。


『ッ、ガァアァァァッ!』


 尻尾を斬られたオルトロスが反転し、僕へとその爪を振り下ろした。瞬間的に【加速】を使い、逆にオルトロスの前へと出て、脇の下を潜り抜ける。


「【雷装】」


 僕と入れ替わるように今度は両手のガントレットに雷をまとわせたユウが飛び込んでくる。


「【虎砲連撃】」

『ガッ、ガフッ!?』


 放たれた左右の拳のラッシュを横腹に受けて、オルトロスが後退する。そこへドスドスドスッ! とレンの放った【トライアロー】が突き刺さった。

 そのタイミングでジェシカさんとアイリスからの攻撃が飛ぶ。


「【アイスバインド】!」

「【フロストノヴァ】!」

『グルアァァァッ!?』

 

 地面からこれでもか、とばかりに伸びてきた氷にオルトロスが絡め取られる。よしっ、完全に動きを封じ込めたぞ!

 だが、それも束の間、バキバキと足下の氷に亀裂が入る。


「逃すかよ! 【狂化】!」


 ガルガドさんが鬼神族オーガの種族特性スキル【狂化】を発動させながら、大きく跳び上がる。


「【大切断】ッ!」


 振り下ろされた大剣がオルトロスの背骨にベキベキと食い込む。これは痛い。

 【狂化】は防御力を捨てて攻撃力を大幅にアップさせるスキルだ。つまりガルガドさんにとっては乾坤一擲けんこんいってきの一撃である。

 しかしガルガドさんがオルトロスに与えたダメージは、残りHPがレッドゾーンに突入した途端にガクンと落ち、削り斬るまでにはいかなかった。HPがレッドゾーンに突入すると防御力が上がるのか!?


「シロ! いけえっ!」


 ガルガドさんがバランスを崩して地面に落下しながら叫ぶ。ここまでやったんだ。出し惜しみする理由はない。


「【分身】!」


 瞬時に八人まで分身する。以前は七人までしかできなかったが、HPの最大値も上がり、八人に分かれても僕のHPはレッドゾーンまでギリギリ届かないですむ。

 【加速】を使わずに一気に分かれた全員でオルトロスを取り囲む。いくぞ!


『【双星斬】!』


 左右連続で描く五芒星の十連撃が八方向から放たれた。繰り出された八十もの斬撃がオルトロスを切り刻んでいく。

 

『『ガアアアアアアァァァァァァッッ!!』』


 全身に十六もの星を刻まれたオルトロスが断末魔のような咆哮を上げた。周囲に飛び散る火の粉と血飛沫のエフェクト。

 真っ赤に染め上げられた地面に、ズズン、と地響きを立てて倒れるオルトロス。そのHPはすでに残ってはいなかった。倒せた……か?

 それに答えるようにオルトロスの体が光の粒となって消えていく。

 ボスを倒した時に鳴る、いつものようなファンファーレはなく、僕らに送られたのは怪しげな天使からの拍手だけだった。


「お見事です。他の方々はすでに全滅したり、まだ戦っていますのに、なかなかにお速い」

「他の……? 他にも誰かこんな戦いをさせられているの?」


 上空で僕らを見下ろすサラという天使を睨みつけながら、ジェシカさんが尋ねる。


「この領国ではあと一組だけですが。他の領国を含めても皆さん二番目の速さですよ。失礼ですがこれは予想外でした」


 なんかよくわからないが馬鹿にされているのかね? 僕らにオルトロスを仕向けたというこいつも敵の可能性は高い。僕らは警戒を解かずに、武器を構えたままセラと対峙していた。


「予想外か何か知らねえが、これで俺たちの勝ちってことか?」

「ふふ。勝ちも負けもないのですけれど。あくまでこれはサンプルのひとつですし」


 サンプル……? いったいなんの話だ? どうも話が噛み合わない。そもそも『監視者ウォッチャー』とはなんなのか? 【DWOデモンズ】における隠しイベントかなにかか?


「ともかくお疲れ様でした。皆さんのご協力に感謝します。それでは、ごきげんよう」


 セラが指をパチンと鳴らすと、ここへ来た時と同じように足下の地面がフッと無くなり、僕は落下するような感覚に襲われた。


「またかよっ!?」


 数秒間真っ暗な中をフリーフォールさせられたと思ったら、今度は突然視界が真っ白になるほどの閃光が僕を襲った。目の前でフラッシュを焚かれたような光に思わず目を瞑る。

 しかし次の瞬間、パァンッ! と、なにかが弾けるような音が響き、僕の身体にも軽い衝撃が走った。んもー! 今度はなんだよ!?


『【インターフェア】を防ぎました』

「はあ?」


 どこからかのアナウンスが流れる中、僕は再び真っ暗になった空間の中をどこまでも落ちていった。










DWOデモンズ ちょこっと解説】


■フィールド効果について②

ダメージを受けるフィールドにおいて、装備によりダメージが軽減されることはあるが、増加されることはほぼない。ただし『Aのダメージを無効化するが、Bのダメージは倍加される』という効果の装備もあるので注意が必要。

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■スラムで暮らす私、サクラリエルには前世の記憶があった。その私の前に突然、公爵家の使いが現れる。えっ、私が拐われた公爵令嬢?
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新作「桜色ストレンジガール 〜転生してスラム街の孤児かと思ったら、公爵令嬢で悪役令嬢でした。店舗召喚で生き延びます〜」をよろしくお願い致します。
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