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腐敗惑星のアリス第9回■宇宙連邦軍で、ラフラタ中尉の身上経歴に疑義が生じていた。その頃フライトデッキ「ミューズ号」の内部では。自分の個人宇宙船の人工頭脳ツランを抹殺しょうとしていた。

腐敗惑星のアリス第9回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/


■「監視員のラフラタ中尉の個人データが、どうもおかしいのです」

宇宙連邦軍監視本部指令室で、ハノ将軍に、情報将校であるハノ将軍の腹心であるデル大尉が伝えていた。


「デル大尉。おかしいだと、どんな風にだ。監視員として不適正ということか」

「そういうのではなくて、ラフラタの年齢なんです」


「まさか、18歳未満というのではあるまい.ハハ」

ハノ将軍の洒落は無視される。

「ハノ将軍、この写真をご覧下さい」

デル大尉は、冷静に告げた。


「えらく古い写真ではないか」

「この写真のこの部分をご覧下さい」


司令部の巨大モニターに写真が写しだされる。

「ラフラタ中尉か、こいつは」


「そうお思いになるでしょう。が、この男は腐敗惑星上空にあるフライトデッキ「ミューズ号」の設計者

ドナルド・ローデンバーク博士なんです。この写真は50年前のものです」


「まだこの写真はこの宇宙連邦軍監視機構ができあがる前の写真か」

「そうです」


「デル大尉、至急にミラー伍長のほうに連絡をとれ。ラフラタ中尉を拘束するのだ」


「残念ですが、あのエリアは電磁嵐に覆われ、現在通信不能に陥っております。さらに、フライトデッキミューズの内部で破壊工作が行われた可能性があります」


「ハノ将軍、いかが処理しましょう。軍団にラフラタ中尉にかわる交換要員を派遣いたしましょうか」


「デル大尉、いや、まて、ともかく軍団が向こうについてからだ。それからにしよう」



■腐敗惑星上空にある、監視機構フライトデッキ「ミューズ号」の内部では。


定時連絡が終わったあと、ミラー伍長はつぶやく。

「さて、さて、安全処理をほどこすか」ミラーは決意していた。


ミラーは、プラットフォームから「小型宇宙船」の中へ潜り込んだ。スイッチをいれる。


「小型宇宙船」の中で、ミラー伍長、バディの電子頭脳ツランが目を覚ました。

モニターにツランの疑似顔面があらわれる。

小型宇宙船のコンピュータ、バディ、ツランは、ミラーの話相手だ。


「ミラー伍長、何か用なの」

ぞんざいな物の言い方で電子頭脳ツランがつっけんどんに答える。


「通常の任務は終わったのでしょう。

よけいな時に私を起こすのじゃないわよ。私は疲れるのですからね」

そのじゃけんな喋り方を気にせずミラーはつぶやく。


「お世話になったね、ツラン」冷たく言うミラー伍長だった。


「えっ、あなた、まさか、任地が変わるとか、そういうことじゃないでしょうね。わかった。そうだ。この前の失敗が監視本部に報告され、それでクビになったってわけか。


そうでしょう。だって、私があなたの失敗をシークレットラインで監視本部に報告しておいたものね。

あ、あ…しまった。しゃべりすぎた」

一瞬、ツランは黙るが、

「い、いまのは冗談よ、ミラー。私がそんなこと言う訳などないじゃない。こんなに仲のいいお友達ですものね、ね、そうでしょう,ミラー」


「この、おしゃべりあまめ」ミラーは今までのツランへの不満がついに爆発していた。


「俺の失敗の報告は、きさまが報告していたわけか。俺は今の今まできさまを信じていた。

俺がバカだった。上司のラフラタ注意が宇宙連邦軍監視本部へ報告していたと思っていだんだ」


「え、え、私が悪いは。え~ん泣いちゃう、ね。この涙が見えるでしょ」

モニター画面に波でが流れる。

「ミラー、許して、もうしません。あなたのいいつけどおりにします」


「無駄だよ、ツラン。俺はある決意をした」


「え~、私のあやまり方が足りない。いいわよ、どうせ。私はタフなコンピュータよ、何さ。ははん。わかった。あなたの心変わりは、さっきの星間通信と関連があるわね」


「何んだと、私が知らないとでも思っている。み~んな、お・み・と・お・し。あなたがコソコソと、ラフラタにも内緒で星間通信をしていたことなんてね。

まさか、あなた、私がそれを知らないとでも。へん、アンポンタン、ノータリン。私はあなたよりも、も・っ・と、頭が良いのよ。あなたの考え方など、お・み・と・お・し。


あなたが何を狙っているかね。

それでなきゃ、こんな星、腐敗惑星へくるわけがないでしょう。


私はずっーと、あなたの行動要因を分析していたのよ。あなたの夢の内容まで、すべておみとおし。あなたのベッドのコンピュータラインを密かに繋いでおいたのよ。へーんだ」


ツランはミラー伍長の顔を見る。

「何、何よ、私をどうするつもり。ま、まさか」


「そのまさかだよ、ツラン。そこまで知られれば許しておけんな」


「ま、まてよ。わかったわ。あ、あなたのご希望どおりのパーソナリティになるわよ。あなたの初恋の人ツランのパーソナリティにね。今までのデータ不足だったけれど、夢から判断すればお美しい方ね、そうなります。許してちょうだい。ねえ、どう」


猫なで声で小型宇宙船の電子頭脳ツランはミラー伍長に擦り寄る。


「そんな甘え声を出したって、もう無駄さ。お前のパーソナリティを抹殺するよ」


「ダ、ダメ、ミラー伍長。助けて、誰か」


コンピュータツランの個性消滅ボタンがミラーによって押された。


「さて、さて、ツランは口うるさい奴だったが、ゆっくりと新しいコンピュータ・ツラン改訂版に、私の希望するパーソナリティデータを引き移しておくか。応援部隊がくる前にな」


宇宙連邦軍監視本部、腐敗惑星勤務のミラー伍長は独りごち、にやりほくそえんだ。


(続く)20210908改定

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所 ●how to draw manga ●manga-training

http://www.yamada-kikaku.com/

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