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腐敗惑星のアリス第3回●腐敗惑星の上に住む一角獣に、回収子ゲノンと名乗る異星物が。また、腐敗惑星には生物が屍肉腐肉となるが、風族という生命体も存在した。

腐敗惑星のアリス第3回1975年作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所 漫画動画_youtube

http://www.yamada-kikaku.com/



第3回


■ある日、特別な生命が,彼一角獣の前に姿を表している。

そやつは、親しげに話しかけてくる。


「目覚めよ、レムリア。私だよ。思い出してくれ。私は回収子ゲノンだ。覚えていないのか」


 その物体は、必死だった。自分のことをわからそうとして。


「レムリアだと、それが僕の名前だというのか」


「思い出せ、お前が何者なのか。そしてなぜこの惑星にいるのか。

この腐敗惑星にいるのか。一角獣は雌雄同体だから、覚えてはいまいがな。

君は我々を裏切り、寂寥王せきりょうおうの愛人になったんだ」


悲しそうな声だった。なにが悲しいのか、一角獣にはわからない。


 『僕が愛人だと、どういうことなんだ』


「この腐敗惑星で何故、お前だけが、腐敗しない。それがおかしいとはおもわないのか」


「なぜというんだ」


「寂寥王の残留思念が、君の体に働いているのだ。寂寥王の分身を守るために、変身させられた」


「何の話かわからない」


 この生物、回収子ゲノンはそうわめいている。


どうやら、これは声ではなく、

彼の意識の流れの中に直接語りかけてくる。心の中にはいってきたのだ。


「助けに来たんだよ。さあレムリア。私と一緒に帰ろう。お願いだ」

しかし、レムリアと呼ばれた彼一角獣は答えるかわりに、その生物、

回収子ゲノン、を屠ろうとした。


「レムリア、君は私を殺そうとするのか」


「かわいそうな、レムリア。君の体は霊体なんだ」


その回収子ゲノンの最後の意識だった。


『僕のことをばかにする奴は、生かしてはおけない。

それに、この腐敗惑星では、どうせ長くは生きていられない』


■(3)

 風族は、この惑星、腐敗惑星、のいかなる場所にも存在した。


風族は意識体である。この星に偶然呼び集められ、

この場で殺された者たちの残留思念である。

すべての生命体が風族になれるわけではない。


ある一定の基準があるようだ。だが、どの生物の意識が風族とされ、またされないのか、

決定者の姿を見たものはいない。決定者の存在を感じたこともない。


がしかし、確かにその存在はあると考えられていた。風族たちはときおり、

地表近くにまでおりていくことがある。


この星の地表の臭気をふきとばさなければならないのだ。

この星の地表はすべて、くさった肉なのだ。ドロドロとしたいやらしい臭いと破裂音がする。


ガスが立ちのぼってくるのが地表だった。

 風族たちは時折、想像することがある。


かってはあの屍肉が我々だったのだと。考えるだけでおぞけをふるう。

が腐敗菌を運ぶのは彼ら、風族なのだ。


 腐肉は、表面からずっーと地中奥深くまで続いているという。


次々から、次へと上空からいろいろな生物が降ってきて、屍肉となっていくのだ。

 この星は、いわば宇宙のサルガッソー海だ。


腐敗惑星のアリス(続く)20090501改定

(トリニテイ・イン・腐敗惑星・1975年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所●how to draw manga ●manga-training

http://www.yamada-kikaku.com/



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