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なんとなく気だるさの残る朝。
テレビをつけると、慌ただしく事件を伝えるニュースが流れてきた。
「昨夜、女子高生がストーカーに刺されて亡くなりました」
また、そういう事件があったのね。ふとテレビの画面を見る。
――あれ? なんか、見たことあるような風景……。
「殺されたのは、竹原高校一年生の稲村秋穂さん」
――え? 私っ!?
驚きのあまり、私は頬張っていたトーストを落っことしてしまった。
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そこで、目が覚めた。
「秋穂、どうしました?」
杏仁が私の顔をのぞき込んでくる。
「ん……なんでもない。嫌な夢を見ただけ」
夢だというのに、なんだかやけにリアルに感じた。
起きる直前に見ていたからか、はっきりと覚えている。
ねっとりとした嫌な汗で、パジャマはべとべとになっていた。
こんな夢を見るなんて……。
巫女がストーカーの話をしてたからかな……?
そうだ、巫女……!
私は慌ててケータイを取り出し巫女に電話をかける。
昨日、あれからちゃんと帰れたか心配になったのだ。
――遅い……巫女……早く出て!
「ふぁ~、おはよう、いなほ。どったのぉ?」
起きたばかりなのだろう、はっきりしない声で巫女は電話に出た。
私が心配したようなことなんて、なにも起きてはいなかった。
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足早に家を出て、途中で巫女と合流し学校へ向かう。
いつもどおりの日常、いつもどおりの学校生活。
「最近、ストーカーの被害が増えているみたいです。みなさん、気をつけてください。暗くなってからは、なるべくひとりでは行動しないように」
担任の先生が、ホームルームで注意を促す。
公にはなっていないようだけど、巫女の家から学校に報告があったのか、それとも他にも被害を受けた人がいたのか。
よくはわからないけど、こうやって先生から注意されるということは、これまでにも度々あった。
物騒な世の中になったものだ。
私は隣の席の巫女に目を向ける。その視線に気づいたのか、彼女は笑顔を返してくれた。
「今日も、一緒に帰ろうね」
「うん、もちろん」
いつもどおりの日常、いつもどおりの学校生活。
そう、それは変わることのない、ごく当たり前に過ぎてゆく私たちの時間なのだ。
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その後も、巫女とのバカげたお喋りなんかをしながら、いつもと変わらない日常を過ごしていた。
「今日も巫女さんとずっと一緒でしたね。前からそうなのですか?」
部屋に戻ると杏仁が実体化して、こんなふうにいろいろと話しかけてくる。
「うん。小学校の頃からだから、もう随分長いわよね」
そんな彼女に、私も快く言葉を返す。
なんとなく、本物の妹ができたみたいで、正直ちょっと嬉しかった。
まだ杏仁が来て数日しか経っていなかったけど、彼女の存在もすでに日常の一部となっていた。
巫女は私の部屋によく遊びに来る。
その度に巫女も杏仁と話し、杏仁もそんな巫女の話を楽しみにしているようだった。
そんな楽しい日々。
壊れてしまうことなんて、まったく考えられなかった。




