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着信少女  作者: 沙φ亜竜
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-4-

 なんとなく気だるさの残る朝。

 テレビをつけると、慌ただしく事件を伝えるニュースが流れてきた。


「昨夜、女子高生がストーカーに刺されて亡くなりました」


 また、そういう事件があったのね。ふとテレビの画面を見る。


 ――あれ? なんか、見たことあるような風景……。


「殺されたのは、竹原高校一年生の稲村秋穂さん」


 ――え? 私っ!?

 驚きのあまり、私は頬張っていたトーストを落っことしてしまった。



 ☆☆☆☆☆



 そこで、目が覚めた。


「秋穂、どうしました?」


 杏仁が私の顔をのぞき込んでくる。


「ん……なんでもない。嫌な夢を見ただけ」


 夢だというのに、なんだかやけにリアルに感じた。

 起きる直前に見ていたからか、はっきりと覚えている。

 ねっとりとした嫌な汗で、パジャマはべとべとになっていた。


 こんな夢を見るなんて……。

 巫女がストーカーの話をしてたからかな……?

 そうだ、巫女……!


 私は慌ててケータイを取り出し巫女に電話をかける。

 昨日、あれからちゃんと帰れたか心配になったのだ。


 ――遅い……巫女……早く出て!


「ふぁ~、おはよう、いなほ。どったのぉ?」


 起きたばかりなのだろう、はっきりしない声で巫女は電話に出た。

 私が心配したようなことなんて、なにも起きてはいなかった。



 ☆☆☆☆☆



 足早に家を出て、途中で巫女と合流し学校へ向かう。

 いつもどおりの日常、いつもどおりの学校生活。


「最近、ストーカーの被害が増えているみたいです。みなさん、気をつけてください。暗くなってからは、なるべくひとりでは行動しないように」


 担任の先生が、ホームルームで注意を促す。

 公にはなっていないようだけど、巫女の家から学校に報告があったのか、それとも他にも被害を受けた人がいたのか。

 よくはわからないけど、こうやって先生から注意されるということは、これまでにも度々あった。

 物騒な世の中になったものだ。


 私は隣の席の巫女に目を向ける。その視線に気づいたのか、彼女は笑顔を返してくれた。


「今日も、一緒に帰ろうね」

「うん、もちろん」


 いつもどおりの日常、いつもどおりの学校生活。

 そう、それは変わることのない、ごく当たり前に過ぎてゆく私たちの時間なのだ。



 ☆☆☆☆☆



 その後も、巫女とのバカげたお喋りなんかをしながら、いつもと変わらない日常を過ごしていた。


「今日も巫女さんとずっと一緒でしたね。前からそうなのですか?」


 部屋に戻ると杏仁が実体化して、こんなふうにいろいろと話しかけてくる。


「うん。小学校の頃からだから、もう随分長いわよね」


 そんな彼女に、私も快く言葉を返す。

 なんとなく、本物の妹ができたみたいで、正直ちょっと嬉しかった。

 まだ杏仁が来て数日しか経っていなかったけど、彼女の存在もすでに日常の一部となっていた。


 巫女は私の部屋によく遊びに来る。

 その度に巫女も杏仁と話し、杏仁もそんな巫女の話を楽しみにしているようだった。

 そんな楽しい日々。

 壊れてしまうことなんて、まったく考えられなかった。


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