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【13話】社交パーティー


 社交パーティー当日。

 

 会場とへ向かう馬車の中、フェリシアはソワソワしていた。

 対面に座っているグラディオが、あまりにも素敵だったからだ。


 服装は黒いジャケット。

 漆黒の髪は、後ろで一つに縛られている。

 

 いつもと雰囲気が違う。

 ビシッと決めているその姿は、ものすごくかっこよかった。


「落ち着かない様子だが、どうしたフェリシア? 緊張しているのか?」

「いえ、違います。……その、グラディオの様の今日のファッションが、とてもお似合いだと思いまして」

「……そうか。ありがとう。フェリシアもよく似合っているぞ」


 顔を真っ赤にしたフェリシアは、緑色のエンパイアドレスの裾を掴んだ。

 お世辞とはいえ、今のグラディオにそんなことを言われるとドキドキしてしまう。



 落ち着かないフェリシアと毅然としているグラディオを乗せたまま馬車は進んでいき、大きなホールに到着した。

 このホールが、これから開かれる社交パーティーの会場だ。

 

「フェリシア、手を」


 先に馬車から降りたグラディオが、フェリシアへ手を差し伸べる。

 

 その手を掴んで、フェリシアも馬車から降りた。

 

「行こうか」

「はい」


 グラディオにエスコートされながら、ホールの中へ入った。

 

 そうしたとたん、会場内にいる貴族の目線が一気にフェリシアへ向いた。

 

 レクシオン公爵夫妻として公の場に出るのは、これが初めてとなる。

 貴族たちの注目の的となっていた。


(なんだか緊張してきたわ)


 フェリシアは多くの人から注目されることに慣れていない。

 緊張で手が少し震えてくる。

 

「大丈夫だ」


 優しく声をかけてくれたグラディオが、エスコートしている手を握り直してくれた。

 

 彼の手はとても温かい。

 その温度がフェリシアの体を包んでいく。

 

(安心するわ)

 

 手の震えがとまった。

 緊張していた心を、グラディオの温かな手が解きほぐしてくれた。


「これから挨拶回りをする。準備はいいか?」

「はい!」


 グラディオのおかげで緊張は解けた。

 

 これでもう大丈夫。

 フェリシアは大きく頷いた。

 

 グラディオと一緒に会場内を回ると、多くの貴族たちが挨拶しにきた。

 大きな権力をもつレクシオン公爵家の当主に、少しでも名前を売っておきたいのだろう。


(こんなにいっぱいいるのね……頑張らないと)


 イスピラル子爵家にいたときも何度かパーティーには出席したことがあるが、こんなにも多くの人間と挨拶をするのは初めてだ。

 委縮してしまいそうになるも、それでもフェリシアはなんとか頑張って挨拶をしていった。

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