夜の学校ってどうしても怖いよね
読んで損はしません!!!得もしませんけど。
どれくらい走っただろう。
私は今、得体の知れない何かに追われている。学校の廊下のような場所を延々と走って逃げている。だけど知らない場所だった。窓の外は暗い。夜かな…
ここは何処なの?ずっと追ってきているあれは何?怖くて仕方がなかった。たった1人、見知らぬ場所で逃げ続けるのはすごく心細い。階段を登って、廊下を走って。無我夢中で逃げて、逃げて、逃げ回って、とうとう追い詰められてしまった。おそらく最上階の廊下の果て。暗い…暗くて相手がよく見えない…わからない…!それでも相手が人と呼べるものではないこと、そしてそれは私を殺そうと─食べようとしていることだけはわかった。
私…ここで死ぬのかな、嫌だよ、死にたくないよ…!!
目の前で起こる爆発
轟音と閃光
恐ろしさに蹲る
もう駄目…
…
…?
生きてる…?
「んむ。任務完了。」
そんな声が聞こえてきた。その少し幼い声のした方を見遣る。
…そこには背の低い女の子が居た。年下…かな?。だけど、彼女の容姿は少し見慣れないものだった。
月明かりに照らされ髪が輝いて見える…金髪かな…?でも、対照的に服が真っ黒で…
「魔法使い、?」
何故かそんな気がした。
私の声に気づいたその魔法使い?の子がこちらを振り返る。
その魔法使いちゃんはゆっくりとこちらに近づいてきて、私の顔をじっと覗き込んできた。な、何…?…こんなに暗いのに見えるのかな?
「…あなたは?」
魔法使いちゃんが聞いてきた。自己紹介を求めてる…?
「えっ、と、相馬 百花です。」
「………」
な、なんで黙るの…?
「…成程。」
魔法使いちゃんはそう呟くと箒を取り出し…ちょっとまってどっから出した?
「ついてきて。」
箒に跨りさもありなんという顔でふわふわと浮かび上がる魔法使いちゃん。あり得ない…こんな夢みたいな話…!
…夢?そっか、これは夢…!夢なんだ!
夢なら流れに任せよう。ということで、私はその魔法使いちゃんについていく事にした。ここでまた一人になるのも心細いし…ね。
魔法使いちゃんは私の歩行速度に合わせてゆっくりと飛んでくれた。何処かに連れて行かれる道中、私は魔法使いちゃんから少しだけ情報を聞き出すことができた。…この子、表情の変化が乏しい上に口数が少ないというか断片的に喋るから話すのが難しい…
「あのっ魔法使い…?さん!」
「魔法使いじゃない。魔女。」
「あっごめん…魔女さん」
「なぁに?」
「これから何処に行くの?」
「アジト」
「アジト?」
「そう。アジト。」
どうやら"アジト"とやらに連れて行かれるみたい…いや何なのアジトって…
そう話しているうちに階段に差し掛かった。
魔女さんは浮いているのですいすい進んていく。私は階段を歩いて降りる。んん…少し速足にしないと…
「あ」
魔女ちゃんはぴたりと止まり(ホバリングしてる!)、私が追いつくのを待って、追いついた私を持ち上げ…箒に乗せた。
「???」
「速度調節苦手。飛ぶ。」
ちょっとまって自分より年下かもしれない女の子に軽々ひょいって持ち上げられただけでもびっくりなのに更に飛ぶとか情況把握処理追いつかないし心構えg
「待って待って待って待って待って」
「れっつごー」
魔女ちゃんは私の懇願を聞いていなかったのか聞いていて無視したのかふわりと浮かんだ。あっ意外と大丈夫そうかも…!
「つかまって」
と、魔女ちゃんは言うと同時に進み始めた。そして段々と加速していく…!
「うっわ…ぁ…」
思いの外速かったけれど、振り落とされはしなかった。振り落とされまいと必死に魔女ちゃんにしがみついていたからだ。
箒に乗った私達はすぐ階段を下り終え、また廊下に出た。
私に合わせてゆっくり飛ぶより私を乗せて飛んだほうが速いからか、そこから魔女ちゃんは私を乗せたままま目的地まで飛んでいった。
この学校は敷地が広いのか、妙に廊下が長い。教室の数もかなり多い。
暫く飛ぶと魔女ちゃんはとある教室の前で箒を止めた。扉の上のプレートを見てみる。美術室?ここがアジトかな…?
魔女さんが迷うことなく美術室のドアを開け入っていったので私も続いた。
誰もいない、静かな教室だった。電気も付いていない。
魔女さんは教室に入って少ししたところで無言で立ち止まっている。
「魔女さん…?」
「……」
またしても無言。
「…?」
なんで首傾げてるの…?
暫く無言で周囲を見回し、ゆっくりとこちらを振り返った魔女ちゃんは、
「…間違えた。」
と一言。
「えっ…間違えた…?」
「お手を拝借。」
そう言って魔女ちゃんは私の手を取り─
次の瞬間、私と魔女ちゃんは下方向─床に沈んでいた。
どしん!
落下?の衝撃を受けてへたりこむ私。痛くはないけど衝撃がすごかった…
「なんでお前はいつも上から降ってくるんだ!」
突然男性の声が聞こえた。
驚いて声のする方を見ると、背の高い男性が居た。この男性が魔女ちゃんに向かって発したのが先程の言葉だったらしい。
魔女ちゃんは男性の言葉に応答する。
「教室間違えた。」
「いつも言ってるだろ…3階じゃなくて2階だ!」
「そうだっけ」
「それと横着せずに教室間違えたらちゃんと下の階に降りて扉から入って来い!下に誰か居たらどうするんだ!」
「今日は特例。赦せ。」
「特例?」
男性はやっとこちらに気がついたようで、目が合ってすこし驚いたような表情になった。そして魔女ちゃんに状況説明を求める。
「…こんなに遅いのに依頼人か?もう日も暮れただろ?」
「否。保護った。新入り。」
保護った?私保護されたの?新入りって何?
「…そうか。」
男性は今の会話で理解したらしく、こちらに向き直り、話しかけてきた。
「初めまして。君は─」
「そーまちゃん。そーまももかちゃん。」
魔女さんが私の名前を男性に告げる。
「…ももかさんは、此処に来たばかり…でいいのかな?」
「はい。…そう…だと思います。」
「多分、ね…やっぱりどうやって来たかわからない感じか。…?何だよ」
脇で魔女ちゃんが男性を見つめていた。魔女ちゃんは心なしが少し驚いた様でこう言う。
「おー…アルトが人に優しい!」
「ちょっと黙ろうか真宵。」
今の会話から推測するに、魔女っ子はまよいちゃん、背の高いこの男性はあるとさんと言うらしい。
あるとさんはその後こちらの様子を少し伺いながら、
「見たところ怪我は無さそうだけど、大丈夫だった?」
と心配してくれた。
「はい…大丈夫です。まよいさんが助けてくれたので…」
ちらっとまよいちゃんの方を見ると「えっへん」と言わんばかりに胸を張っていた。ドヤ顔だ…
「それはよかった。何故だか知らないけど夜…日没後は怪物が彷徨くから気をつけたほうがいい。」
そんなまよいちゃんをあるとさんはスルー。
「わかりました…えっと…」
私は聞いておきたい事が山程あった。
あるとさんはそれを察してか、
「まぁ聞きたいことは沢山あると思う。立ち話もなんだし座ろうか。」
と、奥に案内してくれた。
色々と未完成だったり仮だったりしますが取り敢えずできたところまで。