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比較的最近更新した短編のまとめ場所

悪役令嬢を救えない転生者は、ただ理解者だけであり続ける

作者: リィズ・ブランディシュカ



 乙女ゲームの悪役令嬢。


 彼女は誰にも理解されない。


 そのまま、誤解されたまま生涯を終えてしまった。


 恋に狂って、悪事を成した悪人だと、人からそう言われ続けながら。


 断罪され、追放され、ただ一人で寂しく生を終えていった。





 だからその世界に生まれた転生者は、悪役令嬢の理解者として生きた。


 弱い転生者には、彼女の悩みを聞いたり、話をしたりする事しかできない。


 できることがそれだけだったから。


 それだけはしっかりとやり続けた。


 運命を変えることはできずとも、せめて彼女が孤独だけを抱えて、一人で生を負えないようにと。


 やがて原作が始まり、悪役令嬢は恋に狂って、ヒロインを虐め、敵を増やす。


 それはすべて予定通り、シナリオ通りに起こった。


 そしてそれが明るみになったとき、悪役令嬢は断罪されて追放された。


 悪役令嬢は救われなかった。


 未来は約束された通りになった。


 けれど、変えられたものはある。


 悪役令嬢には理解者がいたからだ。






 王子に恋をしたヒロインでは、厳しい妃教育に耐えられないと判断した悪役令嬢が忠告していたことを。


 恩のある友人たちを、虐めにかかわった者達を守るために、一人で罪をかぶったことを。


 家や両親に罪が及ばぬよう、独断で動いていたという証拠を残していたことを。


 転生者だけは理解している。






「僕は動けないから何もできない。君を直接運命から救ってはあげられない。それでも君の力にはなれたかな」

「ええ、もちろん。だから今までありがとう。さようなら」


「ボクが君を転生させてあげるよ、すごいでしょ? どこか生まれなおしたい世界はある?」といつかの神様は言った。


 けれどそれは意地悪な提案だった。


 どうして健康な子供として第二の人生を送れると思ったのだろう。


 どうして自分が記憶を持っているからといって、何かを変えられると思ったのだろう。


 難病の子供として生まれたその転生者は、悪役令嬢を運命から救ってやれなかった。


 理解者にしか、なれなかった。



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