怖っ
真夜中過ぎの工場、実は、そんなに怖くない。昼も夜もわからないくらいの、当たり前な感じ。こんなに沢山人がいて、マシーンたちはフル稼働だ。ホラーはどこに行ったんだ……でも、先輩は、怖がらせてくる……
いい風が吹いて、穏やかな夜。
「やっぱり、夏は夜勤だよね。クソ暑い昼間、エアコンを効かせた部屋で、くーくー寝るのは最高だしね」
そう言って微笑む先輩。キレイだけど、ちょっと性格が悪いんだ。
そして……先輩が、不穏なことを言ってくる……
「あそこで先輩が死んでたんだ。首を吊ってさ」
工場の工程、何も特徴のない"そこ"を死場所にえらんだのだろうか?……なんてことだろう?でも、少しも怖くないし、むしろ、ただただ、悲しいだけ……
「でもさ、それから半日もしないうちに、工程は稼働していたんだよ」
怖っ……
マジかよ⁉︎狂ってる……いや、そういうものか……⁉︎
いや、待てよ……おかしいだろう。そんな話は知らないぞ。おれはこの町で生まれ育ったのに、何故知らないのか?何故……
先輩は、笑いながら……
それはまるで、何かを諦めたような……
「ニュースにならないから。なあ……分かるよな!?」
うっわ、怖っ……