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05 習得


『平和の館』の屋上はかなりの広々スペースで、子供たちが走り回れる運動場的な広場まであるのです。


 そして、アランさんが『収納』から、愛車の『マリネ』を大切そうに取り出しました。



『魔導輪転式寝姿運転車』


 略称『マリネ』



 運転手が寝そべって操縦するタイプの2輪魔導バイク。


 アランさんがとても大切にしている愛車であることはみんなが知っております。


 アリシエラさんが開発してから、アランさんの意見でさまざまな改良が加えられてきた、


 安全性・快適性共に折り紙付きの魔導オートバイ、なのです。



「えーと、ちょっと待っててね」


 アランさんが屋上の隅にあるガレージから、車輪の付いたバスタブのようなものを運んできました。



「『マリネ』用サイドカーユニット『隣乗式コックピット型単独走行可能魔導車両』」


「略称『リコッタ』」



「簡単に言うと、『マリネ』と分離・合体出来る小型魔導車両、だね」

「これと合体すれば『マリネ・リコッタ』って言うサイドカーに早変わり!」


 めっちゃカッコ良いですね。


 でも、プリナさんが単独走行って大丈夫?



「いやいや、分離させるのは緊急時のみだから」

「サイリさんはプリナさんを絶対に離しちゃ駄目だよ」



 えーと、プリナさんが真っ赤っかになっちゃったけど、


 これが世の女性たちを困惑させる、アランさんの無自覚『モンスター』パワーなのでしょうか。



 ……



 ひと通りレクチャー終了。


 プリナさんも『リコッタ』の基本操作を習得。



 僕たちの個人認証魔導具『コニタン』を『マリネ』と『リコッタ』に登録、これがワイアレスキーになるのですね。


 近付くだけでロック解除、離れるとロックされて車体のセキュリティシステムが起動。


 近くに『Gふなずし』があると、連携してさらに『探索』『ナビ』の機能が強化されます。


 僕はあっちの世界で免許とか持っていなかったけど、これがすごいシステムだってことは分かります。


 

 自動制御式魔導ジャイロっていう装置が常に車体のバランスを制御していて、絶対に転ばないし、


 停車中もスタンドとか使わなくても倒れないのだそうです。


 自転車にも乗れない僕でも、絶対に大丈夫、とのこと。



 なだらかな曲面のカウルは、例によって絶金複合素材製。


 搭乗中は車体が特殊な結界で保護されていて、気持ち良い風のみが透過される設定。


 もちろん飛んでくる雨や異物はシャットアウト。


 こちらの世界にいる『リグラルトレイピアカブトムシ』というめっちゃ鋭いツノのカブトムシが走行中に飛んできても平気だったほどの結界だそうです(実話)



 今は"バリアラン"の相棒として活躍させるために、


 車体が以前よりも強度アップされており、


 さらにカラーチェンジ機能まで追加されたのだとか。



「一応"バリアラン"のイメージカラーが漆黒だから、アレしてる時は色を変えてるんだよね」

「本当はユイが好きな純白から変えたくないんだけどさ」


 さらりとおのろけするのも、アランさん流なのです。


 プリナさんのまなざしが乙女モードになったのも、当然見逃さない、僕。



 僕がなによりスゴいと思ったのは、非武装だってこと。


 アランさんは安全性と快適性に全てのチカラを注いだんだね。


 おっと、もちろんカッコ良さにも。




「レクチャーはこれくらいにして、後は実際に乗ってみるべし、かな」

「分からないことがあったら、『コニタン』に入れた取り説だけじゃなく、いつでも連絡してきてね」


「そうだ、旅のこと、出発前にサイリ家のみんなにも連絡しておいた方が良いんじゃないかな」

「『マリネ・リコッタ』なら日帰り出来るくらいの距離みたいだけどさ」



 さすがはアランさん、この気遣いこそが、奥さま4人の証し。


 思わず師匠って呼んじゃいそうです。



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