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12 お相手


 ほう、こりゃスゴい。



 朝起きて、一番に向かった花壇で見たモノは、


 手作り感満載のツリーハウス。


 いや、サイズ的にはドールハウス、かな。



 花壇の側にある、いつもフィナさんたちの編みカゴを吊るしている木に、


 チュースさんのおうちを、みんなで作ったのだそうです。



 なにせご本人と相談しながら作れちゃいますので、実に住み心地が良さそうなおうちに。


 それなりの大きさで結構な重さだそうですが、緊急時には移動も可能だそうで、


 風が強い日は我が家に丸ごと避難も可能。


 って、そういえば、この世界には台風とかってあるのかな。



『とても嬉しいのです』


 良かったですね、チュースさん。


 出来れば花壇や家庭菜園のお世話のお手伝い、お願いできますか。



『もちろんですとも』

『こんな身体で何も出来ない私ですが、これからよろしくお願いします』


 いえいえ、我が家の家訓は"ユルく楽しく"ですので、みんなで助け合ってのんびりやりましょう。


 ところで、今日はこれから街に行って肥料とか買ってくる予定なのですが、チュースさんはなにかご入用のモノとかありますか。



『もうこれ以上幸せになったらバチが当たりそうなので……』


 はい、これからのんびりやりましょうね。




 というわけで、今日は皆さんへの挨拶回りと、苗木のお世話のためのお買い物。


 なのですが、なにせああいうぶらり旅は初めてだったもので加減がわからず、


 寄り道するたびにおみやげを買い込んじゃいまして。


 つまり、プリナさんとふたりで、挨拶回りの際におみやげ配りも。



 みかんの育て方の本とかあればと本屋さんも探してみますが、さすがにピンポイントすぎますかね。



 ……



 挨拶回りも無事終了、ですが、本屋さんにはさすがに専門書は無かったのです。


 あとは肥料ですけど、顔見せがてら、商業ギルドで相談してみましょうか。



「では、いつもお世話になっているロミエスカさんに、おみやげを」


 すみません、プリナさん。


 そういう贈り物は商業ギルド内ではNGなんだそうです。



「大変なのですね」


 まあ、綱紀粛正やらなにやらで、最近は特にいろいろと大変なようなのです。




 はて、商業ギルドに着いた途端にロミエスカさんからお呼ばれされちゃいました。


 なにやら大事なご用件とかで、僕だけ応接室に。



「サイリさん、旅先で何かあったのですか?」


 皆目見当もつかないのですけど。


 むしろ何ごとなのか、ロミエスカさんに聞きたいくらいで。



「ジオーネ商会組合の副会長さんがお呼びなのですよ」


 ?



 まあ、相手が誰であれ、僕としてはいつも通りに対応するのみ、ですけどね。


 そう、いつも通りの"若仙人"で。



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