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01 事情

『リヴァイス 60 若仙人と過分な仮装適職』の続きで、


『若仙人』サイリのお話しです。


 お楽しみいただければ幸いです。




 こんにちは、イシン サイリです。


 異世界召喚者生活、


 良き家族に囲まれ、


 素敵な友人たちに恵まれ、


 落ち着いて暮らせる環境も整い、


 まさに今、幸せ満開、絶好調なのです。




「おはようございます、サイリさん」

「今、お帰りですか」


 おはようございます、プリナさん。


 朝食、すっぽかしちゃってごめんなさい。



「いいえ、夜遅くまで『リサイリー』のお仕事、お疲れさまでした」


 プリナさんのお弁当のおかげで、なんとかがんばれましたよ。




 きのうの夜は、出張の夜勤だったのです。


 滅殺公人2号『リサイリー』として、


 某国の王城宝物庫に住み着いている『大ねずみの魔物』を討伐する、という依頼でした。



 滅殺公人『バリアラン』ことアランさんが、


 自己都合により出動不能。


 っていうか、ぶっちゃけ激しいおしおきをされすぎて腰を痛めたとかで、


 急遽、単独での討伐任務となった次第。



 めっちゃ大変な依頼でしたよ。


 宝物庫っていうくらいですから、周りには国宝・秘宝がわんさか。


 ちょっとでも傷付けたりしたら、僕だけじゃなくて、依頼を請け負った『有害生物研究所』のシュメリ博士の首まで飛んじゃいますから。


 手を触れるのも畏れ多い伝説ちっくアイテムだらけとのことで、宝物庫管理者の方々もうかつには動かせないそうで、


 つまりは、このままの状態で周囲には一切の被害を与えずに、魔物だけ退治しろと……



 討伐対象は、触れてはいけない魔導具をかじって変異したと言われている、


 古より宝物庫で暮らしている大ねずみの魔物だそうで、


 どんな手段を使われても生き残る知能を得ているのだとか。



 で、"宝物庫の主"



 そんな感じなので、どうやって退治しようかと、


『リサイリー』ヘルムをフェイスオープンして、


 美味しいお弁当を食べながらひとりで悩んでいたら、


 当の魔物とご対面しちゃったわけで。



 なんだか訴えるようなまなざしでお弁当を見つめているので、


 ついおすそ分けして、いっしょになって食べちゃったりしちゃったわけで。



 そうこうしてるうちに、お話しするようになり、


 事情を知ってしまったわけで。



 なんでも、最近代替わりしたお城の料理長が変にやる気満々な人で、


 妙な方向に凝った料理ばかり作り始めたことがご不満のようで、


 やむを得ず美味しいものを探して城中をうろうろしていたら、


 お姫さまが大切にしていたとっておきのお菓子なんかに手を出してしまったのが運の尽き。



 それまでは、なあなあな感じでお城の皆さんと共存出来ていた"宝物庫の主"さん、


 お姫さまの鶴の一声で討伐対象に……




 僕たちの『通訳』魔導具がまさかこんなことに役立つとは、などと思いつつ、


"宝物庫の主"さんのお話しを聞いてたら、なんだか気の毒になっちゃって。



 で、美味しいモノがあって静かに暮らせるところならどこでも良いとのことで、


 とりあえず連れて来ちゃったのですけど、


 どうしましょう、プリナさん。



『おはようございます、お嬢さん』




「…………キャーッ」



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