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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔王討伐、その後・・・

作者: よしくん

かなり久しぶり描いてみました。


短いですが、よろしくお願いします。

なんだこの状況・・・

目の前の光景を見ながら思った。

なぜ?どうして?俺が何をした?

そして・・・俺の中で何かが切れた。







俺は、4年という長き日々、魔族との戦闘をくぐり抜け力を蓄え、俺と仲間四人と連携を強化して、ギリギリの所ではあったが魔王を倒す事ができた。そしてその仲間と王都に戻ってきた。


王都の門にたどり着き、俺達はきっと皆が喜んで迎えてくれると思っていた・・・所が門番が自分達を見つけると走り寄り発した言葉は、第一声は予想だにしないものだった。


「武器と防具、持ち物を全て捨てろ!!」


呆気にとられてしまい、反応できずにいると門番は槍を構え再度声を荒げて言った。


「聞こえないのか!武器と防具、持ち物を全て捨てろと言っているのだ。」


「ちょっと待て、俺らは盗賊でも犯罪者でもないぞ。自分で言うのもなんだが、魔王を倒して帰ってきた勇者一行だよ?」


確かに門番は、不審者を発見した場合こう言った行動を取ることは、ままあることなのだが、俺たちの事を知らない訳でもないと思いながらも勇者である事を告げる


「やはりそうか!この大罪人が!!早く武装解除しろ。」


門番が、俺らの事を大罪人と呼ぶのはどう言う事なのか。全くわからない。


「おいおい。どう言う事?大罪人って穏やかじゃないな。やっとの思いで魔王を倒して帰ってきた俺らが何をしたって言うんだ。」


「シラを切るな。もうお前達の情報はこの王都まで届いているのだ。」


魔王を倒した後、確かに倒した事を手紙で知らせて、怪我の治療などでゆっくり帰ってきたのはあるがそれが大罪人になるのか?俺らが悩んでいると門番は緊張した面持ちのまま更に続けて話した。


「なにも知らないとでも思っているのか?もう王都ではお前達の極悪非道の数々の報告、そして王を倒して自分達が王となる計画を立ている事は筒抜けだ!」


「はぁ?王を倒して自分達がって、馬鹿じゃないのか?なにが楽しくて王にならないといけないんだ。あんなめんどくさい立場はごめんだ。」


俺は、魔王を倒した後は、村で待っている幼馴染と畑を耕しのんびりと暮らす事を思い描きながら、頑張ってきたのだ。何が楽しくて王にならないと行けないのか、門番の言い分がわからなかった。


「まだシラ切るか・・・まあいい十分に時間は稼げた。後でゆっくりと聞くことになるだろう」


そう門番が言うと後ろの門が開き始めた。

開いた先には、奥に騎士が馬に乗り控え、その前には歩兵が武器を構えいつでも戦える姿勢で待機していた。

しばらく睨み合いが続き、どうしたものかと思案していると豪華な鎧を着込んだ一人の男が近づいてきた。


「門番、よくぞ時間を稼いでくれた。勇者に王都に入られる前に軍を揃える事ができた。後はこちらに任せよが良い。」


よく通る声で門番に話しかけたのは、軍のトップである。将軍であった。将軍にそう言われた門番が軍の後方に下がって行く。それとは逆に歩兵が前に進み出てきた。


「勇者一行、いや、大罪人ども武器を捨てろ、防具を外せ!荷物を全て捨てるのだ!」


軍をトップまで出てくる事態に俺たちは呆然とするしかなかった。


「従わないか・・・仕方ない。例の者たちを連れて来い。」


俺たちが訳も分からないまま、身動きが取れないでいると、奥から後ろ手に縛られた人達が連れてこられた。それを見た俺たちは、大きく目を見開き、驚くしかなかった。連れてこられた者たちをは俺たちの家族、友人、幼馴染などの親しい間柄の人達だった。


「なにをしてあるんだ。俺らの家族や友人たちに!!すぐ縄を解け!!許さんぞ!!」


思わず、信じられない光景に、俺は激昂し、思い切り叫んだ。


「ははぁ、本性を現し始めたな。大罪人が!見ての通り人質だよ。お前たち大罪人どもではあるが魔王を倒す程の実力者であるのもまた事実。我々か正面から戦っては被害が大きくなるのは必至。なのでこうさせてもらったよ」


俺の幼馴染もあそこにいる・・・他の仲間も家族や友人を人質に取られている。ここで逆らっても良い事はない。ちゃんと話せばわかってくれるはずだ。そう仲間と話し、とにかく今は武装解除して話を進めるしかないと結論を出し、武器を目の前に投げる。


「ふん!やっと大人しくする気になったか。ではこれをつけてもらおうか。」


そう言うと兵士が手枷を持ってきた。俺たちはそれを仕方なしにつける。すると体から魔力が急激に体から抜けて行く。


「その手枷は、魔力を強制的に放出して魔法を使えなくする魔道具だ。これで、武器も無ければ魔力もない状態だ。これで我々に逆らう事出来まい。さて、ついてきてもらおうか。」


「まて、俺らは従った。人質を解放してくれ。」


「なにを言っている。人質を解放した途端暴れられても困るからな。しばらくは解放はしない。お前たちが逆らわなければ問題あるまい。お前達の今後の態度次第では一部は解放しても構わないぞ。素直になる事だな。」


これ以上は話す事はないと、将軍は踵を返し王城の方へと進んで言ってしまった。


「さあ、こっちに来い。」


残った兵士に連れられて王都に入った。そしてそこには冷たい目をした国民が俺たちの事を見ていた。中には俺たちの覚えのない悪業の数々を話しているものがいた。

「あいつら、魔王を倒すからと言っては立ち寄った村や町で傍若無人の振る舞いだったらしいぞ。」

「食事しても金を払わない」

「道具屋でもポーションや回復薬も無理矢理持って行った」

「気に入った娘を無理矢理に夜、部屋につれこまれて朝まで解放されない。」

「みんな魔王を倒す為と無理矢理泣き寝入りさせられてた。」


言いたい放題だった。一体誰がこんな根も葉もない噂を流したのか。俺らはなにも分からないまま、罪人が入れられる牢屋に別々に入れられた。


それから毎日、罪状の読み上げとそれを行なったかの確認が続いた。もちろん自分にはやった覚えがないので否定する。


「ここまで強情だとはな!いい加減認めたらどうだ?」

「やってないものはやってない!濡れ衣だ!」


こんなやりとりが仲間と話せないまま一週間ほど続いた。そして、俺は認めないままであったが、俺たちの裁判が行われた。


「勇者一行の剣士として戦った、ハウルよ。罪を認めるか?」


そう聞かれたハウルは一度俺の方を見て申し訳なさそうにしながら下を向き話し始めた。


「・・・認めます。」


俺は目を見開いた。なぜ?やってもいない事を認めた?おかしいだろなにやってるんだ。と怒鳴りたかったが裁判中は発言を求められたもの以外が発言した場合、問答無用で有罪が確定してしまう。仕方なくハウルを見るが下を向いたままで小刻みに震えていた。


そして、弓士のエルガ、魔法士ジョージ、治癒士サイモン、斥候士ルータ共に同じ様に悔しそうにしながら罪を認めてしまった。さらにその罪はおれの指示で脅かされ仕方なくやったという事になっていた。

仲間の悲痛な姿を見て、これはきっと「言う事を聞かなければ人質を殺す」などと脅かされて、しかななく罪を認めたのだろう。仲間の姿が物語ってる。


国はなにがしたいのだ。いや、自分にはわかっているだろう。なにをしたいのでなく俺らが邪魔になったのだ。魔王を倒す程の戦力、そんなものが、王国に逆らえば国が傾きかねない。

だから、人の弱みにつけ込み脅し仲間たちに自分たちに都合の良い話をさせたのだ。そして俺の番が来た。


「勇者デコルよ。罪を認めるか?」


「認めない。こんな茶番付き合えるか!」


俺は強い口調で裁判官に答えた。


「勇者デコルよ。お前の仲間たちは罪を認めている。お前一人が嘘をつけば、そんなのはすぐわかる事だぞ。」


「やってないものは、やってない。大方、仲間たちの事を脅しいう事を聞かせたのだろう。俺はそんな事に屈しない。」


裁判官は少々呆れた様に肩をすぼませ、改めて俺に問うて来た。


「勇者よ。我々が仲間を脅したなどの言いがかりはやめてもらおう。お前の仲間が素直に罪を認めたのだ。今一度、聞く。罪を認めるか?」


結局、罪を認めない俺は有罪が確定し、仲間も有罪が確定したが、脅かされたという事と魔王を倒した功績を加味し、生まれ育った村や町に五年間幽閉となった。

これはきっと自供と同じく、人々を人質に取ったのであろう。幽閉されている間の人質としてまた監視役として使うのであろう。なんて卑怯な・・・


仲間とは裁判が終わると何も話せないまま、それどころか顔を合わせる事なく連れて行かれてしまった。後で牢屋の兵士に聞いたがそのままそれぞれの故郷に幽閉される為に出発したそうだ。

そして俺は、死刑を言い渡され、執行までの間また牢屋に戻された。牢屋に戻された俺は今までの事を思い出していた。

女神からの天啓と言われ、村から有無を言わさず連れ出され、仲間も同じように天啓を受け連れてこられた。それからひたすら訓練の日々それを乗り越えた俺は仲間と共に魔王城目指し、ひたすら頑張った。時には挫けそうになったことあった。そんな時でも仲間と励まし合い乗り越えてきた。

国の為、人々の為にと、又、魔王を倒した後は、村で待っている幼馴染と畑を耕しのんびりと暮らす事を思い描きながら頑張ってきたのだ。そんな事が俺の原動力となり遂には魔王を倒す事ができた。


しかし、女神からの天啓とは何だったのだろうか?当時は訳も分からないまま正しいと信じていた。その結果俺は死刑を言い渡された。

俺は、何のために勇者として、魔王と戦ってきたのだろうか・・・

俺は魔王との交わした会話を思い出していた。


「勇者よ。ようこそ。我が城へ」

「貴様が魔王か!人々を苦しめ、恐怖を与える存在。今日をもって終わりだ!」

「勇者よ。そういきり立つな。少し話をしようではないか。」

「貴様と話すことなどない!」

「そう言わずに、我の話を聞いてからでも遅くはあるまい」

魔王はこちらの殺気を気にもせず、王座に座ったまま話を始めた。

「勇者よ。お前は自分が正しいと思って我を倒しにきたのか?」

「当たり前の事をっ!その為にどれだけの犠牲があったと思っている。」

「そうか、ならばよい。無理矢理ではないのだな。己の信じる道を進んだ結果がこれなのだな?」

「そうだ。そしてここにお前を倒す為にたどり着いた。」

「では質問を変えよう。お前たちからみて我々は侵略者か?略奪者か?それとも良き隣人か?」

「お前たちは、侵略者で略奪者でないか!」

「そうか、そう思い込まされているのだな・・・哀れな。」

「何を言っている。嘘をついたところで状況は変わらない。魔王諦めろ、苦し紛れの時間稼ぎにしか見えないたわ言はやめろ。」

「真実を知らず、ここまできてしまったのか哀れだな。よく聞け、我々魔王軍は、過去一度たりともそちらの領地に攻め入ったことはない。全て攻め込まれたことに対して防衛したまでだ。又防衛が上手くいかず、奪われた領地も少なからずある。しかし、お前たちの国の防衛力が足らなかったのか魔物のコントロールができなかったのか、こちらが何もしないのに領地を破棄した事もあったな」

「カルべの街の事か?あそこは魔王軍の策略で魔物の大群に攻め落とされたはずだ」

「それは違うぞ。我々に魔物を操る力はない。元々魔物が増えないように定期的に魔物を狩って数を調整していたのだ。それを街を奪った後お前たちは、それを怠った為に魔物が大繁殖して潰されたのだ。その後あの周辺の魔物を狩るのにどれだけの犠牲のもとに沈静化していると思っている。お前達より魔力が高いがそれ以外はさして変わりがないのだぞ。その犠牲があったからこそお前達の国には被害がなかったのだ。」

「嘘を・・・嘘を言うな。そんな話信じられるか!」

「我々は、自分達の国を守り、隣国に被害が及ばないようにしてきた。しかしお前達の国は我が国に攻め込んできた。悪はどちらかはっきりしただろう。お前達の王は私腹を肥やし、領土拡大の為、何も罪のない我々国に言いがかりをつけ攻め込んできたのだ。その為に多くの国民が犠牲となった。なぜだ?なぜ犠牲にならなければならない?お前の国が悪ではないのか?滅ぼすべきは、お前の国でないのか?お前の国の王こそ、魔王ではないのか?教えてくれ勇者よ。悪はどちらだ?」

「嘘を言って俺たちを動揺させるつもりか?そんな事に騙されるものか。素直にこの場で死ね。」

「そうか・・・ここまで言っても分からないか。お前達はここまでの道のりで何を見てきた?我が国に入ってから、お前達の国と何か違ったか?同じであったはずだ。農民は田を耕し、町では商人がものを売り、食堂や宿屋などでは旅の者達を受け入れ、町に住む者は町で子を産み育て、やがてその子も育ち同じようにそこで生活をし、新たな世代に受け継いでいかれる。お前達の国と何がちがう?いや、違うところがあったな。我々は亜人と呼ばれる種族も良き隣人であり大事な国民である。だが、お前達の国は亜人を認めず獣以下の扱いをしているな。亜人は人ではないのか?見た目だけで迫害するお前の国は正義なのか?」

「亜人は野蛮で獰猛、我らが管理せねばまともな生活も送れない存在だ。」

「お前の国は、まだそんな事を言っているのか・・・。我々の国では、普通に生活をして暮らしている。どこが野蛮で獰猛なのだ。お前達もその目で見てきたのだろ?自分の目で見てきたことと、お前達の王が言っていることのどちらが正しいか一目瞭然ではないか?」


この時、俺はかなり揺らいでいた。今まで教わってきたことが、根底から覆る状況に何を信じていいのかわからなくなっていた。そして俺は最悪の選択をしてしまった。考える事を放棄してしまったのだ。


「うるさい、デタラメばかり言いやがって、そんな訳あるか!お前を倒し平和を取り戻す。」

「そうか・・・ここまで言ってもわからぬか。いや、考える事を放棄したと言った方が正しいか。」


魔王の図星に俺は答える術はなく、そのまま無言で魔王に斬りかかるしかなかった。

魔王が俺の剣を魔王の脇に置いてあった剣で受け止める。


「戦う事を選択したのだな・・・ならば我も国を守るために戦わせてもらおう。覚悟は良いか?」


そう言うと魔王から今まで感じたことのない様な殺気が溢れ出す。俺は思わず、後ろに飛び下がった。


「なんだ。我の殺気だけで怖気づいて後退か?勇者とあろう者が情けないな。そんな事では我は倒せんぞ。」

「うるさい。今のはほんの軽い挨拶だ。ここからが本番だ。」


それからは、まさに一瞬の気も抜けない熾烈な闘いだった。剣士ハウル、弓士エルガ、魔法士ジョージ、治癒士サイモン、斥候ルータと連携を取り、魔王に対して時には剣をぶつけ合い、魔法を放ちその隙をつき弓を放ち、目眩しをしつつ、隙を見つけては斬りかかる。一体どれくらい闘っていたのか、自分でもわからなくなるくらいの時間の死闘をしていた。

そして、ついに俺の渾身の一撃が魔王の心臓を貫いた。剣を引き抜くと魔王はそのまま、床に倒れていった。


「やったぞ。これで世界は平和になる!!」


俺も仲間達も喜んだ。


「・・・勇者・・・よ・・・」


倒れている魔王から、声がした。俺たちは慌てて武器を構えた。


「まだ、生きていたかしぶといな」


魔王はゆっくりと身体を仰向けにすると口を開いた。


「なんとかな・・・だが、心臓を貫かれてはもう長くは持つまい。命尽きる前にお前に言っておかねばならない事がある。」


魔王の言う通り、闘い始めた時の殺気や威圧感はどこにもなかった。


「なんだ?」


仲間は遠巻きに待機してもらい、俺は魔王の側にいった。

魔王の話した内容は、驚愕に値するものだった。その事は本当かどうか確かめるすべは何もない。ただ・・・魔王には・・・

そして最後に俺と話しした魔王は静かに目を閉じていった。


魔王との事を思い出しながら、俺は考えていた。俺が目で見てきた魔王の国も王国と変わらず普通に人々が穏やかに生活していた事、そして小さい時より聞いていた魔王の国は修羅の国で戦いこそが全て力の強いものが支配しその頂点が魔王と言う話し、そして王から聞かされた魔王が我が国に攻め込んできた。そのため大勢の死者を出し国民困窮している話しを・・・しかし、魔王の言った事が正しいのか王国が言っている事が正しいのか、もう俺にはわからなくなっていた。仲間はすでに生まれ育った村や町に連れていかれ、話をすることもできない。せめて仲間と話ができれば・・・答えを導き出す事が出来たかもしれない。どうすればよかったのか・・・答えの出ないまま時間だけが過ぎて行った。


そして、裁判から、一カ月ほど過ぎた頃、俺は死刑の日を迎えた・・・


俺は民衆の集まる中、死刑台の下の所までやってきた。執行人が死刑台に上がり、俺の罪状を読み上げる。まったく心当たりのない事ばかりをこれだけ作ったものだ。罪状を聞いている民衆は、俺の事を汚物でも見るような目で見ていた。

俺の今までの努力や仲間との辛く厳しい日々だけど国の為、国民の為と仲間との歯を食いしばり乗り越えてきた事が一体なんだったのか、俺の心にぽっかりと穴が空いたような感覚に陥っていた。これは悪い夢なんじゃないか?朝、目が覚めたら村の中にいるんじゃないかと思ってしまう。

そして、執行人が罪状を読み終わると一度咳払いをして声を張りながら宣言した。


「以上の罪状から考慮すべき事は何もなくデコルより、勇者の称号を剥奪し、死刑と処す!!」


民衆はそれを聞いて当たり前だと言わんばかりの顔をでうなずいていた。


「本来であれば、大罪人デコルを今この場で処刑を行う所であるが、明日に延期とする。」


民衆がざわつく。今日大罪人デコルの処刑が行われると思い集まっていたのだから当然であった。しかし処刑人は話を続ける。


「延期の理由は、昨日、大罪人の仲間が反乱を起こし討伐された、そのもの達の首を本日この場に晒すものとする。」


処刑人の話が頭に入ってこない。何だか急に俺の周りの温度が下がったようだ。俺の歯がガチガチと音を立てている。


「首を持ってこい。」


処刑人が指示をすると丁度頭がすっぽりと入りそうな箱を五つ持って処刑台に上がった。

それを見やすいように処刑台の前に並べて置いた。


「これらのものは大罪人こそが正義だと王国に反逆の意思を示し、反乱を起こした首謀者として打ち取ったものである。そしてここに晒すものとする。」


そうして、箱が開けられ出てきたのは・・・


「ハ・・・ウル・・・、エ、エルガ・・・、ジョージ・・・、サイモン・・・、ルータ・・・ど、どうして・・・」


信じられない光景が目の前にあった。共に四年間戦った仲間の首が並べられていた。


「おい・・・嘘だろ・・・何ふざけているんだ・・・冗談も・・・いい加減にしろよ・・・目開けてくれよ・・・いつもみたいに笑ってくれよ・・・」


現実が受け入れられなく、並べられた首に話しかけるも返事が返ってくる事はない。俺が放心している間も処刑人からは新たな話が始まっていた。


「首謀者はこの通り打ち取り、また反乱を起こした者は全て討伐された。それと合わせ首謀者と関係の深い者も反逆罪で全て処罰された。王国に仇なす者は全力で排除し、国民を守るのが我が国である。安心して生活をしてほしい。」


そう高らかに宣言する処刑人は処刑台の上から俺を見下ろし、口の端を上に少し持ち上げていた。それを見て俺は心の中に今までなかった黒い靄みたいなものが生まれた感じがした。その心の黒い靄が俺を突き動かすように俺は叫んでいた。


「きさまらっ!!なんて事を!!俺の大事な仲間に!!ふざけるな!!許さん!!」


冷めた目で処刑人は見下ろしながら「大罪人が何を言う。お前は明日ここで処刑されるのだ。それで王国も安泰だ。」そう言うと処刑台から降り俺の下まできた。


「よかったなお前の命が仲間のおかげで一日延びたじゃないか。仲間に感謝しろ。」


そうな耳元で囁きその場から立ち去った。

おれは悔しさと悲しさと色々な感情が俺の体の中を駆け巡っていた。しかし俺にできる事はきつく拳を握り締めるだけだった。


その夜、牢屋に戻された俺は仲間達に何もできなかった悔しさでただ泣くことしかできなかった。そして、日中に生まれた心の黒い靄がだんだんと大きくなっていくのを感じながら一睡も出来ないまま朝を迎えた。


俺は再び、牢屋から連れ出され処刑台の元に連れてこられた俺は処刑台に上げさせられ太い柱に後ろ手に縛られ、足と首も丈夫なロープで柱に縛られ処刑台の中央に柱と共に掲げられた。脇には仲間達の首が今尚晒されていた。握った拳に力が自然と入って行った。


「これより、大罪人デコルの処刑を行うが、その前に別の処刑を行う。」


そう処刑人が言うと、兵士達が十数人のロープで縛られ頭には麻で編んだ袋がかけられ誰だかはわからないが男女が俺の前に並べられた。


「この者たちは、大罪人デコルを牢屋から連れ出そうと目論み失敗した者たちである。大罪人を脱獄させようなど、許される事ではない。よってこの者たちはも大罪人デコルと共に処刑する者である。兵士達は犯罪人前へ!」


脱獄させる?俺を助ける為?一体誰が?わからないまま、処刑人が言うと槍を持った兵士が麻で編んだ袋がかけられ者達の前に三人づづ並び立つ。


「兵士構え!」

「やめろ!これ以上犠牲を増やすな!やるなら俺だけしてくれ!」


しかし兵士達は俺の声を無視し、処刑人の掛け声から兵士達が槍を構える。槍の穂先は立ち並んでいる人の首、心臓、額に向けられていた。そして立ち並んでいる人達は身体を硬くし震えていた。あたかも助けてと叫んでいるようであった。しかし俺は、何も出来ず、「やめてくれ。」とお願いするしか出来なかった。


「やれ!!」


俺の言葉など聞こえないと容赦無く処刑人のその言葉に立ち並んでいる人達はビクッとし、兵士達は一斉に槍を首、心臓、額めがけて突き出した。それにより皆、心臓を、首を貫かれ額に槍が突き刺さる。こうなっては即死だろう。苦しまなかっただけよかったかもしれない。しかし中には処刑される人が固定されていなかったので兵士達のタイミングが合わず額を狙った兵士の槍が逸れ、麻の袋が裂けるだけになったものもあった。心臓と首を貫かれては例え額に槍が刺さらなくても助からないだろう。ただ即死にならない分苦しむ事になるはずだ。俺はそんな他人事のような思いでその光景を見ていた。槍で貫かれた人達は壊れた人形の様に次々と倒れていった。その中の一人、額を貫かれず麻の袋が裂けるだけになった女性が俺の前に倒れた。そして裂け目から見えた顔は俺のよく知る人だった・・・俺は大きく目を見開き凝視した・・・喉から血を流し胸からもどんどんと血が流れ出している。その人は幼馴染のエリーであった。エリーと目が合う。すると残った力を振り絞るように小さな声を発した。


「・・・ア・デ・・・ル・・ご・・・め・・・」


そこまでだった。エリーはそれ以上動くことも、喋ることもなかった・・・


「エリー!!!!」


仲間を失ったショックとエリーが目の前で生き絶えるのを見た瞬間叫んでいた。



なんだこの状況・・・

目の前の光景を見ながら思った。

なぜ?どうして?俺が何をした?

そして・・・俺の中で何かが切れた。



女神よ。見ているなら俺に力をよこせ。

全ての人の強き願いを叶えてくれるのだろう。

だから、欲しい・・・全てを壊せる力を・・・

そう天に向かって願った。


俺の中で生まれた黒い靄が、俺の体から溢れ出した。その靄は憎悪を糧にアデルの中で育ち、勇者としての素質と混ざり合い俺は新たな力を得た。これは女神に願いが届いたのか、おれを縛るロープを力任せに引き裂き、柱より飛び降りる。


「な、何故だ、お前は拘束具で力が出せないはず、兵士!急いで大罪人を処刑しろ!」


俺が突然ロープを引き裂いた事に驚き兵士達に指示を飛ばす。兵士達は一斉に槍を俺に向かい放って来たが、元勇者の俺には止まって見えるほど遅い突きであった。槍一本を右手で掴み、左手でそれ以外に迫る槍を払いのけた。


「何をしている。早く大罪人を殺せ!」


右手で掴んだ槍を兵士より奪い横一線に薙ぎ払う。四十人以上いた兵士の内俺の周りにいた八人の兵士が上半身と下半身に別れそのまま崩れ落ちる。俺は兵士の方に近づき槍を再度横一線に薙ぎ払う。振り切った所から前に進みながら逆方向に横一線に薙ぎ払う。これだけの事で立っていられる兵士は半分になっていた。


「新たな力は勇者以上に感じる。そして新たな知識も不思議と手に入った。これが・・・本当に女神からの・・・」


そこから俺は槍を縦横無尽に使い次々と兵士達を倒して行った。最後の一人の額に槍を突き刺し俺は槍を手放し兵士の脇に落ちていた剣を拾い処刑人がいの方へゆっくりと歩いていく。この惨劇を目の当たりにした民衆はパニックを起こし、散り散りに逃げ出していく。


「大罪人が罪を重ねるとは、私直々に処刑してくれる。」


虚勢を張っているだけなのか、自信の表れなのか剣を構えこちらを睨みつけていた。


「俺は、今まで王国為、みんなの為、闘い続けて来た。それがこの仕打ちか?許さん!!こんな国無くなってしまえ!!!」


声を張り上げ力任せに上段から剣を処刑人に向かって振り下ろす。


「え・・・」


それが処刑人の最後の言葉だった。身体が左右に分かれそのまま崩れ落ちた。


「エリー・・・」


俺は俺の目の前で殺されてしまったエリーに近づく、縛られていたロープを引き裂き顔に掛けられた麻の袋を外し寝かせる。同じように殺された人達の猿ぐつわや拘束解き、人物を確認する。


「隣のおやっさん・・・」

「サンタ・・・」

「ガイ・・・」

「メイヤ・・・」

「道具屋のジュザ・・・」

「おじさん、おばさん・・・」

「親父・・・、お袋・・・」


殺された人達は俺の村の親しい人達ばかりであった。殺された村の人達は、よく見れば槍で刺された以外にも数々の暴行を受けただろう跡があった。腕や脚に切り傷、火傷、痣、よく見れば手の指の爪が剥がされている。服をめくって確認するも一体どれだけの暴行を受けたのか目を背けたくなるような状態であった。

一度収まり掛けた黒い靄が俺の怒りに反応するかの如くさらに濃度を増し、俺の身体にまとわりつく、そしてまとわりついた黒い靄は身体に刺青のの様に模様を形成して行く・・・


「この模様・・・そうか・・・言ってた通りだな。俺は違うとか言ってやっただけどな・・・」


身体に出来た刺青を見ながら呟く。そして魔王の最後の言葉を思い出す・・・


「勇者よ。我の身体にある刺青を良く覚えておけ。必ずお前の身体にも現れるだろう。」

「この後に及んで俺に呪いをかけるのか?そうはさせない。」

そうして魔王にトドメをと剣を構え直すと魔王はフッと笑みをこぼす。

「勇者よ。トドメを刺す必要はない。放っておけば我は時期に死ぬ。それに呪いをかける力など我は持っておらん。真実を教えよう。」

「真実をだと?」

「そうだ。我は、元勇者だ。お前と同じくな、女神の信託により王国に勇者と認定され、当時は帝国の脅威を取り除いてほしいと王に言われ、我も民の為にと戦いに挑んだ。そしてお前と同じよう様に帝国の王の前までたどり着き、王を・・・帝国を滅ぼした。そして王国に帰ると我は犯罪人に仕立て上げられ危うく殺されそうになった。その時、仲間が身を呈して庇ってくれたおかげで助かったが仲間はそれにより命を落とす事になった。われはその時、王国為に。民の為にと戦いに挑んだのにこの仕打ちはなんだと、怒りに囚われた、その時にこの刺青が身体にも浮かび魔王となったのだ。」

「勇者だと・・・事実なのか?」

「今さら嘘を言っても仕方あるまい。そもそも女神の啓示とはなんだと思う。」

「人々を幸せにする為の助言や助けをくれる存在」

「本当にそう思うか?では、勇者が魔王になるのが人々を幸せになるのか?根本のところが間違っているのだ。女神は、人の欲望の助けをするのだ。善悪の判断はないのだよ。女神に祈りが届いた者に力を与えているだけ、そもそも善悪の判断は人がしているだけで女神は無垢なのだ。だから強い願いほど聞き入れられてしまう。それが人から見て悪だとしてもない。」

「それが事実なら・・・王国は・・・」

「そうだ。己の要望の為に女神に勇者を望み、邪魔な帝国は滅び、それを滅ぼした勇者が王国の脅威となりかねない。だから邪魔になり、ありもしない罪で我を罪人に仕立て殺そうとした。」

「・・・」


俺は言葉を発せなかった。本当に魔王の言っていることが事実なら、この俺は・・・


「王国を信じてはならない。自分で信じた道を進むのだ。そうしなければお前も我と同じ道を行く事になるぞ」

「なるものか。おれは村に戻って静かに暮らす事しか考えていない。土を弄りながら暮らすつもりだ。」

「そうなれば良いがな・・・我は疲れた・・・ゆっくりと・・・休ませて、もらお・・・う・・・」



そうだったな。結局魔王の言った通りになってるしまった。奴は、誰も使っておらず、所有権を言う国もない土地で自分の国を作り亜人達を守る事で王国に対抗していたのだ。決して自分達から攻める事なくただただ、平和な時間を守る為に・・・


「ははは・・・なんて事は無い王国が、争いの原因では無いか・・・王国さえ居なければ皆平和に暮らしていたのでは無いか・・・」


俺の中で、いろいろな考えが浮かぶ・・・

このまま、亡くなった皆を連れて村に帰り葬い、人里離れ生きるか。魔王国に行って王国からの脅威に対する盾となるか。いっその事、王国の王族、貴族を皆殺しして国を滅ぼすか。

俺の中で葛藤する。魔王になったせいか、滅ぼしてしまえと思う暴力的な気持ちが強くなる。王国は許せないが、それよりも村人達の・・・エリーの亡骸だけでも村に連れて帰り葬いたい。

周りを見渡すと誰もいない。


「軍は何をしているんだ?すぐ来ても良さそうだが・・・」


こちらとしても都合がいいので、俺は近くにあった。馬車に村人たちの亡骸を積み込み腐らない様に魔法で凍結した。馬車に馬を繋ぎ、出発した。それからおっても来ず、疑問に思いながらも懐かしい村に近づいて来た。荷台に顔を向け話しかける様に呟いた。


「みんなもう少しで村だよ。またみんなで静かに暮らそう。」


目の前の小高い丘を越えれば村が見下ろせる、懐かしい村が・・・間も無く見えてくる。


「な、なんだ・・・これ?王国はここまでするのか・・・」


丘の一番高い所に着き、懐かしい村を見下ろすとそこには、かろうじて村だったとわかるくらい破壊され、焼かれていた。俺はまず村まで行き、生存者がいないか探した。しかしいくら探しても犬一匹いなかった、殺された村人以外はどこかに逃げていてくれればいいのだか・・・今は考えても仕方ないので馬車に乗せている村人たちを埋葬する為に村の奥にある共同墓地に向かう。ここはさすがに破壊されていなかったが、もう村が壊滅的状況では手入れされなければ、ここもいずれ村と共に森に沈んで行くだろ・・・それでもここで生まれ育った人達だここを離れたくは無いだろう。安らかに眠ってくれることを願うだけだ。それから一晩かけて穴を掘り村人たちを埋めて行った。最後の一人エリーを馬車から抱え降りてくると遠くの方から人の気配がした。最初生き残った村人かと思ったが近くにつれ、そうでは無いことを思い知らされる。やって来たのは王国の軍であった。


「エリーとのお別れもゆっくり出来ないとは・・・どうせくるならもっとゆっくり来てくれれば良いのに」


そう愚痴りながら軍の方を見る。三千人、いや五千人はいるかという人数が俺の方に向かって来た。百メートルほど離れた所に止まり、前列には歩兵部隊と重騎兵その後ろに弓矢の部隊と魔法士の部隊が並びその後ろに騎馬隊が待機していた。

そこから、一騎の騎馬が前に出て来た。


「大罪人アデル!処刑を逃れる為、大勢の兵を殺し逃げた事は許されることでは無い。軍を持って討伐する!大人しく死ね!」


前に出て来たのは、将軍であった。口上述べ不敵な笑みを浮かべていた。

俺はエリーを抱えたまま、将軍に向かって話す。


「俺は、魔王を倒す為、全てをかけて闘った。それを成し遂げ、帰って来た俺たちにありもしない罪を着せ、仲間を殺し、村人を殺し、俺も殺そうとした。魔王の言った通りだった。自分達の私利私欲の為に平気でこんな事をする。これがお前達のやり方か!」


将軍の不敵な笑みを見て、俺の中の黒い部分が大きくなり怒りに任せて怒鳴る。しかし、そのおかげで少し冷静になり将軍をみながら話す。


「たのむ。俺はこれ以上、犠牲を出したく無い。だから俺のことはほっておいてくれないか?村人達を葬いお前達とは関わりを持たない。俺はこいつらの墓を守って静かに暮らしたいんだ。」

「何を言い出すのかと思えば、命乞いか?そんなもの認めるわけがなかろう。たかが犯罪者如きの戯言をいちいち聞いていたら王国の名折れだ。そもそもあれだけの兵士を殺しておいて許されるわけなかろうが!」


そうか、もう引き返す事は出来ないのか。抱き抱えたエリーの顔を見ながら呟くように話す。


「俺はお前と静かに暮らしたいだけだったんだかな。お前と結婚して子供は三人ぐらいは欲しかった。仲良く歳をとり、子供達や孫達に囲まれながら死んで行きたかったよ。勇者なんてなりたくなかった・・・女神はこんな不幸を作るために勇者なんて力を俺に寄越した・・・。こんな力なければ誰も死なないで済んだものを・・・」


自然と目からは涙が溢れ出ていた。エリーを少し強めに抱きしめる。


「ん?その女、お前の幼馴染の娘か。その女なかなかよかったぞ。てっきりお前のお手付きかと思ったが、初めてだったな。いろいろな堪能させてもらったよ。俺が飽きた後は兵士達も随分世話になったらしいな。あれだけの数相手にしたのだ誰かの子を孕んでいたかもな。誰の子か分からない子を産むより死ねてよかったじゃないか。」

「何だと・・・、お前らそんな事をエリーにしたのか!!」

「そう怒るな。女なんていくらでもいるんだ。そもそもその女から股を開いて来たのだぞ。俺の元にやって来てお前を助けて欲しいと懇願に来たから、俺の女になるなら考えてもいいぞ。と言ったら自ら俺の上にまたがり、女から腰を落としたのだぞ。まぁ初めてだったのは驚いたがな。」


俺は怒りで我を忘れそうになる。大方エリーの逃げ道をなくした上でそうするしかなくしたのだろう。体の表面がザワザワとする。俺の怒りに合わせるように体にできた入れ墨が今まで以上に体に広がっていった。


「エリー本当にごめん。君を不幸にする事しか出来なかった。恨んでくれていいよ。俺はそれを背負って行くよ。そして俺は決めたよ。お前は怒るかもしれないな、でも前魔王のように弱き者を守るのでなく俺は全てを破壊する。」


そうエリーに宣言するかの様に話すと俺の中で何かが本当に吹っ切れた様な気がした。


「女神は、本当に強い願いに・・・だから、人が平和にならない。王国も女神も必要ない、全て破壊してやる・・・」

「何を一人でつぶやいているのだ。お別れは済んだか?済んでいなくとも待ちはしないがな大罪人アデルここで抵抗することなく死ね。大罪人アデルを始末しろ!!」


将軍の掛け声と共に軍が前進を始めた。俺はエリーがこれ以上傷付かない様に地面に寝かせ、新たに得た知識から防御結界の魔法をかける。


「これでもう大丈夫。誰もお前を傷つける事は出来ない。」


俺は、武器を持っておらず素手で軍隊に向かって突進して行く。そこからは一方的な虐殺であった。アデルが殴れば鎧を着た兵士が爆発したかの様に破裂し、蹴りを入れられれば鎧ごと突き抜ける。その間にもアデルは魔法を放ち、魔法士や弓士を火だるまにして行く。途中兵士の剣を二本奪い両手に持つ、剣には強化魔法をかけ強度を上げて鎧ごとバターの様に切り裂き死体の山を作っていった。半数程の兵が倒されると兵士達に動揺が広がり後ろに下がる者が出始めた。


「何をしておる!!たかが相手は一人ではないか、時期に疲れて動きが鈍くなる。魔法を放て体制を立て直せ!!」


将軍の発破で多少持ち直し無事な魔法士達が詠唱を始めた。俺はその場に立ち尽くし魔法が来るのを待った。


「ついに諦めたか。魔法士たちよ。魔法を放て!!」


魔法士の周りに魔力集まり形を成して行く。そしてそれは一斉に俺に向かって飛び出してきた。


「無駄だよ。こんな魔法では俺に届かない」


エリーの周りに張った防御結界と同じものを自分の周りにも張る。その後、次々と魔法が届き炸裂する。外から見ると髪の毛一本残さないかの如く爆発が起き、兵士達は煙の中心部を見つめる。将軍はその様子を見てニヤリとした。


「これだけの魔法を食らっては助かるまい、例え助かったとしても重症は必須、兵士直ちに状況確認!!」


土埃が、薄くなって行くと無傷な俺は、素早く飛び出し確認にきた兵士を切り捨てる。


「将軍無駄だよ。お前達では俺に勝てない」


そう言い、俺は魔法を放つ、将軍の前にいた兵士に直撃し身体が爆散し、周辺に兵士の肉片が飛び散り、将軍にも降りかかる。


「馬鹿な!あれだけの魔法を浴びてなんともないなんて・・・ありえん・・・」


驚愕する将軍、兵士達も唖然と立ち尽くしていた。


「綺麗な軍服がよごれちゃったな。・・・だがなエリーが受けた屈辱はこんなもんじゃ済まさない。屈辱と恐怖の中、死んで行け!!」


俺は、残りの兵士に向かって走り出し、次々と斬り伏せ、逃げ出そうとする兵士には魔法を放ち蹂躙し続けた。

将軍と周辺にいた騎士数人を残し、全てを倒し終え、ゆっくりと将軍に向かって歩き出す。


「な、何故だ、これだけの兵力を用いても倒せないのか・・・」

「こんなちっぽけな兵力で俺を倒せるわけないだろう。この十倍いたとしても負けん。俺は前魔王を倒した存在だぞ。舐めるのもいい加減にしろ。」

「くそぉ、騎士!!奴と戦え!俺はその間に王都に戻り増援を・・・」


将軍が話をしているうちに騎士達は踵を返して逃げ出していた。将軍は逃げ出した騎士達を呆然と見ていた。


「将軍、部下に見捨てられたか、惨めだなぁ。まぁ逃げ出した連中は逃さないがな!」


俺は魔法を放ち、逃げ出した騎士達に次々と命中し、身体が爆散していった。


「さて、後は将軍のみになっちゃいましたね。剣を取って俺と戦いますか?それとも逃げ出しますか?お好きにどうぞ。どっちにしても死ぬ事には変わりないですから、たっぷり地獄の苦しみを味あわせてあげますよ。」

「な、な・・・、何故だ、我が軍が負けるのだ。た、たった一人だぞ・・・」

「あんたらの軍が弱いからだろ」


将軍は体をガタガタと震わせながら、こちらを見ている。必死に恐怖と戦っているようだった。


「アデル、お前を死んだ事にして、み、見逃してやる。そうすればもうこれ以上追っては、来なくなる。どうだ悪い話ではないだろう。ここで私を殺して軍が全滅した事でさらなる人数の軍が送り込まれるぞ。本意ではあるまい。死んだ事になれば、ここで静かに暮らすことも可能だ。も、もし望むなら、この地域は立ち入り禁止区域にして人を来なくするとも出来るぞ。」

「・・・・・・」


俺は沈黙した。それを将軍は都合のいい方に捉えたらしく、俺から少しずつ離れて行く。


「・・・おい、将軍」


声をかけると同時に右手に持っていた剣を下から上に振り上げる。そして将軍の左腕が地面に落ちた。


「えっ・・・」


将軍が自分の左腕があった所を見て目を大きく見開き遅れてやってきた痛みに悲鳴をあげた。


「逃す訳ないだろう。おっとこのままだと血を流しすぎて死んでしまうな。止血しないと。」


そう言って左腕の切り口に火魔法を放ち傷口を焼いて血を止める。


「グワァー!!!痛い!!痛い!!助けてぇぇ!!」

「なんだ、血を止めてやったのにうるさいな。まぁ、どんなに叫ぼうがやめないけどな。」


地面に転がっている将軍にゆっくり近づいて、足で将軍の腹を踏みつける。そして剣を左太腿に突き立てゆっくりと沈めて行く。


「ほら将軍、早く逃げないと左脚も無くなっちゃうよ。」

「や、やめ、やめてぇぇ!!俺が悪かった。」

突き立てた剣を止める。将軍は少し安心したかのように話始めた。

「お前の女をめちゃくちゃにしたのは悪かった。どうだ王都から飛び切りの女を好きなだけ用意してやる。だから・・・ぎゃぁぁぁ!!!」


将軍の話に怒りがこみ上げ話の途中に剣を一気につきたて、軽く剣を捻るとブチッと音を立てて千切れた。


「お前の話は不快なんだよ。おっと止血しないとな。」


左腕と同じように傷口を焼いて止血する。将軍はかなり呼吸が浅くなり口からは泡を吹いていた。


「なんだもう気を失うなんて情けないなまだ、切り落とすとこ残っているのにまぁいいや。なんかお前をいたぶっても不快にしかならない。とりあえず手足とさよならしようかね」


俺は、気を失なってようがお構い無しに右腕と右脚を切り落とす。そして傷口を焼いて止血する。


「手足が無くなったから大分軽くなったじゃないか。さてと死なない様に回復魔法をかけてと、これでしばらくは死なないだろう。」


結界の中のエリーを見て話しかける。


「エリー・・・ちょっとだけ待ってて片付ける事が出来たから、そこなら誰もお前を傷つけるとこはできないから・・・」


俺は、そのまま王都に向かって進んだ。王都に着くと門を破壊し、まっすぐ王城に向かった。

途中衛兵に邪魔されるも剣で斬り伏せどんどん進む。そして王城の門も蹴り倒し、悠々と城の中に向かう。


「将軍様を連れてきたぞ!早く手当しないと死んでしまうぞ!」


そう叫ぶと俺を取り囲む警備兵や騎士らしきもの達が槍や弓、剣を構えてこちらに向けている。


「ほら!」


俺は何となく偉そうな感じな奴がいたのでそいつに向かって手足の無い将軍を投げつける。


「大事な将軍様だろ、手当してやれよ。そうなっては役に立たないだろうけどな。」


慌てながらうけとめ、将軍の状態を確認し、生きている事確認すると途端に激昂し叫んで来た。


「貴様ぁ!!将軍になんて事を大罪人の分際で!!」


将軍を受け止めたやつから近くにいた部下らしき数人が将軍を預かり慌てながら、奥に下がっていった。


「ここで貴様を切り刻んでくれる!!」


ひたすら俺に向かって吠える人物に飽きていたので見回ます。周りにいるのは三百人ぐらいで俺を囲んでいる。のんびりしてるとあちこちでから際限なく集まってくるだろう。鬱陶しい事この上ないが、とりあえず連中を片付けるべく、両腕を真横にまっすぐ伸ばし、ひたすら俺を罵っている男を無視して腕の先に火の玉を無数に出現させ左右に放つ。火の玉は、素早く兵士に向かって兵士に当たれば、爆散して吹き飛ばし、兵士に当たらず地面に落ちれば火柱が上がり近くの兵士にを焼き尽くす、周りにいた兵士達は阿鼻叫喚の地獄絵図とかした。罵っていた男は急に沈黙した。


「ん?どうした。俺の事を大罪人だ、殺人者だ、反逆罪だ、いろいろ言ってたのになんです急に静かになった?ほら、早く続けろよ。あぁ、この火が気になるのか?」


そして、火の玉の被害があまり出ていない方に向けて、今度は氷の矢を無数に出現放つ、残っていた兵士達は氷の矢を受けた途端に氷の彫刻のように凍りついていた。


「おっと間違えた、火を消そうと思ったのに思わず、兵士に攻撃してしまったよ。今度こそ火を消そう。」


そして火に向かって水の玉を作り打ち出す、燃えている兵士に当たり、水の玉は炸裂し火を消しながら生きている兵士達にとどめを刺す。


「これで火は消えてろう。氷の彫刻も邪魔か?」


そう言って今度は石の玉を作り出し凍りついた兵士達にはぶつけていく。面白いように粉々に砕け散っていった。こうして周りにいた兵士達は俺を罵っていたやつを残して全滅した。


「これでもう大丈夫だろう。話を続けろよ」


しかし、残された男は目を見開き、口を開けたまま「な、な、な・・・」としか言わなくなっていた。


「なんだもう話す事ないのか?じゃお別れた」


そう言って火の玉を放つ、男は身動きも出来ず火達磨になり動かなくなった。


「鬱陶しいのは居なくなったがその内またやってくるだろうから、その前にお偉さん達を片付けるかな。」


そのまま城の中に入り、散発的に出てくる兵士を斬り伏せ、進んでいく。


「人の気配がその集まっているところがあるな?大広間か?昔、魔王討伐に向かう前に王様にあった場所・・・懐かしいじゃないか。」


誰もいなくなった、広い廊下をゆっくりと歩みを進め人の気配が集まっている場所に向かった。扉の前に着き、扉の奥にある気配を探る。


「この扉のむこうか、さて誰がいるのかな?王様がいてくれると楽なんだけどなぁ。」


独り言を呟きながら、目の前の扉に手を掛け押し開く。すると扉目掛けて、魔法が無数に飛んできた。俺は慌てる事なく結界を発動させる。


「不意打ちを食らってはひとたまりもあるまい。」


奥から聞こえてきた声に聞き覚えがあった。討伐前に王様に会った時に聞いた声だった。


「そこにいるのか?王様よ。お前を殺しにきてやったぞ。大人しく死んでくれ。」


煙が立ち込めて、向こうの様子はわからないが「効いてない?」「バカな!」「もう一度だ。」

と兵士なのか王を守る騎士なのかわからないが騒いでいた。そして又魔法が俺目掛けて降り注いだ。


「無駄だよ。こんな出力の魔法じゃ俺に傷なんてつけられないよ。煙が鬱陶しいからやめて欲しいだけど。」

「悪魔め、騎士達よ奴を殺せ!!」


俺の声に被せるように王の声が響きわかった。


「仕方ないなぁ、煙をなんとかするか。」


大きな石の槍を2本作り、王のいる方向ではなく、王を避けるように左右に放った。放った石の槍は何かを弾き飛ばすかのように音を立てて城の壁に二つの穴を開けた。今ので感じている気配が少し減ったようだった。当てるつもりは無かったが何人かには当たっていたようだ。

壁に空いた穴を利用して風魔法で、部屋から煙を追い出す。


「まったく、こんな煙い中じゃ、話もできないだろう。」


直ぐに視界は晴れて王座には、壮年の男が、汗を垂らしながらこちらを見ていた。その周りにはその男を見る守るように前方に騎士、兵士後方に魔法士が控えていた。


「たいそうな、お出迎えありがとう。よく逃げ出さなかったな。」


王座に座る男、王に向かって投げかけた。騎士、兵士、魔法士達は王を守るように一歩前に出る。しかし、その顔は悲壮感が漂う顔ばかりだった。そうだろうな。五千を超える兵を一人で倒し、その後に堂々と正面から城に侵入し向かってくる兵士達を皆殺し、誰も俺の歩みを止める事が出来ずに王座の前まで来たのだから、向こうからしたら、悪夢の何者でもないな。


「何しにここまできた?お前の様な者が来ていい場所ではないぞ。大罪人アデル」


王はこの後に及んで、未だそんな事を言っているのか。俺は無性に可笑しくなって笑い出してしまった。


「ふふ、ふふふっ、あっはははっ!」

「何が可笑しい!」


王が何が言う前に騎士の中で偉そうなのが怒鳴って来た。


「ハハッ、だってそうだろう。この状況でお前達助かると思っているのか?ここまで相手をして来た兵士達とお前達何が違う?例えば今までの兵士よりお前達全員が百倍強かったとしよう。それでも俺には勝てないぞ。」

「犯罪人が舐めた口を聞きおってここで切り捨ててくれる。」


偉そうな騎士が剣を構え、こちらに駆け出した。しかし、俺の目には止まっている様にしか見えなかった。いつまでたっても俺の所に来ないのでこちらも前に出る。一瞬の間に間合いを詰め手に持っていた剣を横一文字に一閃する。偉そうな騎士は「あっ」と声を漏らし、上半身と下半身が分かれ、そのまま崩れ落ちる。


「遅いな、そんなんじゃ俺に傷なんてつけられないよ。」


崩れ落ちた相手に話しかけるも状況が掴めていないのか「あっ、えっ、」しか言わないまま動かなくなった。


「化け物め・・・」


王は憎しみを込めて俺に言って来た。


「王様よぉ。今更、何を言っている。この状況を作り出したのは他でもない貴様だろうがっ!」


最後は怒りが混み上がりつい殺気を振りまいてしまった。兵士の中の一部が俺の殺気に当てられて意識を失ったか、ショック死したのかわからないが、糸の切れた人形の様に倒れて行った。それ以外も、冷や汗を垂らしつつ動けずこちらを青い顔をして見ていた。


「さて、もう抵抗はしないのかい?ならば終わりにするよ。俺も早く帰りたいからな。」


そう言いながら、俺は残った兵士達に向かって魔法を放ちながら、前に進む。兵士達は恐怖で逃げ出そうとするもの、その場で立ち尽くして諦めてしまったもの、必死の形相で抵抗するもの様々だったが、容赦無く全てを攻撃した。数分後には王のその両脇にいた騎士と大臣の四人だけとなっていた。


「後はお前達だけだ。準備はいいか?」

「ま、まて!は、話をしよう。」


そう言ってきたのは、王ではなく、大臣であった。王は顔面蒼白で固まっていた。


「お前が望むなら、土地と爵位を与えてよう。そして今までの事は全て見ずに流そう。わ、悪い話ではないだろう。」


今更こいつはなにを言ってるのだ。今までの事を水に流そうだと、お前達があれだけの事をしたのに・・・


「ふざけるな。お前達はもう助からないだよ。王国は今日で終わりなんだよ。滅びるんだよ。」


そして剣を振り下ろし、立て続けに振り上げる。残っていた騎士が二人とも身体を斜めに切り裂かれ崩れ落ちる。


「後、二人だな。」

「あ、あぁぁぁっ!!」


その言葉を言った途端に大臣が叫びながら走り出した。


「逃られるわけないと何度も言ってるだろ。あきらめよ」


その後ろ姿に向かって剣を投げると大臣の額から剣が生えてそのまま動かなくなった。謁見の間には、多数の死体が転がり、外壁には大きな穴が開き荘厳といった雰囲気のかけらも残らない酷い状況になったが全く心が晴れない。王がまだ残っている状況ではまだ終わらない。奴を殺して王国を終わりにする。


「誰もいなくだったな。王様、さてどうするよ。抵抗するか、大人しく殺されるか、好きな方を選べよ。」

「ま、まて、金をやろう。貴族の地位も・・・っ」


そこまで言うと王は何も喋る事ができなくなった。俺の殺気が膨れ上がりその恐怖に慄き、呼吸すらする事を忘れているようだった。


「そういうのはもういいんだよ。将軍や大臣といい、王様といい、金や地位でつれると思うなよ。村のみんなを・・・両親を・・・エリーを・・・、拷問したうえに大勢の前で惨たらしく殺しておいて、今更遅いんだよ。俺は魔王との戦いが終わったら、村で静かに暮らす事が希望だったんだよ。それを自分たちの保身の為に勝手に犯罪者に仕立て上げて必死に、命がけで戦ってきた仲間まで殺したお前たちを許すことはない。後悔しながら死んで行け!」


言い終わると同時に玉座に座る王に剣を振り下ろした。そして王の左腕がポトリと落ちる。それを王が確認するのと同時に切り口から血が吹き出した。


「ギャァァァッ!!」


切り口を右手で押さえながら転げ回る。


「痛いか?俺らが受けた痛みはこんなもんじゃない。これまでの事を悔やみながら死んでいけ。」


転げ回る王に対して、持った剣を足に突き立て床と縫い付けた。腕と足の痛みで声すら出なくなり、口から泡を出しながら痙攣していた。


「さて、これで逃げ出せないなぁ。王様よ、意識はあるか?返事もできないか?まぁどうでもいい。」


満足したわけではないが、これ以上痛めつけても虚しいだけだ。最後しよう。


「これでこの国は終わりだよ。今日限りで滅亡だ。聞いているのか?ダメか・・・」


そしておれは、壊れた外壁から外に出てた。そこから思い切りジャンプをし、王城の上空まで飛び上がった。そこで、魔力を練り上げ真っ黒な球体を発生させ、王城に向けて投げ込む。真上より真っ黒な球体は、王城に到達し、上部より少しずつ吸い込まれるように崩壊していった。王城全てを飲み込んだ球体はそのまま地面に大穴をあけて地中深くまで到達した。その大穴の底には1メートル程の鉄とも岩石ともつかない球体が静かに鎮座していた。


「これで終わりだ。みんなの所に帰ろう。」


俺は踵を返して村に向かって歩き出した。心に大きな穴が空いたような感覚のまま。

村に着いた俺は、エリーの元に向かい話しかける。


「エリーお待たせ。ずっと待たせて、わるかったな。」


結界の中からエリー抱き上げ、墓地に向かう。


「こんな事になるんだったら、俺は国をすててお前と二人で・・・今さらおそいよな。ごめん。俺が情けないばかりに本当にごめん。」


そう話しかけると、涙が溢れ出した。

そして、俺の中で渦巻く黒いものかささやいてくる。


『憎いなら壊せ、許せないなら蹂躙しろ。全てを無に返せ。』


そのささやきをうけ、思わず声が出る。


「こんな世界俺はいらない。エリーのいない世界なんか・・・」


その先を言おうとしたらエリーが泣いていた。


「エリー?お前生きて」


そんなわけなかった。俺の涙がエリーの目に落ちあたかもエリーが涙したように見えただけだった。


「優しいエリーの事だ。「わたしは気にしてないからね」って笑って言ってるかもな。でも、俺の中のぽっかりと空いた穴は消えない。王たちを皆殺ししてもこの穴が埋まる事なかった。虚しいだけだ。エリーいない世界などたとえ人類全てを破壊しても埋まらないだろう。そして、俺が何をしてもお前は戻ってこない。だからせめて俺はエリーの側にずっといるよ。君の元に行けるその時まで。」


Fin


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