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2020なろうラジオ&冬童話

涙目幼女はクリスマスにくたびれサラリーマンサンタとの再会を諦めない

私は昔、サンタに会った事がある。


髭もない、白髪頭でもない、赤い服も着ていない。

くたびれたスーツを着た、くたびれたリーマン男のサンタ。

サンタは泣いていた私にふわふわうさぎのぬいぐるみをくれた。

このうさぎのぬいぐるみは今も私が持っている。

もう洗い過ぎてふわふわは蘇らないけど。


この話を施設の先生に話しても、「うさぎは預けられた時に持っていたものだ」と言って誰も信じてくれない。

悲しかった。

くたびれサンタは絶対いたのに。


神さま、お願いです。

あのくたびれサンタにもう一度会わせてください。

毎年、願いを込めてツリーの一番上に星を乗っけ続けた。

サンタとツリーは絶対セット、これマメよ。




「もーお義父さん、起きてよー!」


願い続けて、私は16歳。

お義父さん、お義母さんとは血の繋がりはない。

義理だけど、実子と同じ扱いの特別養子縁組だ。


最近のお義父さんの趣味はweb小説を読むこと。

特に異世界転生?とか言うのが好きだ。

だから毎日、夜遅くまで読んで朝、起きられない。

ケモ耳の良さを説明されたけど、全然わからない。

むしろキモい。


そんなクリスマスイブ、ケーキのいちごがちょっと足りなくてスーパーに買いに出たら、自転車で事故ってちっこい神様に会った。


「君のサンタに会わせてあげる。毎年星をくれたお礼にね」


はいよろこんでぇ!


ついて行ったら、管にまみれた私の側でわんわん泣いてるお義父さん。

違うよ、お義父さんだって言ったら、神様は「自殺したから君と血の繋がりは切れたけど、魂だけはまだ繋がってる君の本当のお父さん、それがサンタの正体。ほら!」

神様は星明かりの入ったランタンでお父さんを照らす。

みるみる輪郭は溶けて、あの時のくたびれサンタが泣いていた。


すごい執念だねぇ、死んでも生まれ変わって君の側にいるなんて。

君もすごいねぇ、何言われても信じ続けたんだから。


だから早く戻りなよ、暫くは痛いかもしれないけど、と神様は私の背中を押した。





痛い、いだい、ぃったーーい!!!

あっちもこっちもあらぬところも痛くて目が覚めた。

あまりに痛くて笑ってしまう。


「笑ってるけど、異世界にでも行ってきた?」


泣き腫らしたひどい顔で、行くならお父さんも一緒に連れて行けと言った。

やっぱりキモい。


まあでも、ちょっとくらいキモくても許してあげる。


だって死んでも私の側に舞い戻ってくる、自慢のお父さんだから。

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