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「キーンコーンカーンコーン」
チャイムが鳴り学校の終わりを告げる。
「ひょーうーがーくん!」
「どうした?御堂さん」
「よし!遊びに行くよ!」
「え?今日もか?」
昨日遊びに行ったばかりなのだが。
「今日もだよ!昨日のボーリングのリベンジだよ!負けっ放しじゃ女が廃る!」
「別に廃らないと思うが…分かったよ行こうか」
「御堂さん、今日は一緒していいかな」
また、佐藤君が声をかけてくる。
まぁでも仕方ない。
昨日断っているし、今日は…
「ごめんね、本当に次こそは一緒に行けるからさ、今日までいいかな?」
「ッ!わかったよ。残念だけど、また次にするよ」
今日も断るのか…
これ以上不満を溜めさせたくないのだが。
そうして昨日と同じように二人で遊ぶ。
「氷我君!私の勝ちだね!」
「負けてしまったな」
スコアは僅差だったが負けてしまった。
「そろそろ暗くなるし帰ろうか、御堂さん」
「あっそうだ!氷我君!いつまで御堂さんって呼んでるの?」
「え?ダメなのか?」
「名前で呼んでよ!あーかーねってさ、ね!」
「わっわかった。あ、愛光。これでいいか?」
「うん!いいよ!それじゃ帰ろう!」
そうして、帰路に着く。
のだが、やはりか。
「あっ御堂さん!焔君!向こうで人が倒れているんだ!手を貸してくれないかい!」
佐藤が待っていたかのように出てきて、人の少なそうな方向を指差しながら言う。
愛光まで巻き込むつもりか?
「わかった、俺が行こう。愛光は先生を呼んできてくれ」
「あかっ!?いや先生はいいよ、こちらから運ぶ方が早いから」
「急ごう!氷我君!」
クソっ。
何が目的だ?
「ここだよ!」
しばらく行ったところで、佐藤が止まる。
「え?どこにいるの?」
振り返りニヤリと笑う。
「いや、最初からそんな人いないよ?」
「え?」
「愛光、俺の後ろに隠れて」
愛光を庇うように立つ。
佐藤が顔を歪める。
「ねぇ、その愛光って何?勝手に名前呼ぶとかキモいよ?」
「勝手ではないんだがな。一応愛光には許可はもらったぞ」
「お前が強要したんだろ!」
「してないよ!佐藤君どうしたの?なんで急にそんな」
「待っててね?御堂さん、どんな弱みを握られてるか知らないけど、すぐに助けてあげるから」
「なにを、言っているの?」
信じられないものを見るように愛光が言う。
「ずっと弱味を握られて脅迫されてるんだろう?だから、こんな陰キャ野郎に声をかけるんだよね。だから、まっててこの、クソ野郎を殺して、助けてあげるから、さ!」
佐藤が右腕を振るうと、暴風が吹く。
よく見ると、佐藤の腕で痣が輝いている。
模擬戦で見た時、風の刃で攻撃していた。
警戒しなければならない。
どうする、本気を出すか、否か。
流石にこの状況で、天恵を使わずに切り抜けるのは厳しい。
いつ出てくるのかわからないが。
ざっと三十強ぐらいの人間がいる。
「愛光、少し待っててくれ、全員片づける」
そう言って、愛光を氷の檻で囲う。
「氷?そうじゃなくて!氷我君!一緒に戦うよ!出して!」
「気づいているのか?チッ、不意をつくのは無理だな。出てこいお前ら!」
佐藤がそう言うと、周囲を囲むように、男子生徒三十二名ほどが出てくる。
昨日の三人組もいる。
「流石の君でも、この人数は無理なんじゃないのかな?大人しく死ねよ。いけ!お前ら!」
「「「ウォォォォー」」」
男達が声を上げ、一斉に向かってくる。
「舐めるなよ。雑魚が何人集まろうが一緒だ。」
まず一番近くにいる、剣で切り掛かってくるやつを足元に氷を作り躓かせる。
すかさず、手元を殴り、剣を奪う。
残り三十一
「剣を使うのは久しぶりだな」
刃の部分を氷で丸く加工し、斬れないようにする。
四方八方から襲いかかる、男達を氷の剣で殴り伏せる。
何か天恵を使っていたみたいだが、届かなければ全て同じだ。
残り二十三
足元が泥に飲まれる。
昨日の奴だな。
直ぐに泥を凍りつかせ、意味をなくす。
遠距離の奴らを先に狙おう。
先程から避けているが、風や雷、弓や、水、全部邪魔だ。
「なんでこれを避けられるんだよ!」
何か騒いでいるが、知らない。
ここまで大人数に囲まれて戦うのは久しぶりだが、昔よりも遥かに楽だ。
一人一人が、雑魚すぎる。
攻撃に天恵を使っていないが、使うまでもないからだ。
近くにいた男を踏み台にしながら首を刈る。
残り二十二
そして、雷を撃っている男に近づき、胴を打ちながら、後ろ足で弓矢を撃っている男の、側頭部を蹴り抜き気絶させる。
残り二十
近づいてきた男の槍をその場で飛んで避け、槍を持ち引き寄せ、肘で顔を打つ。
そのまま顔を蹴る。
勢いよく倒れ込んだ男は気絶する。
残り十九
すかさず槍を氷で丸く加工して、水球を放ってくる男に全力で投げつけ、近くの男二人を巻き込みながら、吹き飛ばす。
残り十六
周囲が暗くなる。
見上げると、大きな鉄の槌を振り下ろそうとしている巨漢がいた。
避けようとしたが、足が動かない。
槌で出来た影を操っている男がいる。
「チッ」
その場で焔を作り影を消して、その焔で、巨漢を吹き飛ばす。
天恵を攻撃に使ってしまった。
残り十五
焔の拳で殴りかかってくる、男を氷の剣で迎え撃つ。
「そんな剣溶かしてや、ゴフッ」
「お前如きの焔じゃ俺の氷は溶かせん」
拳を正面から剣の腹で殴り、打ち返し、鳩尾を突く。
残り十四
「ウォォォォ!」
叫び声を上げながら、右腕を鋼鉄化した、昨日の男が殴りかかる。
声で注意を引くのはいいが、
「気配も消さないとな」
頭上の昨日の脚力強化の男を、鋼鉄の男に投げつけ吹き飛ばす。
残り十二
体を熊化させた男が襲いかかってくる。
面白い天恵だが、強いかどうかで言えば微妙だな。
振り回す腕を受け流し、背後に周り背中を強打する。
残り十一
何も持っておらず、どこも強化した感じではない、男が走って近づいてくる。
残り2メートルほどのところで、大きく口を開け、叫ぶ。
口の奥は輝いていた。
凄まじい爆音が鳴る。
おそらく対象は俺だけだ。
氷のヘッドフォンを作って対応する。
「そんな使い方っ!」
鳩尾を蹴り上げ気絶させる。
残り十
足場がなくなる。
右足の部分だけ、地面がへこんでいた。
泥と同じ要領で氷を作ってカバーする。
すかさず、こちらに迫ってくる身長の二倍ほどある
薙刀にそれに飛び乗ることで避ける。
相手の元まで走っていき、頭を思い切り拳で殴ることで気絶させる。
残り九
「これ貰うぞ」
薙刀も氷で加工し、遠距離にいた影と泥と地面を陥没させた男三人に向けて回転させながら放り投げる。
命中し、全員気絶する。
残り六
殴りかかってくる男の鳩尾を突いたが、硬く、止まった。
全身を硬化させる能力だろう。
そのまま剣を掴まれた。
「くらえええええええ!」
右から光り輝くビームが飛んでくる。
地面まで抉り取っているため、よほどの威力がある。
今まで貯めていたのだろう。
「俺が来るまでに貯めとけよ」
剣を手放し後ろに飛んで避ける。
そして、硬化の男に肉薄し脚に氷を纏い強化し、右に向かって全力で振り抜く。
「俺の氷のほうが硬いな」
男の硬化が解け、吹き飛ぶ。
そして先程ビームを放った男に衝突する。
残り四
二人同時に強化した腕で殴りかかってきたが、どちらも片手で掴み投げる。
そして背後から迫ってきていた、姿を消していた、男を振り向きざまに殴り気絶させる。
「最後はお前だけだな」
震え上がっている男、佐藤を見る。
完全に心が折れているようだ。
「気絶させる前に言っておくぞ、俺は愛光に何もしていない。嫉妬するのはしらんが、それを暴力に変えるな。次俺か、愛光に手を出してみろ、殺すぞ」
「あぁぁぁぁぁー!」
叫びながら、風の刃を飛ばしてくるが剣で消し飛ばし、側頭部を打ち気絶させた。
「ふぅ」
一息つく。
周りを見るとそこら中に男が倒れている。
一人も死んではない。
気絶しているだけだ。
「すまない、愛光待たせたな」
氷の檻を消す。
愛光は下を向いている。
「どうした?」
よく見ると震えている。
怒っているのか?
一人で戦ったから。
だが、自分で理解しているだろう。
あの場にいても足手まといだったと。
「す、す、す、す、すごーーーーーーーい!」
「…んぁ?」
今なんて言った?
聞き間違えか?
「氷我君めっっっっっちゃ強いじゃん!ほとんど天恵も使ってないのにこの人数に勝つなんて!なんでそんなに強いの?え?え?すごい!」
称賛されているのか?
「おっおう、ありがとう。てっきり怒られるのかと。」
「あ、もちろん怒ってるよ?一人で戦ったかのもあるし、やっぱり本気出してなかったし」
あ、やっぱりか。
「でも、今日は私が足手まといだったと思うし、結果オーライだったし、大丈夫だよ!」
「そ、そうなのか」
あっさりとした考えを持っていた。
「待っててよ!直ぐに追いついてみせるからね!」
「あ、あぁ、待ってる。そうだ、今日の俺の戦闘は内緒にしておいてくれ。強さは隠しておきたいんだ」
「えーなんで?そんなに強いのにー!」
「目立ちたくないんだよ」
「わかったーでも、先生達にはバレちゃうよ?動画撮ってたから。流石にこのまま野放しはダメだと思うよ」
「意外と余裕だったんだな。分かった、それなら仕方ない」
俺さっき佐藤に次は許さねぇみたいなこと言ったんだが退学して、そのまま戦場送りになりそうだ。
この学園で退学は最前線送りを意味するからな。
一足先に行ってこい。
「じゃあ帰ろう!氷我君!」
「あぁ、最後にもう一人倒してからな」
そうして愛光に向かって氷を全力で出す。
「え?」
その氷は愛光を貫くかのように見えた。
実際愛光は死を覚悟した。
だが、氷は愛光の横を通り過ぎ、守るように覆った。
瞬間氷に無数の弾丸が飛んでくる。
全ての弾丸を受け止めた。
凄まじい音が鳴る。
「きゃーーー!」
愛光が悲鳴を上げる。
「不意打ちだったんだけど、防ぐなんてなかなかやるわね」
「お前は誰だ?」
愛光の後ろ数メートルに今のをやったであろう少女がいた。
腕には赤と黒のカラーリング。
堂々と名乗る。
「初めましてね、私は誇り高き生徒会役員、
書記の神楽坂 緋色よ」
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