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翌朝俺は学校の教室ではなく、 白クラス専用の訓練場へと向かっていた。
入学二日目に行った能力テストの会場だ。
なぜここにきているかというと、クラスの掲示板に訓練場集合だと、朝愛光がコメントしていたからだ。
俺が着くとクラスメイトはまだあまり来ていなかった。
愛光は既に来ていてクラスメイトと会話していた。
隅の方へ行って床に座り目を閉じて、クラスメイトが全員集まるのを待つことにした。
「おはよう…」
霞んで消えてしまいそうな声が横から聞こえたのは半数が集まってきた頃だった。
振り向くとそこには綺麗な白髪の髪を寝癖で台無しにした織姫がいた。
「おはよう、織姫」
サファイアをはめ込んだかのような青い瞳をまだ眠たいのか半分しか開けていない織姫は辿々しい足取りでこちらまで近づくと隣に座った。
「おやすみ…」
そうして完全に目を閉じた織姫は俺の太腿あたりに倒れてくる。
すかさず俺は頭と肩を掴み強制的に体をまっすぐさせる。
「いや寝るな。おはようの次に出てくる二言目がお休みなんて聞いたことがないぞ」
「うるさい…寝かせろ…」
俺の腕を掴んで引き離そうとしながら頭を太腿へと近づけようとしてくる。
しかしその力は見た目通りの非力な力で俺の腕を動かすには全然足りない。
何度か力を加えてくるが、びくともしない俺に痺れを切らしたのか目を少し開けてこちらを睨みつけながら、
「怒った…おやすみ…」
「お前まさか、」
急に眠気が襲ってくる。
恐らくこいつはただ寝るためだけに俺にその異能である催眠を使ってきた。
力を隠している都合上本気で抵抗するわけにはいかないためそのまま受ける。
向こうも本気で掛けてきてはないみたいだが、不意の攻撃で力が抜けていくのがわかる。
視界の隅で僅かに口角を上げた織姫は俺の腕を振り払い、俺の太腿を枕にし始める。
「間抜けな顔…」
力が抜けてぽかんとした俺の顔を見て、自らの口に手を当て宣った。
そして一秒とたたずに寝息を立て始める。
こうなったらこっちの負けだ。
どれだけ揺すぶっても起きる気配はなく、腰に手を回されているのでどかせもしない。
しばらくの間織姫の柔らかい頬を摘みながらクラスメイトを待つ羽目になった。
「じゃあみんな集まってー!」
数分後愛光が手に持ったスピーカーを介して訓練場全体へと呼びかける。
寝ていた織姫の鼻をつまみ起こす。
「ふぐっ…」
普段の織姫からは考えられないほどの間抜けな声が出た。
「間抜けな声だな」
ささやかな意趣返しをして、その場に立ち僅かに頬を膨らませた織姫と共に愛光の元へと集まる。
「まずみんなおはようー!朝から集まってくれてありがとう!これから体育大会までは毎日この時間に集まろうと思ってるからよろしくね!早速だけど体育大会の練習を始めて行こう!じゃあ種目ごとに分かれようか!」
そして、クラス対抗リレーに十五名。
個人模擬戦に愛光と織姫と終夜の三名。
団体模擬戦に十一名
「あぁー!そうだった!結局団体模擬戦にいた終夜くんが個人模擬戦に移っちゃったから団体模擬戦の人数が足りないや!」
そう、元々クラス対抗リレーから二名移らなければいけなかったが、団体模擬戦から終夜が個人模擬戦に移ってしまったため、団体模擬戦の定員である十一名に達していない。
しかし愛光の喋り方が芝居がかって見えるのは気のせいだろうか。
「そうだ!みんなに提案なんだけど、私がくじで決めてもいいかな。クラス対抗リレーのみんなの名前が入った箱があるんだけどこっから私が引いた人が移るっていうのでいい?」
無論誰も意見できるものはいなく、意見できるかもしれない陽キャグループと不良グループは既に団体模擬戦にいるため意見をする必要もない。
誰も反論をするものはいなく、そのやけに準備のいい箱を持ち、手を突っ込む。
ここで愛光の狙いに気づいた俺だが、どうにもできない。
箱から手を抜いた愛光はそのくじを開き名前を読み上げる。
「えーと、焔 氷我っと。氷我君だね!お願いしてもいいかな?」
やはり愛光の狙いは俺を団体模擬戦に参加させることだった。
この場で断るのは至難の技だが、団体模擬戦であの二グループと関わるのはマシだと思い、断りの言葉を入れる。
「すまないが、」
「氷我君なら私も実際に戦って分かったけど、強いし大丈夫だと思う!みんないいかな?」
愛光がスピーカーを使って俺の声を遮るように声をかける。
全員二つ返事、もしくはそれと同意の言葉で返す。
「じゃあ決まりだね!みんな頑張って行こう!」
全員が気合の入った声を上げる。
俺の断りは誰にも届くことはなかった。
なぜ僕は投稿しているんだ?
勉強をするはずじゃ…
明日がテストなのに…
この僕の決死の投稿にどうか、
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頭の中の織姫が可愛すぎる…




