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「みんな見終わったかな?」
愛光が周囲を見回す。
全員顔を上げており、まだスマホを見ている者はいない。
「よし、じゃあ作戦会議をしよう!まずはみんなの希望を取りたいと思うんだけど、今から言う三種目の内どれが良いか手をあげてもらえる?」
そして希望を取り始める。
俺はクラス対抗リレーに手を挙げた。
異能を使用する可能性が少なく出番も短いからだ。
そして希望は団体模擬戦とリレーに分かれた。
団体模擬戦には陽キャグループと不良グループが手を挙げている。
残りは全員リレーだ。
「うーんと、リレーが十六人で団体模擬戦がぴったりの十二人だね。私はじゃあ個人模擬戦にするよ。あとリレーから二人個人模擬戦に移らなきゃいけないんだけど誰かいないかな」
そうクラス全員に問いかけるが、誰も挙手するものはいない。
愛光が一瞬こっちを見た気がしたが、俺は当然挙手しない。
「ねぇ後藤あんたいきなよ。私あんたと一緒に模擬戦なんて嫌なんだけど」
「何で俺だよ、俺だってテメェなんざとは御免なんだよ。相原、お前が移れよ」
今日で三回目の喧嘩。
コイツらは飽きないのだろうか。
「誰もいないよね。じゃあさ、今からみんなでトーナメントみたいなことしない?私はもう決まってるから出ないけど優勝と準優勝が個人の模擬戦に出るってことでどうかな?」
「はっ!俺はそもそも参加しねぇから不戦敗だな」
「私も参加しないよ。面倒くさいしね」
当然だが面倒臭がるに決まっている。
俺も手を抜いて負けるつもりだ。
「そっか、じゃあ二人ともこのクラスで一番弱いってことで良いのかな?負けたくないから逃げるんだよね」
そう来たか。
「は?おいおい何いってんだよ。俺は出ないだけだ。弱い訳じゃねえ」
「そんなこと言って自信がないだけじゃないの?良いよ後藤くん、相原さん出なくても」
「怒るよ?御堂さん。流石にそこまで言われたら黙ってられないかな」
「それにさ、さっきから二人とも喧嘩したいみたいだったから、場を作ってあげようと思ったんだけどなー」
白々しく愛光が空を仰いで言う。
「やっぱ俺は参加するぜ。おい相原逃げても構わねぇぞ。俺がお前より強いのは周知の事実だからな」
「何言ってんの?こっちのセリフよ」
アホなのか。
コイツらは。
まんまと愛光の作戦にハマってるぞ。
それに最後の最後でお互いに怒りを向けさせた。
策士だな。
「じゃあそうしようか!全員決闘場に行くよ?スマホの了承を押してね?決闘場展開!」
愛光が楽しそうに叫ぶ。
光に包まれたかと思うと次の瞬間にはクラス全員が決闘場の観客席に座っている。
「トーナメントは適当に私が振り分けるね。じゃあ頑張って行こう!」
その後トーナメントは順調に進んだ。
俺は一回戦で惜敗してしまった。
後藤と相原も駒を進めているみたいだ。
そこでふと後ろに近づいてくる気配を感じる。
ここは観客席だが、俺は周りに人がいないところを選んで座った。
だからここに人がいるのはおかしい。
それに気配をうまく消している。
殺気は無いみたいなので、わざわざ振り返る必要もない。
そして、気配は俺の後ろに来て横まできて止まった。
横を見るとそこには白髪の少女がいた。
名前は確か羽衣石 織姫。
横目で様子を伺うが話しかけてくる様子はない。
こちらに気付いているかどうかすらわからない。
そんなはずはないのだが、それ程までに何処か不思議さを感じさせる少女だった。
「…ねぇ」
なんの前触れもなく、試合を見ながらこちらを一切見ずに声を発する。
その声は消えそうな程に小さく、透明感のある声だった。
「君本気…?」
本気と言われるがなんの話かわからない。
「なんの話だ?」
「試合…」
恐らく俺が力を隠していることに薄々気付いているのだろう。
「あぁ俺はいつも本気で戦っているぞ。手を抜いたことなんてないな」
「そうなの…」
「羽衣石さんだったか?なんでそう思ったんだ?」
「織姫…」
「ん?」
「ん」
「えーと、どう言う意味だ?」
「そのまま…」
本当に意味がわからないんだが。
いやもしかすると
「織姫って呼べばいいのか?」
「ん…」
(コク)
小さな顔を少し動かして肯定する。
どうやら合っていたらしい。
「分かった、織姫。で、さっきの質問なんだが」
「目…」
「目?」
「違った…」
「すまない。俺の理解力が足りないのか分からない」
「そう、君の理解力が足りない…」
初めての長文が罵倒で良かったのか…
「つまりどう言うことなんだ?」
「恐怖のない顔をしてた…」
「恐怖の、ない?」
「その気になれば全てを跳ね除けられるみたいな顔…」
「そんなことないと思うぞ。俺だって怖い時は怖いからな。」
「そ…」
単語文に戻ってしまった。
「私と同じと思った…」
「同じ?」
「私も隠してるから…」
織姫の能力は軽い幻覚を見せるものだったはずだ。
途中で破られて負けていた。
「どうして隠しているんだ?」
「面倒いから…」
「めんど、い?」
「ん…私はずっと眠っていたい…」
「それ隠しているって言うのか?」
「うるさい馬鹿」
時々罵倒してくるな。
「戦うのってめんどい…それに嫌い…」
「そ、そうだな」
「せっかく同士に会えたと思ったのに期待外れ…」
「それはすまなかったな」
「這いつくばって謝って…」
「そこまでのものなのか…」
「でも今回は勝つ…」
織姫はこれまでの試合を勝ちで終えている。
「走るのはもっとやだから…」
「何で最初にあげなかったんだ?」
「寝ぼけてたの…気付いたらトーナメントが始まってて…」
「アホなのか」
「黙って…あ…そろそろ…じゃあね…」
そう言って最初から最後まで表情を変えずに試合へと向かっていった。
声が小さいのはそういう人なのかと思ったが、もしかしたら面倒くさいだけなのかもしれないな。
いや絶対そうだな。
何故俺はまた投稿した…
俺の書き溜めはもうゼロなのに!
てことではい。
今日二度目の投稿です。
俺の命がけの投稿に
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