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アスペ兄弟

作者: 待月 雪

俺の弟の話をします。弟は自閉スペクトラム、いわゆるアスペルガー症候群です。

弟のエピーソードを、幼少期から結婚して子供を作るまでのいくつか話します。

決して面白い話ではありません。憤りを感じる人もいると思います。

健常者の性格が一人一人違うように、アスペの人たちを一括りに見て欲しくはありません。

あくまで俺の弟の話をします。


アスペ兄弟 自閉スペクトラムの弟

俺の弟の話をします。弟は自閉スペクトラム、いわゆるアスペルガー症候群です。

弟のエピーソードを、幼少期から結婚して子供を作るまでのいくつか話します。

決して面白い話ではありません。憤りを感じる人もいると思います。

健常者の性格が一人一人違うように、アスペの人たちを一括りに見て欲しくはありません。

あくまで俺の弟の話をします。

学生時代の弟は、特別変わった点は見えませんでした。

友人もおり、成績も悪くありませんでした。

大学は地元で二番か三番に良いところを現役で卒業しています。

社会に出てから仕事を転々とするようになり、うつ病にかかり家に引き篭もるようになってしまいました。

弟が心療内科へ通いだすまで、俺は弟のことを特に気にかけてはいませんでした。

その頃俺は、結婚や子供育で忙しく、実家に帰る機会が減っていたためです。

俺の子育てが落ち着く頃には、親父が急死、残った借金などで実家が傾いてからは大変でした。

今思えば、俺が弟にしてやれたことは僅かです。

前置きはこのくらいにして、弟のエピソードをいくつか話します。

俺の弟の話です。


独自のルール認識

弟が高校時代に車に轢かれたときの話をします。

弟は自転車通学の帰り道に、信号無視をして自動車に轢かれました。

幸いなことに弟の怪我は大したことはありませんでした。

信号無視をした弟が全面的に悪いので負担はすべてこちら持です。

弟の自転車は廃車、相手の自動車の修理代金を20万ほど支払うことになりました。

俺「なんで信号無視なんてしたんだよ」

弟「信号無視なんて、みんながやっているから大丈夫だと思った」

当時、自転車の取り締まりは緩かったが問題はそこではありません。

事故のあった交差点は見通しが悪いわけではなく、車の速度も緩やかだった。

俺「ちゃんと左右を見て安全確認をしたのか?」

弟「しなかった。いつもは車が通らないんだ」

弟は安全確認をせずに赤信号へ突っ込んだらしい。

弟はルールの意味を理解せずにルールを守ろうとしたり、

周りがルールを破れば自分も守らなくて良いと判断することがあります。

交通ルールの目的は、自分と周りの安全のためですが、弟の場合は信号機の指示を守ることを目的にしていました。

それから弟は信号機を守らない人々を見て、この交差点の信号は無視して良いと判断したようです。

結果、弟は安全確認をせずに自転車で信号を無視するようになり、自動車に轢かれてしまった。

当時、俺は弟の言動を特に気にしませんでしたが、今は思うところがあります。

大多数の人は信号のあるなしにかかわらず、自転車で走行中は常に『安全』を確認するはずです。

当人ではないので憶測ですが、弟の場合は『安全』を理解できていなかったのだと思います。

守られない交通ルールと経験則が弟の判断を誤らせたようです。

今回の話をまとめると

弟のようなタイプにルールを伝えるときは行動の意味、目的をしっかり教えること。

例外的なケースも細かく教えてあげなければいけません。

例えば

交通ルールは自分と周囲の安全を守るものです。

安全とは人や車の進路を妨げない、接触しないことです。

状況によっては安全を優先した上で信号機を無視することができます。

自転車で交差点の赤信号を横断するには、自転車から降りて歩行者になりましょう。

歩行者は車が来ないことを十分に確認し、安全と判断できた場合に限り信号を無視して横断することができます。

といった風になるべく具体的に例外を含めて説明することです。

こんな弟ですが、18になると自動車免許を取りました。

運転の技術はさておき、大きな事故もなく通勤通学にを自動車を使っていました。

ディーラーの言いなりで三ヶ月おきにエンジンオイルを交換するなど、色々とはありましたが

弟のおかしなところを周りの人間が指摘してくれさえすれば、弟は問題なくやっていけます。


こだわり 好き嫌い 強迫性障害 

弟は子供の頃、好き嫌いがたくさんありました。子供には誰にでもある話かもしれません。

俺「そのみかん食べないのか?」弟がみかんを一欠片しか食べずにいました。

弟「何だか味が変なんだ」

試しに食べてみましたが普通のみかんでした。

どうやら弟が前回食べたみかんと味が違うため食べられなかったようです。

弟は果物のように熟し具合で味が変わるようなものを嫌います。

他にも弟がウインナーを食べていた時ですが

弟「うえっ」

俺「どうした?」

弟「硬いものが入っている」

ウインナーソーセージには筋が入っていることがあります。それが苦手のようです。

同じ食品でも個体で味や食感が違うと食べられない傾向があります。

弟の場合は特定の食べ物が嫌いなわけではなく、以前食べた経験と異なる場合に拒絶反応が起こるようです。

なので味や食感が均一な食べ物をなるべく使用します。

ウインナーなら絹挽きの製品、デザートなら量産品のお菓子といった具合です。

 強迫性障害について

小学生の頃からですが、弟はたまに独り言を呟いています。

弟「イキル・・ケンコウ・・・」

俺「何を呟いているんだ?」

弟「不吉な言葉を打ち消しているんだ」

弟は不吉な言葉、例えば死ぬとか病気などといった言葉を聞くと、反対の言葉を呟きます。

怪我をした人の映像を見た時は、鏡で自分が怪我をしていないか確認をします。

受験生が落ちるといった言葉を嫌ったり、ホテルや病院の部屋番号に4や9をつけないような願掛けとは少し違います。

詳しくはありませんが強迫性障害、強迫性神経症などと言われている病気です。

某活動家の少女も同じ病気を抱えているそうなので今回話に加えました。

弟の場合は外出時はこの症状が出ませんが、大人になっても独り言を呟くことがあります。

弟「無意味なこととはわかっている。けどやめられないんだ」


嘘をつけない 冗談が伝わらない

弟は子供の頃から嘘が下手です。小学生になっても幼稚園児のような嘘やごまかし方しかできませんでした。

成長するにつれ嘘を言わなくなり、大人になる頃には全く嘘をつかなくなりました。

俺「冷蔵庫のプリン食ったか?」

弟「うん。食べた」

弟にとって都合の悪いことを質問すると、答えたく無いと答えるか、渋々正直に答えてきます。

俺「なんで人の物を勝手にたべるんだ」

弟「食べたかったから」

弟は言い訳するにしても事実を簡潔にしか言わないし、言い訳をしないことも多いです。

弟が冗談を言うにしても他人の受け売りか、冗談として伝わらない事がほとんどです。

弟に遠回しな言い方やアメリカンジョークは通じません。

親戚の家で従姉妹たちとテレビのコントを見ていた時ですが。

看護婦「先生大変です!」

医者「どうしたんです?」

看護婦「さっき診察した患者さんが、病院を出たすぐそこで倒れています」

医者「倒れているのだね?なら、その患者さんの向きを半回転しておきなさい」

このコントは医者が誤診を隠すために倒れた患者の向きを変え、患者が病院帰りであることを隠そうとする内容でした。

従姉妹たち「あははは!」

弟「・・・」

弟はコントの落ちが理解できていないようでした。

テレビでは芸人のリアクションで弟が笑うことはありますが、会話の内容で笑うことは少ないです。

それと弟はお世辞や社交辞令を真に受けたり、ネットの情報を簡単に信じてしまいます。

弟「アスペルガー症候群には天才が多いんだ。アインシュタインやビルゲイツもアスペだと言われている」

俺「そうなのか?どこの情報だ?」

弟「ウィキペリア」

ネット上にはポジティブな情報が散見されますが、事実だけを捉えるのが正しいと思います。

今回の話をまとめると

弟は嘘をつくのが苦手です。それと冗談が通じません。

例えば冗談で「日頃の行いが悪いからだよ」といった返しをすると、

弟は自分が何か悪いことをしたのか悩んだり、罵倒された、もしくは悪事を知られていると勘違いするかもしれません。

対処法としては。冗談を言ってしまったら「冗談だ」と付け加えれば良いです。

冗談の通じない面白くないやつと思われるかもしれませんが、裏を返せば、嘘を付けない真面目さがあるとも言えます。

俺としては支障のあることではありません。


モラルと経済観 

弟が28歳の頃です。実家の郵便受けに弟宛の消費者金融の支払い明細が届きました。

家族会議をするため俺は仕事の後に実家へ向かいました。

俺「何で借金なんかしたんだ」

弟「ジムの会費を払うお金が無かったんだ」

この頃弟は仕事を転々としていて、貯金が尽きていました。

俺「金が無いならジムなんてやめろ。それに普通は消費者金融なんて使わない」

弟「入会費がもったいないし、お金はちゃんと返しているよ」

俺「まず家族に相談しろ、少しぐらいなら俺が貸してやる」

弟「なんか悪いし。CMとかしているところだから安全だと思うよ」

俺「もう一度言うが、消費者金融を利用するのはまともではない。借金は安易にするべきじゃない」

弟はお金を借りることを迷惑をかける事とは理解しているようですが、消費者金融を利用することには抵抗がないようです。

俺としては家族に借金があると言うだけで重い気持ちになります。

この後、ジムは解約、年金などの支払いは一時猶予の手続きをさせ、

弟の携帯料金や自動車の維持費などは俺が貸すことになりました。

弟の道徳観についても話します。

弟「パソコンの調子が悪いから見て欲しい」

俺「いいけど、何かソフトでも入れたか?」

弟「言いたく無い」

俺「ファイル共有ソフトが入っているな」

弟「友達に教わったんだ」

ファイル共有ソフトは漫画やゲームなどを違法に入手することができるソフトです。

弟の反応からして、自分が違法なことをしている認識あるようです。

俺「二度とファイル共有ソフトを使わない。それとこのソフトでダウンロードしたものを消すならパソコンを直してやる」

弟「わかった。頼むよ」

弟が違法なソフトに手を出した理由は、友達に勧められたからですが、おそらく他の理由もあると思います。

インターネット上では当たり前のように違法行為が行われているからです。

有名動画サイトのほとんどは違法にアップロードされた動画ですし、SNSやブログで使用されている絵は作者に無断でアップロードされたものばかりです。

インターネット上のモラルは弟に限った話ではないかもしれません。

俺「他人がやっていようが、悪いと思うことはするべきじゃない」

弟「無料で入手できる物なのに、お金を取ろうとする方が悪いと思うよ。物を売るなら管理する責任がある」

弟は貯金も尽きていて、社会に対する不満が多くなっている頃でした。

この考えは弟だけの物ではないかもしれません。

実家には妹も住んでいます。

妹「消えろサイコゴミムシ」

弟「・・・期限切れめ」

妹と弟は歳が近いので、昔から昔から仲が悪く、大人になっても喧嘩しています。

妹「出て行け低能サイコパス」

弟「・・・」

妹は弟のことをサイコパスだと思っています。

理由は色々あるようですが、弟は他人の気持ちを考える能力が弱く、独自の考え方をするためかもしれません。

ですが俺は知っています。弟は家に入ってきた黄金虫などの生き物を外に逃してやるような優しさのあるやつです。

親父が亡くなった日に、弟が無言で涙を流し続けていたこともありました。

弟は他人が困っていても助けないことが多いですが、それは助けが必要なのか、どう助けるべきなのかをわからないからです。

昆虫を外へ逃すのは分かりやすい理由です。家の中では昆虫は飢え死にしてしまうからです。

相手が人間の場合は判断が難しく、自分が助ける明確な必要性がないと考えます。

人から勘違いされやすいですが、弟は真面目で優しいやつです。改めて言いますが、あくまで弟の話です。


鬱と十歳年上の彼女

弟は大学卒業後、地元の有名企業に就職しました。営業事務の仕事でしたが一年ほどで退職しました。

その後、色々な仕事を転々として、一年以上続いたことはありません。

弟は次第に活動意欲を失い、鬱状態で家に引きこもるようになり、心療内科で診てもらうことになりました。

この頃、俺は仕事と家庭で忙しく、弟とあまり話せていませんでした。

弟「仕事が無いのに医療費がかさむよ。腰が痛くて接骨院にも通っているんだ」

俺「寝てばかりでは良く無いぞ。心も体も、ウォーキングでもすれば良くなるさ」

弟「この歳で近所を歩くのは恥ずかしいよ」

弟は治療を受けながら何度も仕事を始めましたが長続きはしませんでした。

弟が発達障害と診断されたのはこの頃です。

弟「僕みたいなボーダーは支援を受けられないし、一番辛いと思う」

SNSで社会に対する不満を書いていましたが、弟は挫けずに頑張っていました。

それから現状は変わらずにしましたが、弟が29歳の頃、弟が彼女を家に連れてきました。

弟「兄貴は初めて会うよね」弟に彼女を紹介されました。

彼女「始めまして」彼女は弟とは対照的で社交的な人でした。

ですが、見るからに弟より年上の女性です。聞くと弟より十歳年上で、営業の仕事をしているようです。

弟は彼女を家に連れてきて、一緒にゲームをするなど、出かける時もいつも一緒でした。

弟は幸せそうでしたが、歳の差があるため家族としては少々思うところがありました。

弟は童顔で他人頼りなところがあるので、彼女と一緒にいると親子のように見えるからです。

実際に親子と間違われることも数回ありました。

ですが、弟は気にしない様子で、地元の友人や親戚にも紹介していました。

彼女ができた効果かもしれませんが、鬱の症状は良くなり、病院には行かなくなりました。

仕事は派遣やバイトではありましたが、働いてお金を稼ぐことに積極的になりました。

二人の付き合いは二年ほど続きました。

弟「何もやる気が出ない」

弟の話を聞くと、二回プロポーズをしたようですが、経済的に不安という理由で断られたそうです。

確かに弟の収入は安定しませんが、弟は彼女のことを真剣に愛していました。

弟は彼女と別れた後、鬱の時に逆戻りして家に引きこもるようになりました。

俺「また心療内科へ行ってみないか?」

弟「もういいよ。薬じゃ何もかわらない」


アスペルガー症候群と障害者年金

弟が三十代に入った頃、父が事業に失敗し家計が傾き始めました。

父は仕事が続かない弟のために何か残したかったのかもしれません。

その後しばらくしてから、父は病気で亡くなります。

実家へ仕送りする額を増やすか母と相談しましたが、孫の将来のために蓄えて欲しいと言われました。

俺も高給取りでは無いので余裕はありません。

弟は無気力な状態が一年以上続いてますが心療内科へ通院はしませんでした。

母は心療内科で弟の相談を続けています。

経済的困窮を心療内科に伝えると『自閉スペクトラム』で障害者年金を受給することを勧められました。

弟「その方が僕は楽だよ」弟も障害者年金を申請することを了承しました。

障害者年金の手続きは、日本年金機構の年金事務所で説明を受けられます。俺も母に付き添い聞きに行きました。

弟の場合は、数年前から心療内科へ通院していたので診断書はすぐに書いてもらえるようです。

自閉スペクトラムの詳しい診断は発達障害支援センターでしてもらえます。

沢山の書類を書くことになりましたが無事に申請は通り、

障害基礎年金2級で年間78万円の年金を受け取れるようになりました。

障害年金受給に関しては年々厳しくなっているそうです。

弟の場合は心療内科で五年以上治療を受けていたことと、

発達障害支援センターでの知能テスト結果が、典型的な自閉スペクトラムを示した点が大きかったのかもしれません。

障害年金を受け取る手順はこうでした。

1、親子で心療内科へ行き、一年以上の十分な診察を受ける。

2、発達障害支援センターで相談し、知能テストを受ける。

3、二つの機関から自閉スペクトラムと診断された後、年金事務所で手続きを行う。

こうして弟は障害者として支援を受けられるようになりました。


障害者雇用枠と作業所

年金のおかげで金銭的に余裕ができたためか、弟は以前より活動的になりました。

ハローワークを利用し、仕事に着くことができました。

障害者向け求人なら低い倍率で大企業に入れると、弟は喜んでいたのですが。

俺「どんな仕事をしているんだ?定時で帰れるのは羨ましいな」

弟「掃除とか物置の整理をやっているよ」

俺「周りの人とはうまくやっているか?」

弟「わからない。でも、なんか距離を感じる。普通の人って言われた」

雇用枠が違うので同じ社員でも、正社員と派遣社員のような距離があるのだろうとは思っていました。

一般的な認識だと、精神障害者は見るからに異常な人だとでも思われているのかもしれません。

弟は仕事をすぐにやめてしまいました。

弟「仕事は楽だけど、僕は必要とされていない」

仕事はお金さえ稼げれば良いという考えもありますが、人間関係や仕事にやりがいが無いのは辛いことです。

障害者の給与は低いですし、年金をもらえるので働く必要性を感じないのかもしれません。

その後、弟は障害者雇用枠を利用することはありませんでした。

弟はまた心療内科へ通院するようになり、そこの勧めで障害者向けの就労継続支援B型へ行くことになりました。

俺「長く続けられているみたいだな」

弟「うん。でも、時々自分が情けなくなる」

弟「ホッチキスの針を箱詰めするんだけど、時給100円くらいなんだ」

普通の仕事をやってきた弟には安すぎる時給に思えます。

弟「仕事というより、おしゃべりをしに行く感じだよ」

他の仕事をしていた頃と比べると弟は元気そうでした。

今の弟にはお金より人のつながりが大事なのだと感じます。

その後、弟は作業所で知り合った女性と結婚しますが、少し先の話になります。


男女のアスペルガー症候群の違いと遺伝

今まで話題にしませんでしたが、妹もアスペルガー症候群です。

妹は子供の頃から引きこもっていますが、弟とは違って異常な行動をしたことがありません。

親戚や俺の妻子との関係も良好で、ご近所付き合いも問題ありません。

俺から見る限り妹は普通の人です。常識もあるし冗談も通じる。

ですが、アスペルガー症候群と診断されています。

俺「俺の妹に何か変わった点を感じるか?」妻に妹のことを聞いてみました。

妻から見ると、妹の挙動に違和感があるそうです。

女性は周囲の同意を確認してから行動するそうですが、妹とは意思疎通が若干ずれるそうです。

俺が妹に違和感がないのは性別が違うからか、家族だからなのか俺にはわかりません。

ネットの情報ですが、女性のコミュニケーションレベルは男性よりも高く、

アスペの女性と一般男性のコミニュケーションレベルが同じくらいとも言われています。

普通の女性から妹を見れば何かしら問題を感じるのかもしれません。

親父に関しては、亡くなっているので調べようがありませんが、

親父もアスペルガー症候群だったかもしれません。

勝手に仕事を辞めて、勝手に事業を起こすなど好き勝手にやっている人でした。

痛風なのに酒もタバコもやめず、気ずいた時には手遅れで逝ってしまいましたが、

家にはお金をしっかり入れてくれていましたし悪い父親ではありませんでした。

最後に、俺についてですが、

知能テストを行ったところ、弟とほぼ同じ結果になりました。

つまり俺もアスペルガー症候群です。(知能指数が弟よりちょっと低かったのは秘密です)

ですが、俺も親父も問題なく社会生活を送れていました。

結局一番の問題は環境なのかもしれません。

人間関係も大事ですが、向いている職種があるかもしれません。俺と親父も技術職です。

技術職は曖昧さが少なく、知識は必要ですが明確に結果の出る仕事です。

遺伝的に向いている職業なのかもしれません。


精神障害者と生活保護

実家の家計が回復して安心していた頃でした。

弟を一人暮らしさせたいと、母から相談がきました。

弟と家族の関係が悪化していたことを俺は知りませんでした。

まさか弟が弟でなくなるとは。

弟は実家の手伝いを全くせず、夜中に音をたてたり、食糧を食べ尽くすといったことがあったそうです。

妹「あいつは人間サイズのゴキブリよ」

弟は家族との会話はほとんど無く、家ではアニメを見るか、何も言わず何処かへ出かけるなどしていたそうです。

他にもいろいろあるのですが。

弟が家にいることで家族全員にストレスがかかる状況でした。

俺は経済的な心配をしつつも、弟の一人暮らしに手をかしました。

その後、俺の知らない所で話は進み。

戸籍も経済的にも弟は家族から切り離されました。

弟「生活保護を受けているんだ」

行政から連絡を受けていたので知っていましたが、

俺は弟が生活保護に到る経緯を全く知りません。

生活保護は生死に関わる場合にのみ適応されるものだと思っていました。

弟が障害者で扶養債務者に資産がないから申請が通ったのだと思います。

弟「世間には申し訳ないけど、気が楽になったよ」

言い訳ですが、弟も家族も精一杯やってきました。

親父が借金を背負ってからは贅沢をした覚えがありません。

経済的にも精神的にも家族が開放されるにはこうするしか無かったのかもしれません。

俺は弟に自立するようにと説得はしていますが、

弟は仕事をする気が一切ありません。

弟「働いても働かなくても入ってくるお金はほぼ同じだよ」

弟「いくら頑張っても生活保護と同じくらいしか収入は入らない」

弟「なら頑張る必要がないよ」

弟にとって重要なのはいつも必要性です。

今までの経験から頑張っても報われないと思っています。

弟は色々な仕事をやってきました。

家庭教師

塾の講師

営業事務

製造業のライン

コンビニのバイト

清掃業

ヘルパー二級を取り、介護職についたこともあります。

職業訓練で資格を取ることもしていました。

弟ができる限りの努力をした結果です。

弟の問題なのか社会の問題なのかは俺にはわかりません。

今でも俺は、どうしてやれば良かったのかを悔いています。


結婚と絶縁

弟が36歳の頃です。

弟に相談があると言われて、俺は弟のマンションへ行きました。

弟「紹介するよ。彼女のXXさんとお母さん」

弟の彼女とそのお母さんを紹介されました。

彼女とは作業所で出会ったそうです。弟より十歳年下で今風の髪色とメイクしていました。身体障害者ではないように見えます。

彼女の母親が付き添っていたのは自動車での送り迎えのためのようです。

弟「結婚するんだ。彼女のお腹に子供もいる」

俺「そんな突然に・・・お袋には伝えたか?仕事もしていないだろ?」

弟「兄貴から伝えて欲しいんだ。仕事はわからない。でも結婚する」

弟の彼女とも話をしてみましたが、どうも受け答えに不安を感じました。

彼女の母親が言うには、結婚と今後の生活は支援してくれるとのことです。

この件を実家へ持ち帰ると、母と妹は大いに憤りました。

自立すらできないのに結婚して子供まで作るなんてと。

十分に話をした結果。弟とは完全に縁を切ることになりました。

俺「今後実家には来ないでくれ、お袋に連絡をする時は俺を経由してくれ」

弟「わかった」

既に実家と弟は分離状態だったため、この一言で家族と弟との縁は完全に切れました。

俺だけは年に一回程度、弟に会っています。

俺「調子はどうだ?」

弟「わるくないよ。母さんは元気?」

俺「ああ、元気だよ。この前はーー」

お互いに現状を伝え合い、最後に

俺「今後も実家には来ないでくれ、お袋に連絡をする時は俺を経由してくれ」

弟「わかった」

別れる時は改めて釘を刺しておきます。

弟の話はこれで終わりです。この先の話はできません。

弟と縁を切った事は正しかった。とだけは言えます。

初めにお伝えしましたが、決して面白い話では無かったと思います。

憤りを感じたかもしれません。

ですが、何か伝えられたことがあれば幸いです。

完読ありがとうございました。

決して面白い話では無かったと思います。

憤りを感じたかもしれません。

ですが、何か伝えられたことがあれば幸いです。

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