第九十六話 ここらで一つタイトルについて考えてみた
ミニスカ侍それぞれのスカートに色がついたので、ここで誰が何色かおさらいだ。
しっかり覚えよう。紅頭マムシとの約束だぜ!
こしのり:青
丑光:ピンク
根岸:黄
堂島:オレンジ
室:紫
田代:緑
スミレ:赤と黒のチェック柄
やっと7人揃ったところですが、今回のお話は特に何も起こらないので、色のおさらいが済んだら後は読まずに寝てもらって結構です。
十二月四日の毒蝮高校では、お昼休みを利用してミニスカ侍ミーティングが行われていた。学校に籍を置くミニスカ侍五人は、それぞれの机をくっつけて飯を食いながらミーティングに参加した。
こしのり・堂島
丑光・根岸
スミレ
文字で表記したが、上記の通りの机の配置となっている。
「まさか今日から私もコレに参加しなきゃならないとはね……」スミレは前日の夕方に起こった例の一件のことで頭を抱えていた。
「うんうん、うまいねこの鮭は」丑光は鮭を齧っていた。
「本当だ。これは身が厚くて腹ペコな思春期男子にはもってこいだぜ」とこしのりもコメントして鮭を食っている。この鮭は先日、誕生日プレゼントとして室がスミレの家に持ってきたアレである。大きくてスミレの家では余るので、スミレの母親が今朝焼いたのをタッパーに詰めて学校に持ってきたのだ。
「おお!これは塩が利いていて良いな。砂糖も良いが塩を使ったスイーツも考えてみてもいいかもな」と多分地区で一番砂糖を溜め込む家に住んでいるスイーツ店の息子堂島がそう言った。
「うむ、確かに上手い。国産の天然ものだものな」舌の肥えたお坊ちゃまの根岸からそう言うのだから、この鮭の美味さは合格点に達している。
「ああもう、こしのりの納豆臭いのよ!」とスミレが文句を言った。
「何を言うか、この匂いがいいんじゃないか。鮭に納豆の組み合わせもなかなか良いぞ」こしのりは相変わらず学校に納豆を持ってきて食っていた。
「で、どうするのこれから、私もあんた達の仲間に数えられた以上闘わないといけないんでしょ」
「そうだね~。やっと出た七人目のスミレちゃんには期待しかしていないよ」
「そういえば丑光はヒロインがほしいってそればかり愚痴ってたよな。わざわざ俺の家で」とこしのりが言った。
「うん、欲を言えば新ヒロインがよかったんだけどね、だってスミレちゃんとは本当に昔からの付き合いだからね。そういう意味では新鮮さにかけるよね」
「悪かったわね、古参のヒロインで」
「まぁいいさ、熊やおじさんよりは良いよ」丑光はやっと出た女性のミニスカ侍にとりあえず満足していた。残り二人のミニスカ侍の内、室は毒蝮山で気ままにワイルドライフを送り、田代は空き缶を集める仕事に出ていた。
「それにしても急に色がついたのはびっくりだよな~」口から納豆の糸を引きながらこしのりが言った。
「丑光のかなり明るいピンクなんて、これはお前にしか穿けないな」と堂島が言った。
「生きていくために、男の身でありながらミニスカで街に出るには嫌でも慣れていくしかないが、ピンクを穿くのは、さすがに羞恥心に潰されてしまうな」と根岸が言った。
「へへっ、そうかい僕はピンクが結構好きだよ」
カラフルになったミニスカの中でも、ピンクを穿くのは精神的に一番きつい。これを穿いて平気で登校できたのは、どこまでも磨くことを怠った末に鈍感を極めた丑光の神経を持ってしてのことである。ピンクは丑光以外には担当することが出来ないカラーであったと考えられる。
「それにしてもやっとタイトルにある『7人のミニスカ侍』が出揃ったね。こしのりの家には六枚しかミニスカがなかったから、ずっと設定ミスだと想っていたんだよね」丑光は何やらとんでもないことを口にし始めた。
「それな!」こしのりは丑光を指差してそれだけ言った。
「それについては俺も安心している。六人でネタ切れですとか、メンバー六人にプラスして光の巨が一人現れる設定とか、あとは最後の一人はこれを見ている君だ!とかいう寒いことになったらどうしようと想っていたんだ」と根岸は言った。そんなことを考えていたのか。
「しかしスミレが入るとは、これは読めなかったよ」と堂島が言った。
「私もなりたくなかったわよ」
彼ら五人の妙な出で立ちについては、理解ある学校側から許可が出ていた。なんせミニスカ以外は穿けないのだから。
「ああ、私はもうこのはずかしいアイドルみたいな柄のスカートしか穿けないのか」スミレはミニスカ侍加入を嘆いていた。
「まぁまぁそれも今年、いや今月一杯の話だよ。元気だしなよスミレちゃん」と丑光は相変わらず暢気である。
「これで本当にこっちの勢力が全部揃った訳だから、巨神兵を潰しにかからないとな」とこしのりが言った。
「そうだな。もう紅白の出場歌手も決まった。奴のお楽しみの始まりも終わりも見えているわけだ」堂島がデザートにと持ってきたスコーンを食いながら根岸がそう言った。
「うんそうだね、そう紅白がね……うまいなぁスコーン!」丑光はスコーンがうまいものだから、それこそスコーンと、考えるのをやめてしまっていた。
「スミレも食えよ。鮭のお礼だ」と堂島はスミレに自慢のスコーンを勧めた。
「うん」
甘い物が好きなスミレにも堂島スコーンは気に入った。
「よし、ということで、五時間目は生物教室だな。さっさと行くか」こしのりは納豆の入れ物を潰してそう言った。
一同は席を立ち、机を元の位置に戻す。
スミレは「こいつらと話しても何も進まない……」と言った。そう彼らのミーティングは、いつでも亀が歩むのと同じ速度で進むか、停滞を決め込むかのどちらかである。今日の結果は後者の方であった。




