第九十話 焚き火 DE 反省会
巨神兵 「やっぽー!皆今日はお疲れ様!しっかり体の疲れを癒すんだよ~」
巨神兵 「あれれ~?レスがないな~皆今日は元気がないね~」
巨神兵 「丑光たんどしたの~?いつもは一番にレスしてくれるよね」
巨神兵 「……」
巨神兵 「……」
留美 「皆さんどうしたんですか?」
堂島 「お兄ちゃんだよ~留美たん元気~」
留美 「……」
スミレ 「……」
堂島 「どうした女子'S?」
巨神兵 「堂島たんいるじゃん。お腹に痛いの一発入れちゃってごめんね~」
留美 「何の事?」
堂島 「何でもないよ~留美たん気をつけて家に帰りなよ~」
根岸 「お前らLINEだとテンションおかしいな」
丑光 「きょんちゃんは実物とLINEでキャラ違いすぎるね」
室 「さっきまで一人称が『我』だったやんけ」
巨神兵 「てへっ」
スミレ 「何の話?」
丑光 「お前には教えないってこしのりが言ってる」
スミレ 「何だって!」
ここまでLINEグループのやり取りが続くとスミレの部屋の窓が開いた。そして「お~いこしのり!何があったの~」とスミレの透き通る声が聞こえた。時刻は夕方、巨神兵ならぬ小神兵との戦闘を終えて帰ってきた一同は、こしのりの家の庭に集まって焚き火をを囲んでいた。土上は根岸家に帰って行った。ミニスカ侍五人は、いつもの喧しい状態とは打って変わって、かなり神妙は面持ちで焚き火に目を向けていた。
「おい!無視するな~」スミレは二階の自室の窓からこしのりの家の庭に向けてそう叫んだ。
パチパチと音をさせて焚き火が燃えるだけで、五人は答えを返さなかった。頭に来たスミレは、こしのりの家の庭に下りてきた。
「おい!ミニスカバカ共!聞こえてるんでしょ!」
丑光 「こしのりがうるさい奴だと思っている」
LINEメッセージが更新された。
「うるさいアホ!」そう言ってスミレは丑光の頭にポカリと一発入れた。
「痛いなぁスミレちゃん」丑光はそう言って頭を押さえた。
「こしのりは喋ってないでしょ。ていうかあんたら皆同じ場所にいて無言でLINEで話してるとか気持ち悪いのよ」
五人とも携帯を手にしていた。しかしガラケーのこしのりまでどうして持っているのか気になったスミレは「……何でこしのりも携帯出してるの?」と聞いてみた。
「……仲間はずれじゃん。せめて携帯だけ持って、疎外感をちょっとでも減らそうと思ったわけよ」とこしのりは力なくそう言った。
「で、どうしたの?皆して葬式みたいなテンションで焚き火を囲んでさ。上から見てたけど、普通に気味が悪いんだけど」
「姉ちゃんは元気やな。いつもの調子やんけ。何だか見てると安心するで」と室が言った。
「ああ、確かにうるさい女だが、元気なのは良い」堂島も言った。
「ふん、今みたいな時には騒がしいのもいいかもな」鼻で笑いながら根岸も言った。
「何よ失礼な奴らね」スミレはプンプンである。
「実はね、スミレちゃん。この静まりようは、かくかくじかじかなワケでね~」丑光は、本日毒蝮山の頂上で起こった一連の出来事をスミレに話した。
「へぇ、そんなことが、あんた達の力じゃ歯が立たなかったてワケね」
「……」一同は黙り込む。
「能力をパワーアップさせるしかないな」こしのりが言った。
「どうやって?」丑光が問う。
「まるで分からない。しかしミニスカの能力で何とかする以外に奴を倒す手はない。と思う」
「室と土上であのチビは何とかしたが、あれは巨神兵の本の一部に過ぎない。本体となるとあの何倍のパワーになるか分からない」根岸はそう言った。
「あんなチビであのパワーだからな。改めて強敵だと実感できたな」と堂島が言った。
「ワイも、あんな得体の知れない不気味な奴は初めてや。尋常ではない奴だとはっきり分かったで」と室が言った。
一同、腕組をして黙り込む。
「……それよりこしのり、そろそろじゃないかな?」
「そうだな丑光」
「え、何が?」スミレが問う。
こしのりは鉄の棒を焚き火の中に突っ込んだ。そして棒で何かを探しているようだ。
「あったあった」こしのりが棒で引き寄せたのは何と焼き芋であった。
「きゃっほ~い!芋や~!」芋の焼き上がりを待ち焦がれたていた室はテンションアゲアゲであった。
一同は、芋を手に取り、ご機嫌に食い始めた。
「いや~うまいね~。ちょっと寒い中で待った甲斐があったよ」丑光はご機嫌に芋を食っていた。
「俺は、焚き火で焼く芋なんて始めて食うが、確かにうまいな」根岸も初焼き芋に舌鼓を打っていた。
「……私にも!……よこしなさいよ」一同が美味そうに食うのを見て我慢できなかったスミレが言った。
「おいおい、女がよこせと言うなよ。はい、熱いから気をつけな」そう言ってこしのりは自分の芋を半分に割ってスミレに分けてやった。
「うんうん、ほくほくでおいしい~」スミレはご機嫌の笑顔になった。
「姉ちゃん、良い食いっぷりやな。良く食う女は熊の中でもモテるんやで」室からイケてるメス熊情報が聞けた。
「まぁ、まずは目の前のご馳走を食べて、考え事はそれからだよね~」丑光はいつもの暢気な調子でそう言った。