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巨神兵と7人のミニスカ侍  作者: 紅頭マムシ
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第八十二話 誕生!ホームレスミニスカ侍

「はぁはぁ……どこまで行くんだろうねアレ」丑光は息を切らしながらそう言った。それに対してこしのりはこう答える「分からん。でもあれは俺達の運命を繋ぐミニスカだ。とにかく行方を追うのは絶対だ」

 二人は夜空に輝くミニスカを追って夜の街を駆ける。日中は多くの無辜の民やチャッカマンむかいのような悪人も少々加わって賑わいを見せる通りも、陽が暮れてしまってからはすっかり静かになっていた。夜の静かな通りには、二人の少年のリズム感の良くない足音と乱れる呼吸音が響いていた。

「ちょっと疲れたよ……こしのり待ってよ……」

「だらしないぞ丑光、それでも天下のミニスカ侍かよ」

 作中一だらしのない丑光が先に足を止めた。何が天下なのか分からないが、ミニスカ侍たる姿勢を見せろと激励するこしのりの方もほぼ歩くペースと変わらないくらいにのろい走りをしている。どちらも疲れきっている。15歳の少年がものの5分も持久走に耐えられないとは情けない。

「はぁはぁ……人選ミスかな、スミレにミニスカを追わせて、俺が残れば良かったかな……」情けない反省をするこしのりであった。

「あっ、ミニスカが!ゆっくりだけど地上に降りてきているよ。あの下に選ばれし六人目のミニスカ侍がいるんだよ。でも……ちょっと……歩いていこうか、こしのり」

「そうするか、俺達は俺達のペースで、だな。急ぐことはないさ」体力がないのをごまかすためにそれっぽい人生感を語ったこしのりであった。

 二人の目線でミニスカの行方を追いたいところであるが、情けないことに彼らがミニスカのスピードに追いつけないのでそれは叶わない。

 ミニスカの行方を追うなら、人物の視点を変えねばならない。そうなると語り手の仕事が増えて困るが、この場合は仕方ない。二人以外にミニスカを視界に捕らえていた人物はもう一人いた。そう、あの人である。


「おやおや、金色に光輝く布が空から降ってきたぞ」

 ミニスカはゆっくりと高度を下げて、遂に道路の真ん中に着地した。ミニスカは穿きやすいように開いた状態で道に着地し、穿き手がミニスカの穴の真ん中に立ってそのまま持ち上げたらすっぽりと穿ける状態であった。

「小さい頃に何かの昔話で聞いたことがある。空から光輝く布切れが落ちて来て、拾ってみたら天女様の羽衣だったとか、こいつは縁起の良い天からの落し物かもしれないぞ」

 男は光輝くそれに歩み寄った。

「ややっコレはスカートだぞ!それも丈が短い。今日日きょうびの天女様はこんなのを穿くのか……はいからだなぁ」

 男は、腰に通す部分が開かれれた状態で置かれたミニスカを見て、何故かミニスカが自分を穿いて欲しいと言っているように思えた。男はミニスカに導かれるままに開かれたミニスカの真ん中に立った。するとミニスカはゆっくりと浮き出し、5秒程すると男の腰まで上がって、男の腰周りをすっかり覆ってしまった。

 男の服は所々燃えていた。下半身を見れば、ズボンは燃えた部分と破れた部分が多くて、股間を包むふんどしまで見えていた。ミニスカはとりあえず、その褌が他人から見えないように覆い隠す役目を果たしていた。

「これは、なかなか履き心地が良いぞ。ウエストなんてぴったりじゃないか。丁度服が燃えてしまったところに、こいつは渡りに船じゃないか」

 男はミニスカに大変満足していた。


 その時、のろのろと歩きながらやっとこしのりと丑光は現場に到着した。

「あっ!田代さん!田代さんが六人目だったのか!」こしのりは驚きと喜びの表情で言った。そう、六人目のミニスカ侍はあのカリスマホームレスの田代であった。

 こしのりの反応とは打って変わって、丑光は両手で頭を抱えてこう言った「なんてこったい!遂に六枚全部のミニスカの穿き手が出揃ったというのに、六人目はこんなおじさんだなんて!とうとうメンバーが男だけになってしまった。五人戦隊ものに一人追加して六人で闘うってのはよくあるパターンだが、六人いて女の子が一人もいないなんて話は聞いたことがないよ~」

 やっぱり女子メンバーが欲しかった丑光は悲痛な叫びを上げた。ドンマイ。

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