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巨神兵と7人のミニスカ侍  作者: 紅頭マムシ
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第五十三話 少数派同士が出会えば嬉しさ倍増

「お~いボス、ここに来客がいるぜ」

 見張り役のうちがミニスカ侍三人をボスに差し出した。


「遅い!」堂島とスミレが同時に言った。

「お前らココへ来るのにいつまでかかってるんだ」堂島が言う。そのあとに続いて「あんた達いつまで待たせるのよ」とスミレの声が積み上げられたダンボールの向こうから聞こえる。


「ごめんねスミレちゃん。お腹が減ってると思ったから途中コンビニに寄ってパンとジュースを買ってきたんだ」すっかり温くなったジュースを持って丑光が言った。

「どのパン?」ダンボールの向こうでそれがどんなものか見えないスミレが聞いた。

「ふんわりモチっと食パン一斤五枚切りだよ」

「差し入れに食パン買ってきてんじゃないわよ。もっと味のしっかりついたのにしてよ」

「いや、君がかなりお腹を空かしていると思って、味とか質はさて置き、まずは量を重視したのを選ぼうって、こしのりが……」

「こしのり、あんたか!そこはクリームパンとかジャムパンとかでしょ」

「うるさいやつだ。いらないなら家で焼いて食うよ」こしのりが言った。

「いや、もらうからダメ」


「おいお前ら、ボスの前で何をまったり話こんでいるのさ」内が言った。

「ついに会えたなミニスカ野郎」堂島が言った。


 堂島が人質を取ってまでミニスカ侍達を呼び出した理由は簡単なものだ。

 以前彼が実家の『スイーツ堂島』を覗いた時、こしのり、丑光、スミレの三人が仲良くお店でケーキを食っていた。その時に彼の可愛い可愛いマイプリティエンジェル留美たん(堂島の妹)と仲良く喋っていた男二人が気に入らなかったので呼び出して痛い目を見せてやろうと思ったのだ。特に男の片方(これは丑光のこと)は妹を前にデレデレしていたので、彼女に手を出そうものならヘビーなのを一発喰らわせてやろうと思っていたのである。根岸はその時いなかった。堂島も今日始めて根岸を見たので「何だコイツ、ミニスカ野郎はもう一人いたのか。変なのっ」と思ったのである。


「で、そのボスが俺達に何の用だ」こしのりが言う。ミニスカ侍三人の周りは、火の始末を行っている料理担当の山口を除いた不良共十数人に取り囲まれている。

「ふん、自分の胸に聞いてみな」堂島が言う。

「……知らないってよ」こしのりが返す。

「ボスを前に随分落ち着いた奴だぜ」内が言う。


「アニキ、コイツらで間違いないっすよ。この前港で会った連中です。一緒にいた強いメイドは今日はいないみたいですけど」不良の一人が言う。

「ねえこしのり、彼はこの前港で戦った不良五人組の一人じゃないか」丑光が言う。

「そうだ、ここにはその内二人しかいないけどな。そこのダンボールの向こうにいる女に二人やられて、一人は使いにやって帰ってこない」もう一人の不良が言った。

「ああ、その使いの奴なら学校の前で倒れたぜ」こしのりが答えた。


「ごちゃごちゃうるさい。お前らに聞きたいことがある」そう言って堂島が数歩前に出てこしのり達に近づいた。そして堂島が言う「お前ら、留美とはどういう関係だ?」

「どうもこうもないさ。客と店員の関係、そして後に行方不明の兄貴の捜索を頼まれたってだけだ。そして今、その探し人を見つけて依頼が達成したってわけだ」こしのりが詳しく答えた。

 堂島は首をすばやく振って丑光の方を見た。言葉は発しないが「で、お前はどうなんだ?」とでも聞いていそうだと丑光には受け取れたので「僕は留美ちゃんとはLINEグループの友達で仲良くお話しているってだけさ」と答えた。

「何!LINEだって!内よぉ、それってのはアレかな。女の格好をしたロボットのことだったかな」偶然にも堂島が内にしたすっとぼけな質問と同じ内容をかつてこしのりも口にしたことがある。(忘れたけど数話前参照)

 これにはこしのり、ちょっと嬉しかったのでこう口にする「おおっ、お前もあのロボアニメを知っていたのか!」

「何言ってんだボス、LINEってのはスマホで簡単に連絡のやり取りが出来るアレだよ」内が説明した。

「え、ああそうだっけか。俺まだガラケーだからよくわかんないんだよ」

 これは意外にも意外。今の平成の世に、高校生がスマホでなくガラケーをメインで使用するというのは珍しい。しかもそれが同じ学校同じクラスに二人いたのだ。

 こしのりは高校入学以来ガラケーを持つ同級生に初めて出会ったので、堂島に親近感を覚えてならなかった。そして「ようこそガラケーの同志よ」と謎の言葉を呟いて堂島に手を差し伸べた。


 この時、本話数で一度も発言していない根岸は、そう言えば今晩放送のドラマをちゃんと予約録画しておいたかなということを考えていたために現在の状況に関しては上の空であった。

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