第四十一話 コミュニケーションツール市場を席巻したLINEのことを思うと実地で友情を育むことに限界を感じる今日この頃
実に個人的なことではあるが、先日シェイクスピアを読んで色々刺激を受けたので今回は戯曲風な文体でお届けしたいと思います。
2017年十月上旬。良く晴れた日の午後。
場面、こしのり家二階こしのり自室。室内にはこしのり、丑光、室、根岸の四人がいる。
こしのり「はい、という訳で九月のいまいましい実力テストも終わり学業の方が一段落着いたところで第一回ミニスカ侍ミーティングを始めます」
丑光「いえ~い」
室「わい、久しぶりの登場やん」
根岸「それにしても狭いし何もない部屋だな。ここは本の一冊もないのか」
こしのり「本ならそこの棚の上に『ビリオンピース』の最新刊があるから好きに読みな」
丑光「さあ、あの巨神兵をどうするかだよね」
室「そりゃそうだけど、残り二枚のスカートの適合者も探さないと」
こしのり「だな~。でも、これがなかなか見つからないんだよな」
丑光「四十話を過ぎてまだミニスカ侍が出揃ってないのはペースが遅すぎじゃないかな」
こしのり「まあ、ペースのことは俺らで話してもどうにもならないからな。しかしこの際だからもうこの四人でアタックをしかけるのも手だと思うんだよね」
室「そういや前も三人で巨神兵にアタックしようとしたところで例の財布の件があってうやむやになったんだっけな」
丑光「しかし、あの財布きっかけでメンバーが一人増えたのは不思議な縁だったよね」
室「そういやお前らが根岸のとこから持って帰ったケーキとその他の食い物はうまかったぜ」
丑光「それとこしのり、まさか忘れてはないだろうけど留美ちゃんのお兄さんを探すって依頼も残っているよ」
室「で、その留美ってのは可愛いのか」
丑光「ああ、とっても可愛らしくて優しい子だったね。店で紅茶をサービスしてくれたし」
室「へぇそうなのかい、LINEでやり取りはしてるけど会ったことはなかったからな。それにしてもこのLINEってのは便利だな」
丑光「室も最近はすっかりスマホ操作にも慣れたね」
室「まぁ、わいも慣れればちょいとしたものよ。それからここのところ留美が美味いと言ってるこのタピオカジュースってのはどんな感じなんだ」
丑光「ああそれね。実は僕も飲んだことがないんだよ。なんでもタピオカってのはナタデココのもう少し弾力が強いバージョンなんだとか聞くよ」
こしのり「おいお前らさっきからラインだミネルバって『ミジンガーZZ』の女性型ロボの話でもしてるのか」
丑光・室「は?」
こしのり「は?」
丑光「違うよこしのり。ていうか君も随分古いロボットアニメのネタを引っ張ってきたね。僕と室が言ってるのはスマホのLINEだよ。ほら簡単便利に文字でやり取りが出来る奴さ」
こしのり「え、なんだって。ちょっと見せろよ。……何だこれは!『巨神兵グループ』だと!」
丑光「ああ、コレね。僕らの敵であるあの巨神兵の一声で発足したグループなんだ。あんな石の塊みたいに見える奴がどういうわけかメカには明るいんだよね。テレビも大好きだし」
こしのり「こいつ『今日は満月~夜空に浮かぶミラーボールの下でご機嫌にパーティナウ』とか書いてる!こんなキャラだったっけ」
丑光「巨神兵ってば色々とご機嫌な奴でね、なかなか面白い発言をするのさ。ホラ、昨日もこの番組が面白かったとか……」
こしのり「あっ!根岸にスミレまでグループに入ってる。お前ら俺を抜きに結構楽しくお話しやがって、しかもコレ、俺たちの敵の呼びかけでだぞ」
室「まぁまぁ仲間はずれが気に食わないのもわかるが仕方ないじゃん」
丑光「そうだね。だって君はこのご時世にガラケーを使っているんだからさ」
こしのり「ガラケーの何が悪いんだよ。てかそれはともかく熊のお前がなんで生意気にスマホなんて持ってるのさ」
根岸「それはな家で購入してその熊に持たせたわけだ。同じミニスカ侍なら連絡が取れないと何かと不便だろう」
室「まあ、あの坊ちゃんのおかげで快適スマホライフを楽しんでいるってワケよ」
こしのり「おのれぇ、なんか悔しいぞ」
根岸「うん、終わった。この漫画結構面白いぞ。おいこしのり、コレの前の巻と続きの巻はないのか」
こしのり「お前、静かだと思ったら熟読してやがったのか。その本はそれっきりで前も後もない」
根岸「何だと、どういうことだ」
こしのり「俺はな漫画は買ったら次が出るまでに少なくとも三回は読んで内容をきっちり覚える。そして最新刊である内に売る。そうした方が売り値が良いからな。そして売った金を次に出る巻の購入金に回すのさ。その繰り返しだ。だから俺の手元には過去巻は残らない。お前のところと違ってこづかいもたくさんはないし、本を置く場もないから色々考えないといけないわけさ」
根岸「ふん、そんなものか」
こしのり「それが最新刊だから続きはわからないが、その巻以前のことならきっちり覚えているから、よければ口頭で説明してやろう」
根岸「いや、それは断る。前の巻はどこかで買って読むことにしよう。では、お前らの脱線に脱線を重ねた無駄話はもう打ち止めでいいだろう。そろそろ本題に入ろうではないか」
丑光「のっけから漫画を読んで我先にミーティング不参加の意志を示した君がそれを言うのかい……」
つづく




