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巨神兵と7人のミニスカ侍  作者: 紅頭マムシ
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第百四十話 7つの想い=無限の力

 現在ポイズンマムシシティの空には、7色のミニスカを纏うスミレのみが浮かび、残り6人は彼女に全てを託し安心して地に降りていた。


「スミレ頼むぞ!7色のミニスカの無限のパワーを見せてくれ!」

 こしのりが空に向かってエールを送る。


「留美たんも頑張れってLINEで言って来てるからな~」

 留美たんの兄堂島が妹のメッセージをスミレに送った。


「ネットの皆がスミレちゃんの巨大化を所望しているよ!是非、むろの巨大化の能力を使ってファンサービスしてあげてよ」

 ネット内で発信されている、今となっては決して少なくないスミレファンからの要望を代弁した丑光であった。


「それはやらない!」とスミレはきっぱり答えた。


 仕掛けるなら今がチャンスと想いながらも、7色のミニスカで何が出来るか分からないスミレは困ったままに巨神兵の自己再生を待つことになった。

 吹っ飛んだ上半身が全て元通りになった巨神兵の両の目はスミレを捕らえ怪しく光った。

 再び巨大な悪魔が動き出す。

 巨神兵の両手が、スミレを握り潰すかのように迫ってきた。


「ああ!スミレちゃん危ない!」と丑光が注意を促す。


 巨神兵の両手がスミレに近づくと、スミレのミニスカがまた輝き出し、彼女の体の周りに光の膜を作った。巨神兵の両腕がそれに触れた途端、2つの巨大な手は削り取られるようにして消えていった。巨神兵は尚もスミレに攻撃を与えようと腕に力を入れてスミレを捉えようとするが、スミレの体を覆う光の膜を突破することが出来ない。


「おお!スゴイぜ!ミニスカ侍スーパーバリアって所だな!」

 ダサいネーミングをしたのは堂島であった。


 巨神兵は手が届かぬなら次ということで、両目から強力なビームを放った。しかしそれも光の膜に達すると吸い込まれるように消えて行きスミレまでは届かない。


「すごい。このバリアがあれば巨神兵の攻撃は平気ってわけね」


「しかしどうする。攻撃は防げても、こちらからの攻撃で奴の核は潰せなかったじゃないか」と根岸が言う。

「お~い姉ちゃん、何かあるやろ。エゲツない破壊力の必殺技出してや!」と室は所望する。 

「そんなこと言ったって、今までの技以外には何も……」

 スミレがここまで言いかけると、困ったスミレに反応したかのようにミニスカが強く光輝いた。7色のミニスカはまるで燃え上がるような強い光を発すると、スミレの体を離れ、ゆっくりと彼女の胸の前に移動した。


「何、コレ?」


 スミレの眼の前でどんどん形を変えてくミニスカ。スミレはそれをただじっと見ていた。

 そして最後には一本の大剣の形を取った。その時、ブルマ姿になったスミレは急に強い重力を感じ、咄嗟に剣に手をかけた。


「わっ!落ちる」


 大剣はそれ単体が浮遊力を有していて、握っている限りはスミレが落ちることはなかった。


「わわ!スミレちゃんがブルマ姿になって、ミニスカが格好良い剣になったぞ!」 

「あれは……恥ずかしい格好だな……」そう言って根岸は天空に浮くブルマ少女から目を反らした。


「あれが俺たちの力全てを合わせた最強武器ってわけか!」

「そうやでこしのり、最強にエゲツない破壊力を持った剣や!」


「やや、両刃の大剣だね。外国製かな」と田代は感想を言った。


 ここで和尚が声を上げる。

「今こそ最強の武器で巨神兵の核を貫くのじゃ!」


 これを受けてスミレは気合充分に「やってやろうじゃない!」と答えた。そして続けて「この格好、本気で恥ずかしからマジですぐに片を付けてやるわ!」と付け加えた。


 スミレが大剣を両手で握ると、剣はジェット噴射器でもついているかのように猛スピードで上昇した。

 巨神兵はスミレのというより、剣のすばやい動きに反応して空を見上げて目と口からビームを次々と発射させる。それをくぐり抜けながらスミレは天高く昇っていき、上昇できる最高地点に達すると、そこから巨神兵目掛けて急行下を始めた。

 巨神兵は欠けた状態の手を胸の前で合わせると、パワーを集めて多きな光の玉を作った。奴の方もエネルギーの全てを集めた攻撃に出る気に違いない。


「この一突きで世界が決まるぞ!」と堂島が言う。

「スミレ頼む~」こしのりは叫んだ。


 ものすごいスピードでスミレが巨神兵に迫り、巨神兵まであと10メートルとなった時、巨神兵は勢いよく最強エネルギー弾を発射させた。それはバチバチと音を立てていて、いかにも中に強力なパワーが詰まっているようでった。


「はああぁああ!!」

  

 急降下するスミレの最強の一突きと巨神兵の最強エネルギー弾が真っ向からつかった。その瞬間、ぶつかり合う二つの力を中心に爆発的な突風が発生した。


「うわぁあ!」

 スミレを見守っていたミニスカ侍達と和尚はそう叫ばずにはいられなかった。


 彼らが乗っかっていた巨大などら焼きは突風に吹かれてひっくり返ってしまった。


 街全体がまるで朝になったように強い光に照らされ、強い風でビルの窓ガラスが割れ、犬が何匹が飛んでいくのも見えた。


「うわぁああああ!!」

 スミレは気合の咆哮ほうこうを上げた。


「負けるなスミレ!俺たち全員の想い、お前が持っていけ~~!!」

 街中を包む轟音の中、スミレには確かに友の、幼い頃から腐れ縁のこしのりの激励を耳にした。


「あんたなんかに言われなくてもぉおお!やってやるわよぉおおお!!」


 この時、大剣とスミレは一体化して一筋の閃光と化した。そしてそのまま空気ごと巨神兵のエネルギー弾を切り、巨神兵の腹を貫通した。それはまさに一瞬のことで、この僅かな間は辺りが無音になったかのように感じられた。

 

 巨神兵の背中の向こう側に出た光は徐々に輝きを弱め、やがれスミレの姿がはっきり見えるようになった。


 何かが砕けるパリンという音が街に響いた。

 それは巨神兵の核が砕ける音、そして世界が救われたことの合図となる音であった。

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