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巨神兵と7人のミニスカ侍  作者: 紅頭マムシ
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第百三十九話 和尚の説法~オン・ザ・どら焼きの巻~

「ふむふむ、堂島君の言う通りコイツはうまいぞ。僕はどら焼きが大好物だし、それ以前に地球を横断だか縦断だかして普通に疲れて腹が減ってるから食べる手が止まらないんだな~」スイーツ大好きな丑光が食いながらは身の上話を語る。

「もぐもぐ……俺好みのふっくら柔らか且つほんのり甘い生地だな。スミレにしては及第点の出来だな」さっきまでそのスミレの腰にみっともなく抱きついていたこしのりが偉そうにレビューした。


「堂島君はどこに行ったかな?」丑光はもぐもぐしながら巨大どら焼きの上を見渡す。

「お~いここだ」

 どら焼きに空いた穴の中から堂島の声がする。彼はどら焼きの餡の採点にかかるために、生地部分を食い進んで穴を掘っていた。

「ふむふむ、餡もうまいな。和菓子も良いじゃないか」

 スミレ製の巨大どら焼きは高評価を受けていた。

 堂島が評価している間に、ミニスカ侍一食いしん坊の室は、真下に向かってどら焼きを食いまくって地面に当たると、次は横に向けて食い進んで地上につながる通路を手作りしていた。

「お~い皆ここやで!」どら焼きのクッションを食い破った室は我先に地上に足を乗せていた。

「室の食欲はすごいや。まるで蟻の巣感覚でどら焼きに穴をあけちゃっているよ」

 

 和尚と田代もどら焼きを食っていた。

「タダで食べられる物は無駄にせずありがたく頂かないとね。それに戦っていると腹が空いていけない」ホームレスの彼にとってタダで飯が食えるのは逃してはならないチャンスであった。和尚も普通に腹が減っていた。

 そんな中根岸は座ったまま動かない。

「根岸君は食べないのかい。君も腹が減っているだろう。とてもおいしいよ」と丑光が勧めるものの根岸は「いや、なんというか原材料ではない人の何かしらによって出来た食い物だろう。それはなんというか、不潔、とは言わないにしろ、やはり抵抗があるじゃないか」と答えた。

 すると根岸の上に金平糖がバラバラと落ちて来た。見上げると、スミレが何やら不機嫌な顔をしている。

「不潔なことないわよ!ちゃんと美味しいし、何も問題ないから」とスミレは言う。

 根岸は真上を見上げて「パンツのようなものが丸見えな女が一体何を言うやら。というか耳の良い女だな」と言った。

「根岸君、あれはブルマって言うんだよ。パンツとは似て非なる物だということだが、人によっては意味合いとして同じ物だとも言うね」丑光は説明を加えた。


「ふう、美味い美味い。あっ丑光、家に帰れば年越し蕎麦があるんだ。母ちゃんが揚げた海老もあるぜ」

「本当かいこしのり。それは勝って帰る楽しみが増えたというものだよ」

「それにしてもさっきはびっくりしたな。せっかくミニスカ能力が回復したと想ったらまた褌姿になるしな」穴から上がってきた堂島がそう言った。

「円陣を空中でやったのが間違いだな。何でも地に足をつけてじゃないとな。ちょっと冷静になればそこら辺の危険予知はできたはずだ」失敗から何かを学ぶ確かな学習力を持つ根岸が反省点を上げた。

「そうだったね。普段の僕たちにしては軽率だったと想うよ」一番軽率な男である丑光が答えた。

「しかし今回のこしのりの掛け声は決まっていたと想うよ」と田代が褒めた。

「へへっ、そうかい。まぁこの世界を掛けての戦いだし気合も入るよね」頬をポリポリかきながらこしのりが言った。

 地上に繋がる大穴をジャンプして上がってきた室が言う「皆、ワイすごいことに気づいたで。あの姉ちゃんにミニスカを預けて今はフリチンな訳だけど、変身が解けず、言葉も喋れてるで!」

「ああ!本当だ。スミレちゃんにそこの所の気遣いは出来ないと想うから、室が無意識的にも最低限の能力を残した状態でミニスカの力を預けたということではないだろうか」と丑光は解釈した。

「そうかもな。喋れんと困るしな。はっは~」

 ミニスカ侍6人はこの状態でご機嫌に談笑し始めた。彼らがぺちゃくちゃ言ってる間に巨神兵の体の修復はどんどん進んで行く。


「全く、君たちは揃えばぺちゃくちゃと身のない話をする。それでいつもスミレちゃんに注意されるだろう。この繰り返しだな」と和尚が口を挟んだ。

「君達の世界をかけた戦いの最後はあのに委ねられることになっているんだぞ。ちょっとは応援せんか」


 これを聞いて一同は反省した。

「面目ない和尚、年長者の私までが注意をうけるとは……」田代は代表して謝る。

「まぁ君達が賑やかに他愛のない話をするのを聞くのは嫌いじゃないがね」と和尚は返す。

「和尚はツンデレだからな」とこしのりが言う。


「じゃあ皆、我らがミニスカ女王スミレちゃんを応援しようじゃないか」丑光が提案した。

「よ~し。せ~ので言うからな」とこしのりが指揮を取る。


こしのり「せ~の。スミレぇ~」

一同  「ファイア~!!」

 今度は和尚もちゃんと言った。


「うるさい!」

 どら焼きの上で騒ぐ一同に向かってスミレは一喝した。

 これに対して丑光は「全く、スミレちゃんの照れ屋な所は義務教育を受ける前から変わらないなぁ」とコメントした。


 スミレ以外がお喋りしている間に巨神兵の回復は完了を迎えつつあった。

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