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巨神兵と7人のミニスカ侍  作者: 紅頭マムシ
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第百三十八話 ポイズンマムシの空に輝く7つ星

 再び上半身が吹っ飛んだ巨神兵の中はやっぱり空洞になっていた。そこには前回上半身をぶっ飛ばした時同様に奴の核たる菱形をした緑色の物体が見えた。

「あれだ!あれ!絶対にアレが奴のエネルギーの源だ!アレをぶっ壊せばもう復活はできないぞ!」とこしのりがデカイ声で言う。

 こしのりに教えられずとも、全員がだいたいそうだろうと狙いをつけていたので、ミニスカ侍達は回復してからさっそく、各々の能力を存分に発揮して核に集中砲火を浴びせることにした。

 こしのりは両手から突風を吹かし、根岸はまあまあデカイ紙飛行機爆弾を飛ばし、堂島はダンプ一台分程の大きさの硬い金平糖をぶん投げ、田代は空き缶百本を一列に並べてそのまま隊列ごと突入させ、室は右手だけ巨大化することで自分は動かずにご自慢のパンチを伸ばした。

 彼らが放った技は、地図から街を一つ消してしまうくらいの破壊力があったはずだが、それを食らっても巨神兵の硬い核には傷一つ付かなかった。


「なんだそりゃ!全然効いてないじゃん!」てっきりコレで片が付くものと想っていたこしのりは拍子抜けしてそう言った。

「だめや。ワイらが打ち込む間にもやっこさん、体の修復を進めとるで」

「あの金平糖よりも硬いというのか」そう言った堂島の金平糖はテトラポットよりも硬い。確かな情報によるものだ。

「君たち、考えなさい。何で君達が7人なのかを」丑光の腕に抱かれた陀身安だみあん和尚が口を開いた。「兼ねてから日本人は7という数字を縁起の良いものとし、それゆえ7という数字を好む傾向にある。君たちがこれまで見てきた映画や何らかの作品にだって『7人のうんたら』とか『うんたらセブン』といった、7をキーワードにしたものがたくさんあったはずじゃろう」

「うん、確かにそうですね和尚。僕は7にまつわる何らかの作品をパッと8つ程思い浮かべましたよ」と諸々の架空の物語にやたらと詳しい丑光が答えた。

「うむ、ならば君らが7人なのにも意味がある。その手の作品では7人揃えば無限のパワーを発揮するなんてこともあっただろう」

「確かに!さすが和尚。温故知新の人ですね。ためになる知識をくださった」

「なに、古いことはいくらでも知っておるが、新しい方を知るには今だって修行中の身じゃよ」

 こんな具合で師弟の二人は軽快に会話を進め、解決策を見出していく。

 答えが読めた丑光が口を開いた。「するとだよ皆。僕たち7人がこうして揃ったからには7つの力を一つにして7を100にまで膨らます最強技が出せるはずなんだ。話の流れ上そうならないとおかしい」

「ふふ、さすが丑光、伊達にブラジル帰りの男じゃないってことか」こしのりはいつものノリで言った。 

「ふふ、ブラジルは知識の泉さ」特別何か学んだわけではないがこちらもノリで返す丑光であった。


「よし、皆円陣だ!こういう時には円陣に限る」

 こしのりが一同に円陣を呼びかけると、和尚も含めた8人で空中に浮いたまま円陣を完成させた。ミニスカを失って空を飛べない和尚の左右には丑光とこしのりが付いた。

「よし!心を一つに、力を一つに、俺たちは8人で100人をも超えるミニスカパワーを呼び起こす。それじゃあいくぞ、もはや定番になったと言っても良いであろう例のあの掛け声をするから皆ちゃんと声を出せよ」そしてこしのりは定番になったかなっていないのかイマイチ決定打にかける例のあの掛け声を始める。


こしのり「ミニスカ侍~」

一同  「ファイア~~」


 ちなみにこの時、実はこの流れを知っていながらスミレは何も言わなかった。そして和尚はそもそも知らないので、適当に「うわやぁ!」と叫んでいた。

 7人、いや和尚も合わせて8人が心を合わせたその時、和尚を除く7人の全身が金色の光に包まれた。

 スミレを除く6人のミニスカから光の筋が伸び、それはスミレの穿く赤黒チェックのミニスカへと集まって行った。この時、スミレのミニスカのチェック柄の黒色の部分全てが、6人それぞれのミニスカの色である青、ピンク、黄、オレンジ、紫、緑になった。それにスミレの赤を合わせ、遂に7色のミニスカが完成した。

 スミレのミニスカにパワーを集めたことで、スミレ以外は再びふんどし姿に戻ってしまった。 

 7色のミニスカ見た丑光はつい「キレイだ」と口にした。


 7色ミニスカが完成した所で7人の全身を包んでいた光は消えた。そして次には円陣が崩れることになった。

「あれっうわ!支えられない」そう言った根岸から順に地上に向かって落っこちていった。褌姿に戻ったことでスミレ以外は飛行能力を失ったのである。続いてむろ、堂島、田代、和尚、丑光が落ちていく。そしてスミレの隣にいたこしのりは、一瞬落ちかけたが咄嗟にスミレの腰に抱きつき、尻に頬を埋める形で落下を免れていた。

「うわ!これまじかよ!死ぬってマジで!」

「ちょっとこしのり!離せ!どこ触ってんのよ」

「どこだか分かんねえくらいにヤバイ状態だよ」

「ちょっと、一旦離して、大丈夫だから」

「大丈夫なもんか、いくら何でもこの距離は落ちたら死ぬだろ」

 現在ポイズンマムシシティ上空には、青色の褌男が女子高生の腰に抱きついているという何ともアレな光景が見られた。

「もう、大丈夫だから、バカこしのり!」そう言うとスミレはこしのりに蹴りを入れた。普段から部活動で鍛えている彼女の引き締まった足から放たれる打撃はこしのりにはかなり効いた。こしのりは遂に手を離して落下していく。


 こしのりが死ぬかと想ったその時、彼のおしりに「ポヨン」と柔らかい物があたった。

「はぁ、死んでない。良かった」そう言ったこしのりが着地したのは、スミレが堂島の能力を使って作った巨大などら焼きであった。洋菓子を専門にする堂島に対して、普段から和菓子を食うことが多かったスミレはマカロンではなくどら焼きを生成したのだと推測できる。

 和尚とミニスカ侍7人は皆無事に巨大どら焼きの上に着地していた。

 そしてスイーツを専門とする堂島はさっそくスミレ製のどら焼きを味見して「おい皆、コレ美味いぞ」と評価していた。

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