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巨神兵と7人のミニスカ侍  作者: 紅頭マムシ
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第百二十六話 竜巻を操る男こしのり

「こしのり大パワーを見よ!」そう言って我らがこしのりは大パワーを発動した。この大パワーとはこしのりがこのとき始めて口にしたものであって、設定上特に何の説明も加える必要はなかろうと思われるただの「気分」で作られた言葉である。

 こしのりの穿く青きミニスカが輝くと彼の真下の海面には大きな渦が発生した。そしてその渦から更に竜巻が発生した。海水を巻き込んだ竜巻はぐんぐん天高く伸びていく。こしのりの驚くべきパワーはこれに留まらない。こしのりはこれと同じ竜巻をあと4つも発生させた。今、こしのりと巨神兵の周りには5つの水の柱が立っている。

 これを港で見ていた堂島は「すげぇ!パニック映画とかで見るヤツだ!」とコメントした。

「ゴゴゴゴ」と大きな音を立てて海水を含んだ竜巻は雲に届くまで伸びて行く。

「ふふふ……こいつをお披露目するのを今か今かと待っていたぜ。これ、かなり格好良くないかな。なぁスミレ、この竜巻をバックに写メとっておいてくれないかな。後で生きて会えたら丑光に自慢するんだ」この後に及んでもまだこしのりはバカ言ってる。

 こしのりに追いついたスミレは、この困った幼馴染の言う事を聞いてパシャリと一枚撮ってやる方が、怒って言う事を聞かすより楽で速いと思ったので、彼の望み通りにスマホで写真を撮ってやった。

「ふふ、写真が終わったら次はお前をコテンパンにする番だぜ!せっかく作ったのに勿体ないけどこいつをお前にぶつけておしまいにしてやる」こういうとんでもない事態なので、こしのりは舞い上がって口数が多くなっていた。そして説明が丁寧。

「くらえ巨神兵!」

 こしのりの号令によって5つの竜巻それぞれがぐにゃりと曲がって、先端から巨神兵目掛けて突っ込んでいった。巨神兵は五方向から激しい風と水を受ける。「ゴゴゴ」という大きな音がして、激しい風の回転が巨神兵のボディを削り落としているように思われる。

「やったか!」こしのりがそう言いながら巨神兵に近づいた時、巨神兵からビームが飛んで来た。

「うわっち!」

 こしのりは間一髪それを避けることが出来た。

「ふぅ、あぶね」

 こしのりが安堵の息を漏らしている時、スミレはその後ろで忙しく行動していた。スミレは田代の緑色のミニスカの能力を発動し、たくさんの空き缶で出来た壁を空中に召還した。その壁に当たったことでビームは消えた。

「こしのり!あんたが避けたのが街に飛んでいったら大変でしょ!」

「ああ、そうか。そこへの心配は全くしてなかったぜ」 

 こしのりは基本的に気分で生きているので、周りに気を配るということが不得手である。

 やがて竜巻が止んで巨神兵が再び姿を見せた。奴のボディをちょっと削ったくらいで深いダメージにはなっていないと見える。

「くそ、まだか」

「こしのり、全然じゃない!もっと力入れてよね」

「言うじゃねえか、よし次をおみまいしてや」とこしのりが喋っている途中に、巨神兵の目からビームがぶっ放された。

「うああ!喋っている途中だろうが!」こしのりは何とかビームを避けきる。ビームは海面にあたり、海水がはじけた。

 次に巨神兵の全身が内側からボコボコと盛り上がり始めた。何が始まるかとこしのりとスミレがじっと見ていると、巨神兵の全身から無数の岩が飛び出した。巨神兵のボディは砂や石で出来ているので自分の皮膚にあたるそれらの一部を飛ばす攻撃手段を取ったのである。

「わっわ!」こしりのはまるで踊るようにしてギリギリで岩を避けて行く。スミレはというと、前方に空き缶の壁を作って攻撃をやり過ごしている。 

「調子に乗りやがって!」こしのりは右手をかざして強風を起こした。これによって飛んでくる岩は方向を変えて巨神兵にぶつかって行った。

 岩は遠くに飛ぶ物もあった。スミレが先ほど出した空き缶の中からなんと紙飛行機が出て来た。たくさんの空き缶に潜んでいたたくさんの紙飛行機は空飛ぶ岩に向かって飛んで行く。紙飛行機がぶつかると岩は爆発した。空中にいくつかの爆発が起き、岩の欠片は海へと落ちて行く。スミレは仲間達から得た能力を見事活用し街の防衛を果たしていた。

 こしのりは風の力を用いて岩を押し戻したり、避けたりの行動に必死であった。こしのりはちょこまかと動いていたが、動体視力優れる巨神兵の目に動きを捉えられ、次にはくうを切るすばやい巨神兵の腕にがっしり捕まえられてしまった。

「しまった!うわ~」

 哀れ我らがこしのりの全身は巨神兵の巨大な片手の中へと消えていった。

「こしのり!!」

 スミレはこしのりが巨神兵に握り潰されることを心配して猛スピードで巨神兵に突っ込んだ。スミレは巨神兵の腕目掛けて紙飛行機を十機飛ばした。しかし、それが巨神兵に届く前に、巨神兵は口をあけ「ゴオゥ!」とうなり声を上げた。大きな声と共に巨神兵から強烈な衝撃波が放たれ、紙飛行機はもちろんのこと、スミレもそのまま10メートル程陸に向かって飛ばされてしまった。

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