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巨神兵と7人のミニスカ侍  作者: 紅頭マムシ
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第百十三話 考察~なぜ今の時期にファッションのニューウェーブ「ミニスカブーム」が来たのか~

 ミニスカ侍がテレビに取り上げられてからというもの、人々の間には「ミニスカ侍とは何だ」という謎と、それから来る興味が沸き起こっていた。

 なぜ冬に、しかも男や熊がミニスカを穿くのか、そして「ミニスカ侍」という不思議と歯切れよく響きのよいこの言葉の魅力にどうしてこうも惹かれてしまうのか、何故なんだ、わからない、ただ口に出して言ってみたい、「ミニスカ侍」と言ってみたい。

 多くの人々が上記のようなことを思った結果、気づくと「ミニスカ侍」はトレンドワード入りしていた。

 兼ねてから堂島を慕う『子子子子子子子子子子子子ねこのここねこ ししのここじし』のメンバーが皆ミニスカを着用し始めたことが意外にもヤンキー界隈に受け、最近では若い男子の間で徐々にミニスカが流行り始めていた。大衆文化というのは、大衆の中でもアウトローなこういう連中から生まれることが稀にある。

 ミニスカブームは不良連中から始まり、しだいに一般中高生、オタク共、生活に新たな風を吹かせたいと願う冴えない浪人生にまでわたって広まっていった。年末には街で十人と擦れ違うと一人か二人はミニスカ男といった具合になっていた。

 そこへ来て今回のテレビ放送である。一般のショップや問屋にまでミニスカを欲する老若男女が多く訪れるようになった。冬にたくさん売れるものでもないので、ファッションショップ『五厘ごりん』の店員田中山義彦たなかやま よしひこは在庫が無くなって困ったと言っていた。ちなみにこれは私の友人である。

 選抜してテレビ取材に参加した三人のミニスカ侍の内、田代はカリスマホームレスとして既に若者の間では有名人であり、その上いつぞやは火事の中から子供を助けた功績を上げたため、更に街の中でも広く認知されていた。むろは最近回覧板で話題に上がっていたネタ元であった。街を徘徊する熊だか狸だか判然としない間抜け面なミニスカを穿いた獣の存在が確認されたので見かけたらとりあえず逃げろという指示が町内会員に出されていたのである。そしてこしのりも二人程ではないものの、ちょっとした有名人であった。メディアでは名を伏せたが、以前放火犯を捕まえたお手柄高校生とはこしのりのことではないか、と学校の者や近所の者がだいたいの検討をつけていたからだ。そういう訳でこの三人は、そこらの一般人よりは少しばかり有名で、社会への影響力があったのは確かである。 

 三人の持つステータスのためもあり、それまで以上のミニスカブームがやって来た。このブームを信奉する者は、ことの発端となったこしのりを中心とする7人のミニスカ侍を神格化していったのである。となると、テレビに姿を現していない残りの4人は一体どこの誰だという話題がSNS上で持ち上がり、ユーザー共を賑わせていた。

 これを知ったスミレは「私、しばらく外に出たくない」と口から漏らしたという。こんな世の中にして、謎のミニスカがあんな性質であるから外に出れば7人のミニスカ侍の内の一人とすぐに特定されるであろう。

 決戦の前日が迫った頃、ミニスカ侍は世間に広く認知される有名人となっていた。そのファッションセンスのことだけはでなく、巨神兵を倒す戦士であるということもこしのりの口から世界に向けて発信されている。これに関しても世間からはすごい注目を集めた。何せこんな荒唐無稽なことをマジで言っているなら頭がヤバイ奴だし、言っていることが本当の話ならなお更ヤバイことだったからである。

 ミニスカ侍と巨神兵、対抗する二つの勢力は世界中を巻き込む大きな話題となった。現に彼らは世界を背負っている訳である。

 だらだらと続いた彼らの日常も一旦はお休みを迎える。そして下手をすれば再開は叶わないかもしれない。彼らはそんな尊い時間をかけて、明日最後の戦いに出るのである。

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