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巨神兵と7人のミニスカ侍  作者: 紅頭マムシ
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第百十二話 突撃!ミニスカ侍生取材

「はい、こちら現場の内田です」きめ顔でそう言ったこの女は今売れっ子の女性アナウンサー内田実衣愛うちだみいあである。

「今年も末になってファッションのニューウェーブがやって来ました。ご存知の方も多いでしょう。現在巷では若者を中心にミニスカが流行っているのです。あっ、しかも男性にです」内田がここまで言うと、カメラマンのやっさん(本名は安田)は内田からカメラを振って内田の奥に見えるとある家屋を映した。この家が一体誰の家なのか。それは我らがミニスカ侍こしのりが現在住んでいる家であり、彼の祖父がこつこつと金を貯めて建てた尊い家でもあった。

 カメラに家がアップで映った後に再び内田は話始める「そう、まさにあのようにしてズボンの上からミニスカを穿くのが流行りらしいんですね」

 内田が言った「あのように」を示す人物はなんと玄関前に立つこしのりであった。

「我々の行った長期にわたる街角調査の結果、このミニスカを流行らせた第一の人物は彼だと判明したのです」内田が言い終わると次にカメラの真ん中に映ったのはこしのりである。そして「どうも~ミニスカ侍の源流、こしのりで~す」と何やら作ってきたキャラをここで初お披露目することとなった。青いミニスカを穿くこしのりの右には緑のミニスカの田代が立ち、左には紫のミニスカのむろが立っていた。両脇の二人もカメラに向かって手を振っていた。


 本日は12月29日。世界がどうなるかという直前になってミニスカ侍達は朝の情報番組「取れたて!グッドモーニング毒蝮ステーション」内のティーンの流行ファッションを紹介するコーナーの生取材を受けていた。

 番組独自の街角調査から、この空前のミニスカブームを引き起こした大元はこしのりであり、周りのミニスカ侍達もそれに大いに貢献しているという結果が出たのだ。そういう訳でこしのりの家に取材交渉の話が来て、こしのりはこれを快諾した。番組側としてはブームを牽引した7人全員で出てほしかったのだが、まず丑光は消息を絶ったままだし、根岸、堂島、スミレの三人は口を揃えて「普通に無理」と言って出演を断った。そういう経緯からこの三人のみが出演することになった。

「まずはミニスカ侍の皆さん、取材を快諾してくださってありがとうございます」

「なんのなんの、あとで内田アナのサインを頼むよ。丑光が大ファンなんだ。生きて戻ったらあいつにあげるんだ」

「ええ、それはまた後で」そう答えた内田は丑光って誰だと想っっていた。

「それにしてもまず何から聞いたものか……皆さんについて気になることがたくさんあるので」内田がそう言ったのも無理はない。まず男子高校生のこしのりがミニスカを穿いているのは普通ではない。それに加えて両脇には同じくミニスカを穿く中年のおじさんと熊がいるのだから。

 カメラマンのやっさんは内田の困り顔も画になると想い彼女をアップに映した。

 内田は「では、まず男子高校生のこしのりさんがミニスカに足を通した経緯を教えてください」

と言った後にこしのりにマイクを近づけた。話術に長けるといえば長けるこしのりは、物語の第一話から今日までに起こったことを分かりやすくさっくりまとめて話した。

 それを聞いた内田の反応は「……」であった。内田はまずこんな話は企画会議で何も聞いていないと思い、次には「何だこの荒唐無稽もいいところな話は」と思ったためにただ黙るのみしか出来なかった。

「はぁぁ……これはまた……何と言うか想像を絶することですね」何とか言葉を振り絞った内田は次には田代にマイクを向け「今のマジですか」と質問した。

「ええそれはもうマジですよ。あっ私は田代といって、ここらでホームレスを少々やっている者です」このように答える田代もまたどこか頭がおかしいのかと思った内田は困って室の方をちらっと見たが、何せ熊なのでという理由から話を振るのは止めた。

「え~と、という訳で世界がどうにかなるか、というレベルの一大ブームが今回のミニスカブームだった訳なんですね~」内田はなんとかまとめきった。

「今日は忙しい中お話を聞かせて頂きありがとうございました。他の4人の方にもよろしくお伝えください」

「ああ、一人はすぐそこにいるぜ」と言ってこしのりは隣のスミレの家を指差した。するとこしのりの頭目掛けて蜜柑の皮が飛んで来た。それは上手いことこしのりの頭にペタッと着地した。余計なことを言うなの意味を込めてスミレが飛ばしたものである。

「あ~、では最後に何か一言あれば」

「あっ、コレって全世界に放送されているんだよな」

「ええ、世界に広く放送しています」

 内田からこれを聞いたこしのりは、もしかしたら丑光がブラジルで見ているかもしれないと思い、彼へ向けてのメッセージを送った。

「丑光!見てるか!戻ってこいよ。無理ならブラジル観光してきな」

 予めこれを言うのを予定していたため田代と室は丑光の似顔絵を描いた手作りのプラカードを振った。ピンクのミニスカートを穿いた丑光が上手に描かれていた。内田はこれを見て「このピンクのミニスカの少年には前に会ったことがある」と思った。

 ミニスカ侍三人はカメラに向かって丑光の名を呼び続けた。そこで生中継は終わり、映像はスタジオへと戻された。

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