第百四話 修行とは誰にとっても苦なるものである
色々あった末、ミニスカ侍達は毒魔夢寺の山中陀身安和尚の指導の下で修行を行うことになった。一同が黄金のミニスカを目にした次の日には修行がスタートしたのである。しかし、修行開始の日の朝に寺に集合したのはミニスカ侍7人の内5人のみであった。欠けている二人は根岸と室であった。
「ねぇ、二人いないけど、どうしたの?」と言ったのはスミレであった。
「根岸君はお坊ちゃまだからさ、古臭い寺での生活は色々無理ということさ。そして室には家庭があるからさ、大黒柱の彼が森を留守にはできないだろう」丑光のこの説明にいまいち納得がいかなったスミレは、ただ黙って聞いていたのみであった。
「そういえばあれでも室は妻子持ちなんだよな~。今度嫁さんと子供を見せてもらわないとな」とこしのりは暢気に答えた。
「はぁ…はぁ…だったら俺だってこんな所での暮らしは無理なんだけどな」息を上げて答えたのは堂島だった。
「堂島君はここに来る前からお疲れだったようだ」と田代が言った。
堂島が一仕事終えた後のように疲れているのには理由がある。実はこの男も寺での修行を嫌がって最後まで行かないつもりでいたのである。理由は「妹と離れたくないから」というその筋の人間にしか理解できないものであった。彼がこれを言い出したことに関しては、まずその妹の留美から「修行に行きなさい」と強く言われた。しかし彼は「妹もスイーツもないところは無理」と言い張った。
困った留美はこしのり、丑光、スミレを説得のために呼び出した。しかし説得に応じそうにもなかったので彼がかつて所属していた不良グループ『子子子子子子子子子子子子』のメンバーも呼び集めて半ば強引に寺まで引っ張っていったのである。そんな一騒動のせいで堂島は既に汗をかき、そして服も汚れていた。
「俺がこんな目に合って根岸が普通に家に閉じこもっているのは一体どうゆうことだよ」と堂島は言った。
「まぁまぁ僕たちで頑張ろうじゃないか」
「よ~し、それでは修行開始だぜ」こしのりの掛け声で5人は寺の門を潜った。
これから2週間に亘ってミニスカ侍達の修行が行われることになる。
ここで私は思うわけである。修行、それはやるも見るも別に面白いものではない。私はこれまで多くの作品で主人公のパワーアップのための修行回を見てきた。それらは、やはりメイパートとなるエピソードと比べるとつまらない。
この修行回すら面白くするには相当練りこまれた物語展開が必要となる。それには修行を通して登場人物の心理的成長をも緻密に描くとか、修行の内容自体が突飛で一見の価値があるといったようなしっかりとした見所を用意しなければならない。結果を言うと、私は修行回を面白く出来る自信がない。そういう訳なので、この修行については何から何まで描くことはせず、なるたけ飛ばしていこうと思う。これは怠慢ではなく考え抜いた末の「勇気ある撤退」と受け止めてほしい。