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コマンダー03  作者: 前頭禿夫
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研究と修養に励もうと思います

 ホスト01番および02番は旅立った。全裸で。

 さらばわが元同僚よ。そして新しい職場よ、こんにちは。

「さて、改造でどのようなことができるか知りたいといったな」

「イーッ!」

「文字通り、お前を改造できる。エネルギーストーンさえ足りていれば、たとえばお前をドラゴンにすることも可能だ」

 おお、ドラゴン! 心躍りません。強いけどやられ役代表というイメージがありますね。小回りが利かないだろうというのも減点ポイントです。

「ただし、ベースになっている怪人と改造後の怪人があまりにもかけ離れている場合、その影響は如実に現れる。主に、精神面において」

「イッ?」

「当然であろう。肉体と精神は相互に影響を与えうる。肉体が変化すれば、それに引っ張られて精神も変化する。ドラゴンになった場合、それはもはやお前とは異なる存在であろうな」

 ああ、社会的地位や富ですら、人間性を変化させるものなぁ。責任ある立場になることで精神的に大きく成長する人間がいる一方、とち狂ったような劣化をみせる人間もいる。それが肉体という自己に直結した要因が変化するんだ。変わらないほうがおかしいな。

「で、あるからして、お前の場合は人型を基本として改造強化していくことが望ましい。肉体強化、感覚鋭敏化、精神強化、そこから発展して超能力の取得もある」

 ほー超能力。手も触れずに物を動かしたり、発火させてみたり、遠くを見通したりですな。

 ふむ、いろいろ言われてもわからない。どんな形であれ、大事なのは適性があるかどうかだ。適性がないものを習得することのあの厳しさよ。そして習得しても適正持ちにはまるで歯が立たない。才能って大事だよね。おっさん、人生でつくづく身にしみたよ。

「適正、なるほど適正か。お前は指揮官型という適正をつけて造られたが、その後変化があったかも知れぬな。何事にも個体差があるものだ。どれ、まずは調べてみよう」

 そういうと、改造装置とは別の棺おけに連れて行かれる。

 入れ、ということですね。はいはい、ちょっと失礼しますよ、と。

 うーん、中はただ暗いだけだ。しかし外側は改造装置のように稲光が吹き荒れていたりするのだろうか。

 ぼーっとしているうちに検査が終了したらしい。ふたが開かれる。

 棺おけから出ると、博士はモニターを見つめて微動だにせずいる。邪魔しては悪いので、こちらから声をかけるのは差し控えておこう。

「それほど特異とはいえぬが、変化はあるな。お前たちの行動記録を見てみるか」

 おお、それは私も興味がある。ぜひ見せてもらおう。

「イーッ!」

「なんだ、お前も見たいのか。へんなやつだな。そちらのモニターにも転送するから、確認してみよ」

 やった。どれどれ。


 識別コード00218030501603 指揮官型怪人コマンダー03 行動記録

 00218/03/05 第16ラインにて製造。レディ・ダーク傘下に配属

 00218/03/15 戦闘訓練修了

 00218/03/16 作戦従事 イ号 地点M

 00218/03/17 作戦従事 イ号 地点M

 00218/03/18 作戦従事 イ号 地点M

 00218/03/19 配属部隊より他2体とともに改造申請 同日 受理

 00218/03/20 作戦従事 イ号 地点M

        同日 研究所より転属申請 転属ならびに改造保留中


 ほうほう。最初の数字は年月日ですね。慣れ親しんだ日本式なのはありがたい。

 これを見ると、私は製造されて3週間経ってない。というか、私の意識が目覚める前に、3回もあの洞窟でゴブリンを殺していたようです。そりゃホスト01番と02番も手馴れていたわけだ。

 転属申請がまた受理されていないのは少々怖いですが、どうしようもないですね。

「改造申請の時点では、生産時と差異は見られなかった。必然的に、今日の作戦中に何か通常とは異なることがあったはずだな」

 博士は満足そうに頷く。

 いや、ちょっと違うんじゃないかなー。

 どう考えても、改造申請時点、つまり昨日と今日で一番異なっているのは、私の意識が目覚めたかどうかだ。しかし、それを正直に言うのはためらわれる。

 一見良識的にやり取りをしているが、相手は怪人なんか造っちゃうマッドな科学者だ。下手なことを口走ったら、「お前の精神を分析だ!」とか言ってしゃれにならないことになる、なんてのはよくありそうだ。くわばらくわばら。

「どうだ、何か思い当たることはないか」

 うーん、そんなことをおっしゃられましても。むむむむ。

「ふむ。ではお前についている適性を伝えれば、思い当たるか? クリティカル(即死)だ」

 え、クリティカル? よかった、どうやら私の自我は問題にされていないようだぞ。

 しかしクリティカル……即死……あっ。

「イーッ! イーッ!」

「ほお、ゴブリンを蹴り飛ばす際に、普段と違う感覚か。そして、首を刈り取ったと。なかなか興味深いぞ」

 これは間違いない、あのときの蹴りだ。01番さんと02番さんも驚いていたから、通常ではありえないのだろう。確かに他のゴブリンも蹴り殺したが、あの感覚はあれ1回きりだ。

 会心の一撃!

 うむ、いいな。いいぞ。国民的RPG4作目に登場したおてんば姫のように会心ラッシュだ。

 ……いや、待て待て。ほんとにそうか? あっちの会心は攻撃力何倍とかそういう感じだったはず。あの時感じた感覚は、そういう風ではなかったぞ。なんというか、そう、普段の攻撃が棍棒で殴ってるような感じだとしたら、あの一瞬だけ、そう、まるで日本刀を振るったかのようだった。効果音をつけるとしたらキュピンというか、シュピッというか。

 ……あ、そうか。

 わかった。これはアレだ。

 裸NINJAだ。


 「かんてい」という名の司祭さんとか、いるのかな……?

怪人なのかNINJAなのかはっきりしろ!

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