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アネモネの言葉  作者: 七夜アキ
第1章*見落とした鍵*
8/30

第8話


ガラッ


乾いた音と共に教室の窓が開いた。

しかも、廊下側の窓ではなくベランダ側の窓が。


2人は抱きついていた腕と抱きつこうとしていた腕をそっと離してお互いに距離をとる。

2-Bは3階にある。

それにこの学校は他の教室のベランダとはそれぞれ別になっているため、人はベランダに入れないはず。

と、言うことは……


「あ〜、ごめんね〜?お邪魔しちゃって」


まるで、「僕、反省なんてしてませーん」と言っているかのような謝り方。

最悪だ。よりによって“こいつ”に見られるとは。


「いや〜。僕の教室、女の子たちが喋ってたからB組さんにお邪魔させてもらったんだよね〜」


「……」

「……」


早く教室から出て行って欲しい。と言うより目の前から消えて欲しい。


なんで…。

『リオ』はA組だし、今日はミーティングがあるんじゃないの?バスケ部助っ人なのに…。


伊織がそんなことを考えている間、カイはずっと黙ってレオを威嚇していた。


「ね〜?カイ君さあ。人を威嚇するのやめなよ。嫌われるよ〜?」

「……」


内心、伊織に嫌われなかったら良いと思ってしまったのは秘密だ。(レイも…、なんて一瞬考えてしまったのはオレの一生の中で黒歴史となるだろう)


カイは無言を貫くつもりらしい。


「…カイ…」

「ん?」


今にも消えそうなほど細い声。

それでもカイはしっかり聞き取ってくれた。

それだけで安心するし、落ち着ける。


「え〜。僕は空気なんだ〜。それに僕のことは無視するのに彼女ちゃんには甘々〜。それってさぁ〜?酷くない?」

「黙れ」


カイが怒っている。伊織とレイ以外の前で。

今日の放課後はレアすぎる気がする。リオの事を除いて。


「あーあ。カイ君怒っちゃったよ。かーわい!でも、そろそろ僕は退散するよ。僕も暇人じゃないんでね。助っ人のバスケ部は別にミーティングなんてマジメに出なくても良いんだけどさ〜。陸上部は正式に部員だからね♪」


聞いてもいない事を勝手にベラベラと喋り出す。

こいつも双子なのに片割れとは大違いだ。


片割れは口は悪いけどこんな性格してないし…。

レオは良いやつだし、と伊織は思う。

同じクラスなのがレオで良かった、と心から思っているのは伊織だけではないだろう。


だが、リオの笑顔に騙される女子が多いのも事実だった。


「ねえ、伊織ちゃんは今日も可愛いね〜。カイやレイと大違い。いっそ僕の彼女にならない?……ウソウソ。ウソだって〜。そんなに睨まないでよ。カイ君」

「キモい。君付けで呼ぶな」

「カイ君照れちゃって〜。まあ、邪魔者は退散するとしましょうか。伊織ちゃんまたね〜」


そう言い残して、リオはドアから出て行った。


「伊織、大丈夫?」


さっきまでリオを威嚇していたのが嘘のように、今度は優しくなる。


「うん…、ありがと」

「うん」


嵐が去った後のようだ。

シーンと静まりかえった教室に、野球部と思われる人の怒声が響く。


「伊織。慌てなくてもオレ、待ってるから」

「うん…」











伊織が日直日誌の記入をしている頃。

2階の廊下を歩いているリオは


「いいモノが見れたし、聞けたし。今日は自己ベストが出せる予感♪」


と、ウキウキだった事も


「それにしても、伊織ちゃんの怯えた顔…!もう、最高だね…」


そう言っていた事も誰も知らない。


「今日は蛍と帰ろっかな〜?レオは彼女いないし。可哀想だけどたまには彼女と帰ったって文句は言わないよね〜?」


そう言って運動場へと歩いて行くのだった。


誤字、脱字等ありましたらご連絡ください。


今回はリオのおかげで解りにくい回かもしれません。

ここ、意味不明なんだけど。等々ご意見がありましたらご連絡ください。

そして、第1章は第8話で終わりです。


『鍵』は見つけられましたか?

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