第4話
「レオ、今日部活のミーティングがあるって言ってたから。日直の仕事を殆どやってくれる代わりに、私が記入して提出するって約束した…」
だから、ごめんね?と伊織が謝る。
しかし、それであっさり諦めるような双子ではなかった。
「ふーん…。レイ、オレ伊織と学校戻ってくるから先に帰ってていいよ」
「いや」
また、始まりそうなケンカにため息が出そうになる。が、今回は少し違った。
「はぁ…。今日、当番、レイ」
「なにがっ…!あ、…」
「あ、分かった?んじゃ、ヨロシク」
カイはガックリと肩を落とすレイに、追い打ちをかけるように普段見せない笑顔を見せ、伊織の手を引く。
「えっ、ちょ…っ!」
驚いている伊織をよそに走り出す。
背後でレイが何か言っているが知ったことじゃない。
ハハっと笑みを浮かべ、気持ち良さそうに走る。
ある程度走ったところで、カイは走るのをやめた。
「はぁっ… はぁ…っ。なんっ、なの…。カイ、今すぐ説明しなさい」
楽しそうなカイに対して伊織はご立腹のようだ。
カイは伊織の息が整ったのを確認したあと、自然に手を繋ぎ直す。「行こう」と声をかけ、歩き出した。
誤字、脱字等ありましたらご連絡いただけると嬉しいです。