第3話
「伊織、用事ってなに?オレも一緒に行っていいよね?」
怒りを含んだ声。
今日は珍しくカイが感情を見せている。
……明日は雨が降るかな、とカイを怒らせた張本人はのんきにそんな事を思っていた。
「カイ、キモい。伊織、私も行きたい」
「レイは黙ってて。伊織、今日何曜日か知ってる?月曜日だよ。月曜日。ねえ、日曜日会えなかったの知ってるの?ねえ、どうなの?」
「カイ、うるさいキモい黙れ消えろ。伊織、カイのことなんかほっといていいから。そんな事より、用事の内容を教えて。まさか、浮気?」
「えっ…」
カイが今にも泣きそうな眼でこちらを見てくるが、伊織はまだ何も言っていない。
それなのに、あっという間に進んでいく話しに「はぁ…」とあからさまにため息をついてから説明を始める。
「用事は日直日誌。今日、日直だったのに日直日誌を提出するどころか記入すら忘れてたから。明日も日直なんて嫌だし」
「日直って2人でしょ?今日は伊織と…、レオじゃん。レオなら記入して提出してくれてるんじゃない?」
レオ、とは伊織たちのクラスメート。
名前は黒瀬レオと言って口調は悪いものの、優しいやつだ。
「……そうだよ、伊織。レオなら終わらせてくれてるよ。だから帰ろう」
ついさっきまでケンカしていたというのに、今度は手を組んでいる。
なんとも都合の良い双子に呆れながらも、伊織は説明を続ける。
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