表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アネモネの言葉  作者: 七夜アキ
第2章*悪夢が消えるまで*
14/30

第14話

そのネコはとても大きくて、凛としていた。

まるで伊織のようだった。


「どうせあんたも賢いんだろ?」

「……」


尻尾を動かしたのは返事の代わりだろうか。

この家に住んでる生き物は全て賢くなるのだろうか。

ならば、住みたい。


「……で、伊織は何処に?」


すると、2匹はこちらに寄ってきた。

なんでだよ。コッチに伊織がいる訳がないのに。


寄ってきた2匹はカイの足元で丸くなった。

……何がしたいのか、まるで分からない。


暫くすると、2匹が一斉に顔を上げ甘えるような声で鳴き出した。


「……あ、合格したんだ」

「何が?来るの遅い。何分待ったと思ってんだよ」


この2匹は伊織にベッタリなのか。

そんな事よりも早く『茜』という奴に会わなくてはならない。


聞きたい事が山ほどあるのに。


「伊織、茜ってヤツは何処にいるの。早く会わせて」

「……?そこに居るけど?」

「……は?」


伊織が指さしているのは、オレの足元。

そこに居るのは……


「え?このネコのこと?」

「うん。可愛いでしょ」


いや、お世辞にも可愛いとは言えない。

カッコいい。凛としていて、何処か儚いくて、そして危うい。そんな空気をまとっている。

今にも消えそうなのに凛としている。この矛盾がこのネコ…、茜には通用していた。


「うーん…、分かんないけど。ネコが茜なんだったらイヌの方は?」

「茂太郎」

「……は?」

「茂太郎」

「このイヌの名前が…?」

「うん」


伊織は当たり前のように言っているがこのイヌは日本犬ではない。

犬種までは分からないが、大型の洋犬。そこまではまだ良いとしても、このイヌは……『女の子』だ。


「このイヌ、女の子だけど…?」

「うん。名前をつけるときにお母さんが『茂子』って名前はどう?とか言い出したから、せめて茂太郎にしてやろうと思って」

「いや、女の子だし。まだ茂子の方が良かったんじゃ…?」

「それが、そうでもなかったんだよね。当時の茂太郎の態度が茂子って呼ばれた時と茂太郎って呼ばれた時とで全く違ったんだよ」


……もう、何も言わないよ。ごめんなさい。

ごめん、茂太郎。


「…変な事考えてたでしょ。教えなくていいの?」

「いや、教えて」

「……いいけど」


そう言えば、茜と茂太郎は?と思い振り返ってみると……………。

付いてきていた。ちゃんと、オレたちの後ろを。


どんだけ伊織に懐いてんだよ。

どんだけ賢いんだよ。



金持ち、と言うより『白銀家』が少し怖くなったカイだった。

誤字、脱字等ありましたらご連絡ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ