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アネモネの言葉  作者: 七夜アキ
第2章*悪夢が消えるまで*
11/30

第11話

「い、伊織泣いてたな……。っ、でも俺は悪くないぞ?」

「そうだよ。隠してた伊織が悪いんだ」

「そんなのより伊織を捨てた伊織の親が悪いんだよ」


静まり返った直後に始まった『自分は悪くない。』の言い合いだった。

殆どの人がカンタと同じ立場だったためか、カンタを責める人は1人もいなかった。


レオはそんなクラスメートに呆れてさっき教室を出て行った。


そんな中レイはカイを探していた。


「………カイ?」


カイがいない。


まさか追いかけて行ったのではないか。

そんな事が脳裏をよぎる。


「なんで……っ」


なぜかイライラする。伊織をカイが追いかけて行ったかもしれない、と言うだけで。


なぜ伊織を追いかけたのか。

なぜ自分以外の子に興味を持っているのか。

なぜ、なぜ、なぜ。


その感情が嫉妬だと気づいたのは、カイが豪華な家に入って行くのを見てしまった時だった。



私のカイを横取りしないで。



























その日、カイが家に帰ってきたのは夜の8時だった。


なのに、なぜかカイは怒られなかった。

それが私をさらにイライラさせた。


「お母さん、なんでカイを怒らなかったの。ウチの門限、18時でしょ」

「ちゃんと連絡いただいたのよ。白銀さんのお宅から電話がかかってきて、カイに夕飯食べさせてもいいか?って。その後、カイからも説明してもらったし。白銀さんって同級生なんでしょ?」


普通、そんな電話一本で信用しないでしょ。

お母さんは詐欺に引っかかるな。と思ったが口には出さない。


「………あっそ」


それだけ言って逃げるように2階に上がる。

ガチャ、と音を立てて開けたのはレイの部屋ではなくカイの部屋だった。


「カイ」

「……なに?」


そっけない返事が返ってくる。


「なに?じゃない。なんで白銀さんの家で晩ご飯食べてきたの」

「誘われたから」

「なんで誘われたの」

「伊織の友達が家に来るのが珍しくて嬉しかったんじゃない?」


友達…?カイと伊織が友達になった、なんて聞いたことがない。


「いつから友達になったの」

「今日。伊織の家に遊びに行ったとき」


伊織、そう呼び捨てした。

確かに自分も心の中では呼び捨てだが、それとこれとでは話が違う。


「カイが女子を呼び捨てなんて珍しいね。なんで白銀さんの家に遊びに行ったの」

「伊織のことが気になったから」

「なんで白銀さんのことが気になるの」

「綺麗だから。全てが」


爆弾発言をしたのはスルーしてもいいのだろうか。

他にも聞きたいことは沢山あったのに、何故か声がつっかえて出てこない。


「レイは伊織が嫌いなの?」


突然の質問。突然すぎて、「え…?」としか答えられなかった。


「別に、嫌いならそれで良いんだけど。彼奴らみたいな事だけはするなよ」

「……するワケないでしょ」


カイは「ん」とだけ言ってレイに背を向けた。

それは、出て行け。1人にしてくれ。と言うカイの無言のメッセージでもあった。





誤字、脱字等ありましたらご連絡ください。


今年中に新作を投稿しようと思っています。

そちらも気が向いた時に読んで頂けると幸いです。


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