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不生不滅の蓮華姫〜神仏から力を借りて斬って見せます悪縁を!自らの未来を代償に可憐な少女があなたの心のスキマで戦います!  作者: 慈孝
千手観音覚醒編

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『風の生徒会長と、失われた縁の影』

こんにちは、慈孝です。

本日から「千手観音編」に突入します。

主人公は、生徒会長で完璧超人の 結城梨花。

ただし、その陰には“失った縁の痛み”がありました。

あかりとの軽妙なやり取りが、梨花の過去を照らします。


それでは本編へどうぞ。


第一章の戦いを経て、

円城あかりは“蓮華姫”として歩き始めた。

――けれど、すべての始まりは彼女ではない。


私。結城梨花。


千手観音の蓮華姫となった“あの日”が、

あかりよりもずっと前に訪れていた。


誰にも話してこなかった。

触れれば崩れそうな、あの日の記憶。


炎の匂い。

弟の泣き声。


そして――虚空竜宮寺への最初の扉。

あれが、すべての始まりだった。



――昼下がりの高校の廊下。


磨かれた床に光が反射し、整然とした足音が響く。

彼女こそ、“千手観音の蓮華姫”の運命を持っていた。


生徒会長――結城梨花。


だがその正体は、誰も知らない。


「おお、結城!君、また成績トップだったな。

  いつも大したものだよ。ところで――」


職員室前で声をかけたのは高木先生。

梨花は立ち止まり、わずかに微笑んだ。


「例の件でしたら、解決済みです。」


「おお!そうか、さすが仕事が早いなぁ。」


「いえ。では、失礼します。」


「うん。ありがとうな。」


軽く会釈をして歩き出す。

彼女の歩みは、まるで風そのもののように静かで、無駄がない。


「会長、さよなら!」


「はい、さよなら。」


すれ違う生徒たちが、自然と道をあけ、憧れのまなざしを向ける。


そのたびに梨花は微笑を返すが――どこか遠い。


「あ!きららさん、吹奏楽部、全国大会ですってね。

 私も是非聴きに行きたいわ。」


「あ〜…生徒会長はお忙しいでしょうし、

 そんな、無理なさらないで……」


「そうね。無理はしないわ。行けたら行くわね。頑張って。」


「はい、生徒会長。」


きららは、数ヶ月前は梨花を心から慕っていた後輩だった。

けれど今は――縁が薄れている。


笑顔は変わらないのに、胸の奥がきしむ。

そこに、失われた“縁”の痕がまだ残っていた。


生徒会室に入ると、先に来ていた役員の少女が顔を上げた。


「梨花、お疲れ様。」


「私が名前で呼ばれるの、あなたくらいよ?――ゆかり。」


ふふっと笑い合う二人。

だが、その名を口に出した瞬間、記憶の奥がざわめいた。


――円城ゆかり。

あの“円城あかり”の姉?


「もしかして、妹さん……いるの?」


「どうしたの急に? いるよ、中二のうるさいのがね。」


ゆかりは笑って答える。

その笑顔を見た瞬間、梨花の胸の奥が熱くなった。

あの時の泣いていた“弟”の顔が、頭をよぎる。


「ううん。私もね、弟いるから。中三のね。」


そうか――彼女の妹が、あの“火焔の蓮華姫”。


円城あかり。

つい先日、虚空竜宮寺で再会した時の出来事が脳裏をかすめた。


――虚空竜宮寺。


次元の扉に導かれた梨花が本堂に着くと、

そこではあかりが、慈孝和尚と何やら真剣(?)な話をしていた。


「それでね、慈孝和尚、私は代償で

 “めだか堂のジャンボプリン”との縁がなくなったみたいなの!」


「ふむ……それは実に惜しいことじゃな。」


「でも、お姉ちゃんや優子さんが悪縁に呑まれるより全然マシだよ! 

 プリン食べれないくらいさ!」


「うむ、前向きなのはよいことじゃ。

 ――だが、ひとつ勘違いをしておるぞ。」


「え、なにが?」


「プリンの縁を失うということの、重大さじゃ。」


「ん? いや、まぁ甘党的には辛いですけど……?」


「これを見るとよい。」


炎がふっと燃え上がり、映像が浮かび上がる。

あかりが海辺に座り、

“めだか堂ジャンボプリン”を手にしていた。


潮風を受けながらスプーンを入れるその姿は、

どこか満ち足りて見える。


「くりゅう君、たまにこういうロケーションで食べる

 ジャンボプリンは格別なのだよ!」


「そうか。」


「おいひー!」


――その時。


「それ、めだか堂のジャンボプリンだよね? 

 俺も好きだなぁ。」


振り返ると、同じ学校の制服を着た少年が立っていた。


爽やかで、どこかあかりと波長の合いそうな笑顔。


「あ、あの……一口、食べます?」

(言っちゃったーーー!?)


初対面での暴走に自分でも驚くが、

少年は笑ってスプーンを受け取った。


「ありがとう! 美味しいね。」


その瞬間、あかりの顔が真っ赤に染まる。


(い、今の……間接キスじゃん!?)


映像がぷつりと途切れる。


「和尚! これ何!? なんの縁!?」


「これは、おぬしと少年の“出会いの縁”じゃ。

 このあと、交際に発展するはずだった。」


「えぇぇぇぇぇーー!? それ消えたの!?」


「縁は複雑に絡み合っておる。

 ひとつ欠けるだけで、未来は変わるのじゃ。」


「ああああ……プリンの代償で?、青春が……!!!」


あかりは頭を抱えて床に沈み込み、

慈孝和尚は静かに合掌した。


「合掌。」


「笑わないでくださいよ和尚! 梨花さんも!」


梨花は思わず吹き出してしまう。


「ふふ……ごめんなさい。けど、あなたらしいわ。」


あかりは頬を膨らませた。


「もうっ、真面目な顔して笑うのずるい!」


そんな何気ないやり取りが、梨花の心の奥を少し温めた。

そんな思い出が、“千手観音の覚醒”の記憶を呼び覚ます。


生徒会長席に腰を下ろし、ペンを取る。

外から騒がしかった蝉の声は、もう聞こえない。

夏は終わった。

目の前で書類を整理するゆかりを見つめながら、

梨花は静かに目を閉じた。

そして思い出す。


――“蓮華姫”となった、あの日のことを。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

梨花の“縁の痛み”が少しずつ描かれました。

次回は、**あかりの消えた縁(ジャンボプリン事件)**が描かれます。

梨花とあかり、二人の距離がぐっと近づく回です。

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