表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不生不滅の蓮華姫〜神仏から力を借りて斬って見せます悪縁を!自らの未来を代償に可憐な少女があなたの心のスキマで戦います!  作者: 慈孝
不動明王の蓮華姫誕生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/26

『炎王覇焔斬(後編)』

前回:不動明王の力を宿した円城あかりが、

紅蓮の炎で悪縁鬼を圧倒。だが“鏡”が壊れない限り、絶望は終わらない。


今回――真言が唱えられ、炎は青く染まる。

それは“怒り”ではなく、“慈悲”の炎。

不動の名を継ぐ少女が、ついに“神仏との同化”を果たす。

大剣を地に突き立て、両手で印を結ぶ。

口が静かに開き、真言を唱える。


「のうまく さんまんだ まかろしゃだ

 そわたや うんたらた かんまん……」


言霊が響いた瞬間、背の炎が唸りを上げて燃え上がる。


風が止み、世界が熱の色に染まった。

唱えるたびに炎が濃くなり

――赤が、朱に、朱が蒼に変わる。


「なっ……炎の色が……青くなっていく……!」


文殊が息をのむ。


青い炎――それは神仏の怒りを象徴する、

真火しんか”。


高熱を超え、魂すら焼く浄火。


触手が襲いかかる。

しかし――届かない。


あかりの身体を中心に、青い炎の壁が立ち上がっていた。


刃が触れるたび、音もなく蒸発し、焦げた風だけが残る。


死角からの念鬼の攻撃も、くりゅうが払いのける。

あかりは微動だにしない。背中を守る、くりゅうを信頼していた。


「う、嘘みたいです……。念鬼の攻撃が、届かないのです……。」

地蔵が声を失う。


「同化率・仏心融合度30から40%へ上昇なのです!」


「正気か?心を神に持って行かれるぞ。」


あかりは目を閉じたまま、静かに呟いた。


「これが――不動明王の力。」


包丁触手が次々に焦げ落ちる。

念鬼が苦しみ、咆哮を上げる。


だが、あかりは一歩も動かない。

それはまさに“動かざる壁”、不動そのもの。


千手観音が小さく呟いた。

「……不動。これが、あなたの祈りなのね。」


あかりは炎の中で微笑んだ。

「大丈夫。もう誰も、傷つけさせない。」


念鬼が最後の力を振り絞り、空間を歪ませる。


あかりは、絶望の悪縁鬼を睨む。


「おまえが、優子さんを!」


「ふはは。あいつの恋心に隠れた絶望を、 

 炙り出してやったのさ。」


「くりゅう、私、わかったんだ。」


「何がだい?」


「私、今、全然怖くない。これって…」

「不動明王が、私に力をくれたら。」


「そうだなぁ。普通の女の子じゃ無理だよな。」


「これも縁なんだ。私、不動明王と出逢わなければ…」

「こんな風に戦えない。縁は、何も無いところから、

 何かを生む、創造のエネルギーなんだ。」


「よくわかったじゃないか、あかり」


「だから、こんな風に、横取りするなんて。」

「絶対許さない!」


「ああ!やってやろうぜ!」


不動明王の蓮華姫、あかりの炎を見るや、

絶望の悪縁鬼は、苦々しく笑った。


「……フン、だが、これは分が悪いな。

 また会おう、蓮華姫の諸君。

 君達の希望が、熟す頃に。」


黒いもやが渦を巻き、姿を消す。

残されたのは、焦げた大地と、

蒼炎の蓮が咲き誇る戦場。


千手観音の瞳に、再び光が戻った。

「……希望、見えたわ。地蔵、虚空蔵、索敵再開!」


「了解!」


「了解!」


地蔵の小さな指が数珠端末を走り、

虚空蔵の瞳が輝く。


「心界潜行…、開始。」


次回予告

次回『鏡を撃ち抜く光』


“未来の鏡”をめぐる最終局面へ。

――運命の縁が、試される。


青炎――“真火しんか”の顕現。

不動明王との心の融合が描かれた本章では、

あかりが“動かざる壁”として仲間を守る姿が印象的でした。


悪縁鬼は退いたものの、戦いは終わりません。

次回『鏡を撃ち抜く光(前編)』では、

いよいよ“未来の鏡”をめぐる最終局面。

文殊・韋駄天・地蔵たちの連携が試されます!


「チアー」「ブックマーク」「感想」で応援いただけると嬉しいです✨

※この作品はフィクションです。実在の宗教・人物・団体とは関係ありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ