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風の家紋(かぜのかもん)—僕が日本へ向かうまで—  作者: 和泉發仙


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第194話「ナイルの賜物」

エジプトへの到達


 紅海を抜け、船はスエズの港に入った。

 乾いた風の中に、どこか甘いような埃っぽい香りが混じる。

 「これが……エジプトか」

 ユウタは目を細め、遥かに広がる砂漠を見つめた。

 カズヤが感嘆の声をあげる。

 「砂ばっかやな。でも、その中に川が走っとるんやろ?」

 サラは頷き、静かに言った。

 「Yes. Nile—gift of Egypt. Without river, no life.」



ナイルの岸辺


 彼らが最初に訪れたのは、肥沃なナイル川のほとりだった。

 葦が揺れ、子どもたちが水辺で笑い声をあげている。

 ミナが目を輝かせる。

 「砂漠の中とは思えんほど緑や!」

 ジェイデンが解説する。

 「Floods every year. Silt makes soil rich. Civilization born here, five thousand years ago.」


 ユウタは川の水を手ですくい、しばらく眺めてから呟いた。

 「命を育む川やな……それが国を作ったんか」



ピラミッドの威容


 ギザの大地に立ち並ぶ巨大な三角形。

 ユウタたちはその前で言葉を失った。

 「……でっか……」

 ミナは呆然と呟く。


 サラが低く語った。

 「Kings sought eternity. Built stone mountains. Thousands of workers, decades of life. All for afterlife.」


 カズヤは腕を組み、複雑な表情を浮かべる。

 「すごいけど……人の命、ようけ費やしたんやろな」

 ユウタはその石を見上げながら呟いた。

 「“永遠”って、人をこんなにも動かすんやな……」



アレクサンドリアの図書館跡


 さらに北へ進み、アレクサンドリアに到着。

 古代の大図書館はすでに失われていたが、その跡地には新しい図書館が建てられていた。

 ジェイデンが感慨深げに言う。

 「Knowledge was here. Greeks, Egyptians, Jews, Arabs—all studied. But fire, war destroyed.」

 サラは静かに本棚に触れた。

 「Books die, but ideas live. Travelers carry them. Like us.」


 ユウタは深く頷いた。

 「俺らも、“旅する図書館”みたいなもんかもしれんな」



ナイルの夜


 その夜、川辺に腰を下ろし、一行は満天の星を見上げた。

 「ピラミッド、ナイル、大図書館……ここは人類の“はじまり”やったんやな」

 ユウタの声に、仲間たちは静かに頷いた。



ノアのノート

•Step One Hundred Ninety-Four: Egypt.

•「川が命を与え、石が永遠を求め、本が知を繋いだ。エジプトは文明の始まりを示し続けていた。」



→ 次の 第195話 では:

•一行がさらに西へ進み、ギリシャへ到達

•パルテノン神殿や民主制の原点を目にする

•「自由と秩序のはざま」をテーマに展開

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