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【52】冥界の答え



――――帝国に国として認められ、カエルムは慌ただしく国としての道を歩み始めた。……ある日のこと。


「主、少しよいか」

ラシャにお勉強を教えてもらっていれば、アビスが現れたのだ。


「どうした?何か問題でも?宵闇の地は特に問題なく復興が進んでいるはずだ」

「元々ある森を壊さないよう家を造ったり街として運営するのに必要な設備を造ったりしてるんだよね」


「然り。こちらにいたダークエルフたちの知識も加え、魔族たちも魔力で支援をしている。ゆえに特に問題は起きていない」

じゃぁ遊びに来てくれたのだろうか?


「娘、そうじゃない」

え……っ、私の考えていることが分かったのかな?


「主たちに客だ」

そう告げれば、アビスの後ろからひょっこりと月の女神が姿を現す。


「長さん!」

「うむ。だがアリーシャ。そろそろ……だな、ダリアでいい」

「ダリアって……」

「昔、聖女にもらった名だ」

「……それって……っ」

大切なものなのでは?


「いいの?」

「アリーシャになら呼んでもらいたいのだ」

「……その、ダリア?」

「うむ。それでいい」

ダリアが嬉しそうに微笑む。


「それで?それだけを伝えに来たわけじゃないんだろう?」

「別にそれだけでも来るぞ、魔王」

「……過干渉は」

「条件は満たした」

私は転生者だもんね。


「だが今日は他にも話があってな。かの大罪人が冥界に堕ちてきた」

そっか……ダリアですら拒否してきた彼女の魂が冥界に。


「だが死の安息など程遠い。まだまだ冥界で苛め尽くす」

冥界……恐ろしい。しかし彼女のしたこともしたこと、700年経っても全く反省していないようだった。


「それに……皇太子のことがあったろう」

「アレックス兄さま?」


「そう……あれは皇位を引き継ぐんだろう?」

うん。まだ皇帝陛下の意識のあるうちに引き継ぐのだと言っていた。


「うん。でも……皇帝になったら、代々病に倒れてしまうんだよね」

それまでにはアレックス兄さまも子孫を残すとは言っていたが。


「……確かに。初代勇者は世界を元に戻そうとして帝国を造った。しかしそのシステムを無駄に歪めようと足掻けばそれ相応の反動がある。歴代はそれを受け取ったのだ」

より世界の多くを意のままにしようとしたから。


「皇帝は気付くのが遅すぎた。だが、皇太子のお陰で踏みとどまった。最期に顔を見に行ってやるだけの余力はある」

「……ダリア、それって……」


「世界を元に戻した皇太子に、初代勇者の魂に反動はない。むしろ天界の女神の守護があろう」

「……それを、アレックス兄さまは」

「伝えた。そしてかのものは受け入れた」


「ダリアが?それって過干渉なんじゃ……」

「そこは天界の女神がな。あれは元を辿れば召喚者の魂。それを地上に導くのは彼女の務めだ」

初代勇者の名前からするに、名前は現代風だがキハダともそこら辺は一致しない。彼は700年前に召喚されて今やっとその贖罪を果たしたのだ。


「なら聖女もかな」

「聖女は私の領域。彼女は転生者だったが聖女に相応しい魂であり、前世の兄であった初代勇者と出会わせてあげるだけの行いを果たした」

「けど……彼女たちは」

敵対することになってしまった。


「悲しまないでくれ。彼らは今は兄妹として今度こそ幸せに生きている」

「……っ!うん、良かったぁ」

でも妹……皇女の誰かかな。


「……アリーシャ、お前たちのことだぞ」

「え?」

思えば共通点や予感はたくさんあったわけである。


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