【39】白昼夢
――――遂に最上層へのゲートが開く。最上層には何があるのだろうか。
私はラシャ、ジェームス、クレア、ジェシーと共に最上層へのゲートをくぐる。
そこにどうしてかシャムスがキアヴェと共に現れた。見送りに来てくれたのかな。
「これもついていくそうですよ」
とキアヴェ。えっ、シャムスも来てくれるの?
「まぁ六神同士は別々ですが互いの意思が合致すれば通信機にもなります。さあシャムス。贖罪を果たそうとするのならば我らが崇める幼女のために身を粉にして働きなさい」
「キアヴェったら……崇められるのはキアヴェの方……」
とはいえ幼女崇拝をシャムスにまで植え付けないでくれないかな。でももしかしたらキアヴェが正常だったのはもしかしてロリコ……いや、よそう。シャムスまでロリコンになられては困る。
「では何かあればお呼びください、我が主」
「分かった。ありがとう、キアヴェ。シャムスもよろしくな」
「……ふん」
相変わらずツンツンはしているが、前に比べたら丸くなったなあ。
「さ、行こうか。最後の階層へ」
魔神のもとへ。
「うん、ラシャ」
ゲートをくぐる。
その時、カンと言う甲高い音が響いた。
※※※
これは、食事?私は何をしていたのだっけ。
しかし……食べたことのないものだ。
和食じゃないし洋食でも……あれ、和食と洋食?何故私はそれを知っているの?
食事から顔を上げる。
「兄さま」
そう、私は兄さまと食事をしているのだ。窓の外には大きな木がある。みんなに愛されみんなの象徴だ。しかしあの木……どこかで見たような気がする。あの木を見たことがあるんじゃない。……似たものを知っている。
「兄さま」
「どうした、アリーシャ」
顔を上げた兄さまのれもん色の瞳。あれ……私の兄さまの目はローズレッドではなかったか?
違う、これは違う。
現実じゃない。
「シャムス」
彼はシャムスだ。ジル兄さまじゃない。
「シャムス、私たちはどうしてここに……」
「何を言っているんだ、アリーシャ」
シャムス……?気が付いていないの?どうして……。
「でも私のお兄さまはジル兄さまでシャムスは私の大切な仲間。私たちは……シャムスのお兄さまに会いに来たはずよ」
「……お兄さま……分からない。どれがお兄さまなのか……分からない」
どれがって……どう言うこと?少なくともシャムスも何かに気が付いている。
それは何……?しかし刹那外から轟音が響く。多くの人々が追われている。追われているのは人間や耳の尖った混血のエルフ、獣人たち。
追いたててているのは耳の長いエルフたち。そして大きな木が争いの中で焼け落ちていく。
その瞬間巨大な雷が大地を襲う。あの雷鳴って確か……。
そしてまた、カンと言う甲高い音が響くとそこは監獄の前である。
「……どこ?」
きょろきょろと辺りを見回せば、檻に囲まれた大きな木がある。どうして檻に入れられているの?それにどうしてか……どす黒いような。
「なぁ……主よ」
誰……?
そこには闇色の長髪で大人びてはいるものの誰かとよく似た男が立っていた。しかし魔族の角が木質なのは何故?
「何故分かってはくれぬのだ。我は……主だけがあればよい」
そう述べる彼の目の前には両手首を鎖で繋がれた……。
「ラシャ!?」
ラシャがどうしてこんなことに!しかし……ラシャを主と呼ぶのなら彼は魔神!?
私の声に気が付いた魔神はカッと目を見開く。
「聖女……聖女め!懲りもせずにまた我から主を奪う気か!」
また奪うって……?
「……っ」
ラシャが驚いたように私を見る。しかしどこか私の知っているラシャではないみたい。
「渡さぬ……我らにとって主は」
魔神が牙を剥く。まずい……これは!
――――しかしその時だった。
カッと光った強烈な光が降りかかり、魔神が悲鳴をあげる。そして……溶けてる……?
後ろの木も共に黒い液体のようにどろどろと崩れていく。
「おのれ……めがみの、うつしみ……我の、邪魔を……裏切るのか!」
女神の写し見?そしてこの強烈な光は……そうだ、知っている。太陽だ!
その瞬間、カンと言う甲高い音が響く。次はどこなのだろうか。




