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【35】第五柱



――――上空から迫り来る炎。その炎に包まれるおぞましい神の形相を捉える。


「さぁ……死ねェ!!そして絶望するがいい、憎き魔王めぇっ!」

もう……ダメ、私……死ぬの?


『アリーシャに会いに来たのに、邪魔』

響いた声の主は私たちの傍らに顕現すると、そのまま氷の槍を浴びせる。

第五柱目の奥の手、冥界の長さん!しかしこれって過干渉に当たらない……?


『すまん、手が滑った。氷だけに』

あ、そっか、偶然私に会いに来て偶然手が滑っただけなら……で許される?

「アあ゛ァぁぁァッ」

そして彼は槍と共に吹っ飛ばされ、地面に投げ出された。


「アリーシャ!無事か!」

そこにラシャたちが飛び込んでくる。ジェームス、ジェシー、キハダさんも少しかすり傷はあるが……無事だ!


さらにはアーベンとアビスまで!

彼らの到着と共にキアヴェは拘束を緩め私をゆっくりと起こしてくれる。


「良かった。キアヴェ、助かった」

ラシャが私を抱き締めながら告げる。


「本当に間一髪だったわ」

吹き飛ばされたクレアやエルフたちも無事なようだ。


「な……何故だっ、魔族どもを差し向けたはず!」

「黎明……」

ラシャは苦しげに身を起こす六神の名を呼ぶ。やはりあれが黎明。あれ……そう言えばラシャは今まで六神と相対したら名を呼んでなかったか?それなのに……彼は。


「お前は知らなかったのか。世界で最も長く行き、強い捕食者が何故魔族にだけ天敵と見なされなかったか」

「な……何を……っ、やつらも魔族だからだろ!」

「いや……違うな。教えてくれないか、レキ」

そう言うとバリケードの向こうからレキが姿を現す。


「丸呑みにした時に角が引っ掛かるからです」

今……丸呑みって。いや今はもう人類を捕食しないんだよね……?


「は……?」

黎明が呆然としている。


「魔族の角って魔力こもってますし、硬いので外すのが大変なんです。食べ残すのって好きじゃありませんから、面倒くさいから襲わなかっただけで」

「襲おうとすれば襲えるわけだ」

「襲いませんけどね。今は獣や魔物の肉やら卵やらほかに美味しいものがありますし。けど……獣や魔物など獲物を捕らえることをやめてはいないので退化はしてないんですよ、私たちの目」

目……?


「ま……まさかっ」

黎明がぽかんと口を開ける。


「地底種たちで全員催眠状態にして眠らせましたよ」

「か……神による洗脳はっ」

生き残った魔族たちにもそんなことをしていたの?


「催眠とは別枠ですよ。よほど眠りたかったんでしょうね。洗脳って何日も眠らせない手法があった気がしますが……睡眠不足はよくないですよ」

それで……みな眠りたい本能を優先してしまったと。しかしながらそれなら誰もこれ以上傷付かなくて済む。


「だから……どうする。お前たちに何ができる」

黎明がニヤリとほくそ笑む。


「夕暮れは俺を殺せない……冥界の長は干渉できるものが決まっている……もうこれ以上俺に触れることはできない!!!」


『確かにお前は太陽。私の月とは対極。私は干渉できない』

え……黎明って太陽の……神?

それがどうして邪神になって……それから六神になったのに、魔族が嫌いだなんて。


『だが、太陽をシンボルとする神ならどうだ?』

冥界の長が告げれば、向こう側の白んでいた空がさらに明るくなる。


「朝陽が……昇る」

この暗闇大陸に。


眩しい陽光に陽の光が苦手なレキとキアヴェは鋏で光を抑えているが、それは多くのものが待ち望んだものだ。



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