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【33】憎悪に染まる六神



――――side:ラシャ


毒々しいほど赤い髪に白目と黒目が逆転した瞳、頬には棘模様が走る。それこそが黎明と呼ばれる六神。俺を何よりも憎む神だ。


「ようやっとキアヴェの邪魔な封印が解けた。ならばお前は必ずメインシステムを立ち上げているはずだ」

「だろうな」

そうしなければ魔神の待つ最上層に行けないから。


「だがお前はいいのか。ここで俺を殺せば魔神がお前を一生許さない」

むしろ世界がある意味すら失い、本当に世界は滅ぶぞ。


「それでいい……お兄さまが……一生俺を怨み、俺のことを考えてくださるなら……く……っ、ひひっ」

黎明の表情が醜悪に歪む。怨まれるのでもいいから兄の心が欲しいってか。


「だがお前の様子を見るに、魔神は俺が死んでもお前だけを見たわけじゃなかった。俺のことを考えてた。違うか」

だからこそまた俺を殺しに来た。


「お前は死んでない」

「死んださ。魂や記憶は継承しても人格は違う。別人だ」

それでもアーベンは真面目だから俺を主と同じと見なしたしアビスは俺を主としてふさわしいか見極めた。アミナスは……あれは魂の根源まで見抜く。俺を俺として認めた。

キアヴェは相変わらず掴めないが、あれが素直に言うことを聞き協力したのは今ならば何故だか分かる。


「お前の兄貴だって俺を主として見なすか分からない」

「お前は何も分かっていない!お兄さまは……せっかくお前が勇者に殺されたのに復活すると言った……」

「俺も知らなかったんだよ。魔王は勇者に殺された時だけ復活すること。他種族を圧倒する力を持つ勇者だからこそ、勇者が道を違えたときに止める役割が必要だ」

それがこの世界では魔王だった。勇者が狂えば魔王が勇者を終わらせる。聖女はそれに気が付いたから魔族側に来た。


「そんなプログラムなどどうだっていい!やっと……やっとお兄さまが俺を見てくれるはずだった!」

しかしそうは行かなかった。


「なのに憎き天界の女神が俺たちを閉じ込め、お兄さまは毎日毎日お前のことばかり!ああ……キアヴェが封じてなければもっと早くにお前を殺せたのに……」

ニヤリ……と黎明が嗤う。


「だがやっと……お前を……殺せる!!」

黎明がその手に炎の剣を編み出す。


「お前はまだ、魔王として完全じゃない!」

黎明が俺に迫ってくる。素早く水のシールドを張り、炎すら凍えるほどの氷で一気に炎を呑み込んでいく。


「ぐ……っ」

黎明が苦しげな声を出す。よし、押せてる!

しかし黎明が不気味なほどに笑んでいる。


「まだ目覚めてもいない魔王が……創造主の神にかなうと思うかっ!!」

ダメだ……こんなところで負けるわけには……っ。


【否、この世のすべての創造主は創世神。創世神を騙ることは許されぬ】

しかしその時、ひどく機械的な声とともに黎明の頭上に無数の雷槍が降り注ぐ。


「あア゛あぁぁ゛ア――――ッ!!!」

黎明が絶叫する。神であれど悪と見なされればあれを防ぐことはできない。悪を懲らしめるものだから神殺しはさすがに無理だがな。


「主よ、こちらへ」

そこには善にのみ微笑む神がいた。




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