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【30】静寂の地



準備は着々と進んでいる。世界樹の階層からは守り人たちが武器や防具を運んでくれているようだ。私も軽いものを運んだりしてお手伝い。ジェームスやジェシーも一緒に手伝ってくれている。

少し休憩を取るように言われ、水を飲んでいればキハダさんの姿を捉えた。



「夕暮れの地のエルフたちのこと、ひまりも喜んでいましたよ」

少し世界樹の階層に戻っていたのだたっけ。


「あの……やっぱり森の精たちはここには……」

「興味を持つとすぐあちこち行ってしまうので……」

つまり地底種のところにも……。いや手を出すのは教義に反するとか言ってたけど、あのイケメン顔で変態顔されても困る。


「アリーシャちゃんは大丈夫?何か分からないことがあったら言ってね」

何だろう、この幼女の扱いに慣れてる系お兄さんは!うぅ……優しくて頼れそうなところとか、ついついジル兄さまを思い出してしまう。

しかし何か聞きたいこと……か。まだまだ分からないことはたくさんあるものの……。


「そうだ……あの、私、キハダさんに聞きたいことがあったんです」

「ん?なあに?」


「私、転生者なんです!」

「……え、君も!?」

それってつまり……。


「キハダさんもですよね」

「そうだね。まだ幼いのに妙に大人びているところがあると思ったら」

「お……大人びてっ!?」

そうだろうか?まだまだ幼女街道を突き進んでいると思ったのだが。


「ほら、レキさんたちにもそれなりの警戒心を持つところとか」

「……」

そりゃぁ……ロリコンだものね。ロリコンを知っているのも前世の記憶のお陰だが。あれ、そう言えば……。


「キハダさんは700年前の暗闇大陸を知っている……てことは何時代の日本の記憶を持っているんですか?」

むしろ日本と言う国名が通じるだろうか。しかしキハダさんは『ロリコン』『ヤンデレ』『ブラコン』などの言葉を知っていた。


「え……時代……昭和、平成かな」

ん??


「私、昭和、平成、令和です」

700年以上の時代差があったわけではない???


「え……れいわ?」

そっか、キハダさんは平成までしか知らないのか。昭和は長かったから時代がかぶる可能性はあるけれど、令和は……。


「平成の後の元号。代替わりしたんだ」

令和の字を地面に画けばキハダさんがなるほどと頷いてくれる。


「でもこちらの世界では700年以上の差があったんだね」

「そうだね。そのタイムラグがどうしてかは分からない」

「700年前も昭和から来た転生者も人間側にいたし、俺より数十年前に転生したひとは明治の生まれだった。なのに同じ時代を介すのに700年経っているのなら、この世界に転生させる場合地球との時代差は重視していないんじゃないかな」

「うーん……時代差は重視してない。この世界が惑星じゃないことも関係してるのかな。自転の関係……とか」

「そうだね。この世界と地球は多くのことが異なっている。魔法があることもそもそも違う。暗闇大陸の構造だって大陸は平面上ではなく上下に伸びている」

「確かに!」


「そうそう。それに大事なのは時代差じゃない。今こうして……700年かけて同郷と出会えたことだ」

「うん。それも奇跡だよね」

特に私は短命種。長命種と短命種の邂逅だって一種の奇跡なのだ。それも700年もの間封鎖されたこの大陸で。



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